宮城野区小田原の内科・消化器内科
内科萱場クリニック
〒983-0803 宮城県仙台市宮城野区小田原1-5-32
TEL: 022-256-5101

クリニック案内

○各種健康保険取扱い
○駐車場あり(12台完備)
原則院内処方

医院名
内科萱場クリニック
院長
萱場 佳郎
住所
〒983-0803
宮城県仙台市宮城野区小田原1-5-32
診療時間
8:30~12:00、14:30~18:00
※土曜日は9:00~12:30までの診療
水曜・土曜午後、日曜、祝日休診
電話番号
022-256-5101
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酒気帯び

今年もまたスギ花粉症の季節がやってきます。昨年の飛散は例年より多かったですが、今年は仙台では2月下旬から、例年より少なめの飛散が予想されています。

花粉症の治療には、抗ヒスタミン剤が使われますが、ヒスタミン自体は、アレルギー反応を引き起こす他に、神経組織では脳の覚醒状態の維持、食行動、記憶学習能力の向上にも関係しています。

抗ヒスタミン薬は歴史が古く、当初の第一世代では、アレルギー反応を抑える他に、脳組織に入ってしまい、ヒスタミンによる脳の覚醒状態、記憶学習能力も妨げてしまいました。そのため眠気だるさが起こり、ぼーとした状態になってしまいました。実際に第一世代の抗ヒスタミン薬の内服した人々の群と、そうでない群では、明らかに試験の得点では差があったとのデータ報告もあります。注意が必要なのは、現在も市販の総合感冒薬にはこの成分が入っているのがあり、そのため内服での眠気予防のためにカフェインなどの興奮剤も一緒に入れられています。

その後第二世代の抗ヒスタミン薬が出て、今度は眠くなりにくいとなりましたが、依然車の運転は注意、もしくは危険(酒気帯び運転と同じ)とされ、また前立腺肥大や緑内障の方は慎重に、との薬が見られました。そしてその後でようやく脳組織に移行しにくいために眠くならない、持病のある方も安心して内服できる薬が出てきています。

花粉症の予防は、花粉の飛散の多い日は外出しない、マスクや眼鏡をかける、家に花粉を入れないことが基本です。できれば飛散の2週間くらい前から飲み始めます。さらにそれでも鼻症状がひどくなったら点鼻薬、鼻づまりがひどければ内服薬、眼も痒ければ点眼薬を加えていきます。

処方された内服薬で眠気やだるさを感じる時は、早めにかかりつけの医師や薬剤師に相談して、つらい季節を安全に乗り切りましょう。



この冬も

この冬も、昨年末にはウイルス性胃腸炎流行のために警報が発令され、イベントが中止というニュースがありました。ウイルス性胃腸炎では、ノロウイルスによるものが最多であり、集団発生が毎年多数報道されます。

ただひとこと「ノロウイルス」にも、多くの種類があり、昨シーズンからはGⅡ/17という、従来とは別の遺伝子タイプのノロウイルスによる感染が増えてきました。ウイルス感染では、通常感染後に免疫ができますが、胃腸炎では感染が腸粘膜での局所感染のため、免疫の持続時間が短いのが特徴です。またインフルエンザウイルスのように、流行のたびにウイルスの形態が変異していくため、免疫を作りにくいという状況があります。

増えてきたGⅡ/17タイプのノロウイルス胃腸炎では、従来のタイプと同様に、潜伏期は1~2日、突発的な吐き気、嘔吐、腹痛、下痢であり、症状は数日で治まるものの、糞便には1週間程度ウイルスを排出し続けます。インフルエンザ感染では、簡易の検出キットを使って感染の有無を調べたりしますが、ノロウイルス感染症の検出キットは、3歳未満と65歳以上の方しか保険対象ではありません。さらに感染初期に糞便にウイルスが多量にいなければ陽性にはならない、という検査の限界が知られています。

予防としては、ウイルスの付着した可能性のある食品(特に二枚貝等)は生で食べないで加熱(中心で85度1分以上)する、排便後は十分に手洗いをして、嘔吐物については手袋やマスク、換気をしながら処理して、袋に密封して廃棄する。消毒用エタノールは効果がなく、吐物や糞便の処理は1000ppm、便座や手すりなどは200ppm濃度の次亜塩素酸で消毒をすることが重要です。なお5%の市販の塩素系漂白剤で、500mlペットボトルキャップ2杯(約10ml)分を500mlのペットボトルに入れて水でいっぱいにすると、1000ppmになります。

周囲の人に拡大させないように注意し、発症してしまったら早めに医療機関を受診しましょう。


飲酒では

年末年始となり、宴会などの飲食の多い季節となりました。それとともに飲酒の機会が増えますが、酒量は好きなだけ、という酒豪の方がいる一方で、全くだめという下戸の方もいます。

飲酒でのエタノールは、小腸から吸収されて肝臓でアルコール脱水素酵素(ADH1B)によってアセトアルデヒドに代謝されます。そのアセトアルデヒドは、さらにアルデヒド脱水素酵素(ALDH2)で酢酸へと無毒化され、その後は水と二酸化炭素になって体外に排出されていきます。しかしそのアセトアルデヒドは毒性が強く、頭痛や二日酔い、悪心嘔吐を起こしてきます。

通常、そのアセトアルデヒドを分解するALDH2活性は、それぞれ生まれつき強弱があり、活性が欠損していると、少量のエタノールでもアセトアルデヒドが残ってしまい、顔面紅潮や頭痛、二日酔いが起きやすく、その活性の欠損は日本人の10%(ホモ欠損型)とされています。そして他の50%強の日本人は、ALDH2の活性を十分にもっていて(活性型)二日酔い等の症状は出にくく、残り30~40%では弱い活性(ヘテロ欠損型)しかなく、アセトアルデヒドを速やかに分解するのは困難です。そのため10%のホモ欠損型の方は、飲酒で具合が悪くなるためにもともと飲酒をしないものの、ヘテロ欠損型では、少しは飲酒ができる一方で、有害なアセトアルデヒドが長時間残ることになります。ヘテロ欠損型では、飲酒を繰り返すとエタノールに対して慣れがでてきますが、人生で飲酒を始めた頃には、少量の飲酒でも顔が赤くなったかで、自分はヘテロ欠損型かが推測することができます。

またエタノールからアセトアルデヒドへのADH1B活性でも、日本人の10%弱の方は、活性が低い(ホモ低活性型)とされています。エタノールからアセトアルデヒドに変化しにくいのですから、顔が赤くなりにくく、しかし飲酒の翌日に酒が残りやすくなります。

世界保健機関では、アセトアルデヒドを発がん物質とし、食道がん、頭頚部がんの原因と結びつけました。ALDH2のヘテロ欠損型(アセトアルデヒドを速やかに分解できず)で、しかもADH1Bホモ低活性型(エタノールが残りやすい)の方に、飲酒と喫煙が加わると、食道がん、頭頚部がんのリスクは飛躍的に増大するとしています。飲酒にはそれほど強くない、顔が赤くなった経験がある方は、まずは喫煙を避け、自分に合った適量の飲酒を楽しみましょう。


インフルエンザの後で

今年もインフルエンザ流行の季節が始まりました。インフルエンザ感染が気道の粘膜細胞を強く傷害するために、その後、二次性の細菌性肺炎をおこしやすくなります。その中でも特に肺炎球菌による肺炎が最も多く、過去のインフルエンザ大流行ではスペイン風邪、香港風邪が有名ですが、その際の死亡原因のほとんどが細菌性の肺炎によるもので、最も多いのが肺炎球菌によるものでした。また2009年(平成21年)のいわゆる新型(パンデミック)インフルエンザで亡くなった方でも,肺炎球菌が検出されていました。         

肺炎球菌性肺炎は、成人の肺炎原因の25~40%を占め、また日本人の約3~5%の高齢の方では、既に健康時にも鼻やのどの奥に菌がいるとされています。菌は咳や痰などの飛沫感染で広がり、インフルエンザ感染の後や、他の疾患で体力が落ちた時に肺炎、気管支炎、菌血症などの重い合併症を引き起こしてきます。日本人の死亡原因で統計をとると、65歳から70歳の区分から、1位がん、2位心臓疾患、3位脳血管疾患に次ぐ4番目に「肺炎」が入ってきます。さらに90歳以上の男性では死亡原因の第1位、90歳以上の女性でも5歳ごとでみると2位か3位に入っています。

肺炎球菌には 93 種類のタイプがありますが、2006年に国が認可した予防接種ではそのうちの23タイプの菌に効果があり、この23タイプの菌だけで、重症の肺炎球菌感染症の約7割を占めるとされています。そしてこの予防接種をすることで、これら23タイプの肺炎球菌による肺炎は明らかに減ったとされています。またインフルエンザ後の肺炎による死亡も、インフルエンザと肺炎球菌の予防接種を両方することで、大幅に減ったというデータがあります。そのため一昨年10月から5年間、65歳以上の方を5歳毎に区切って(65歳、70歳、75歳・・・)、国が主導で定期接種をおこなっています。この予防接種は1回すれば5年間はしなくてもいいという予防接種であり、定期接種対象の年齢でない方でも任意接種は可能です。

接種について、ぜひかかりつけ医に相談しましょう。


予防接種

今年もインフルエンザのシーズンが始まります。去年から今年の冬にかけての昨シーズンでは例年より始まりが二週間ほど遅く、今年になってから感染が拡がって、春まで続きました。A型では2009年に流行したいわゆる新型インフルエンザ(パンデミック)の亜型が流行しました。B型では山形で分離された「山形」系と、オーストラリアで分離された「ビクトリア」系の内、やや山形系が多かったようですが、両方とも流行しました。昨シーズンからワクチンには、4種類(A香港、Aパンデミック、B山形、Bビクトリア)の成分が入れられるようになり、今年も同じ4種類の株でのワクチンです。

ただ今年は日本での4大ワクチンメーカーの一つが、熊本地震で被災して生産ができなくなってしまいました。そのため残りの3つのメーカーでワクチンを増産することになりましたが、それでも例年より生産量は少なく品薄感が出てきました。希望する方が、接種のできない事態にはならないでしょうが、手洗い、マスク、うがいなどの予防をしたうえで、適切な時期に早めに予防接種を受けましょう。

また今年は麻疹(はしか)の感染が、千葉県や関西国際空港の職員から拡がったことがニュースで報道されました。麻疹は非常に感染力が強く、飛沫や接触で感染していき、脳炎や肺炎で死亡することがあります。小児時にかかったことがある方は免疫をもっていることが多いですが、かかった覚えがない方や予防接種をしなかった方は、感染には十分な注意が必要です。麻疹の予防接種ワクチンもインフルエンザワクチンと同様に、熊本のメーカ―が被災してしまい、非常に入手困難になっています。十分な免疫をもっているかは、まずは抗体を測定してみれば判明します。心配な方は、まず医療機関に相談してみましょう。


秋の味覚で

いよいよ秋になり、秋の味覚のサンマ、梨やブドウなどの果物、山菜キノコ等のおいしい季節の到来です。脂ののったサンマは、刺身や焼いたりしておいしくいただきますが、サンマやサバ、イワシといった青魚には血液をさらさらにする脂肪酸:イコサペント酸(EPA)が多量に含まれています。もともと北極海近辺に住む先住民族が、欧米人に比べて心血管系の疾患が少ないことから調査されて、先住民族の血中でEPA濃度が高く、主食としている魚やアザラシにEPAが多いことから、EPAによる動脈硬化予防として知られるようになりました。

脂肪酸は、飽和脂肪酸と不飽和脂肪酸に大別され、飽和脂肪酸はバターのような動物性脂肪に多く含まれています。一方不飽和脂肪酸(多価)の中には、EPAがあるn-3系と、他にn-6系があります。

n-3系多価不飽和脂肪酸には、EPAやドコサヘキサエン酸(DHA)、リノレン酸があり、魚介、海藻類、えごま、根菜、葉菜など(いわゆる和食食材)に多く含まれ、それらは中性脂肪を下げ、動脈硬化を抑制する「善玉」とされています。一方、n-6系にはリノール酸、アラキドン酸などがあり、植物油(ひまわり油、綿実油、とうもろこし油、大豆油等)や動物性脂肪(マーガリン、ラード等)に多く含まれます。そしてリノール酸は変化を受けてアラキドン酸に変わり、炎症や高血圧、動脈硬化の進行に関係する「悪玉」とされています。

戦後、和食中心から食事の欧米化とともに動物性脂肪の摂取が急激に増加して、反対に魚介類の消費が減少し、同時に心臓血管系の病気も増加してきました。また摂取脂肪の中での、n-3系不飽和脂肪酸の占める割合が低下してきたとのデータもあります。

いまから急に和食中心に変えるのは困難ですが、日ごろからバランスのいい食事をとりましょう。またサンマなど、魚をはじめとしたn-3系不飽和脂肪酸もとるように心がけましょう。


帯状の

胸やわき腹、臀部、顔や頭部が、なんとなく痒い、痛痒いと思っていたら赤くなってきて、その後発疹、水泡とひどい痛みにかわり、結果として帯状疱疹だったということがあります。帯状疱疹は、小児期に感染した水痘・帯状疱疹ウイルスが顔面の三叉神経や脊椎の神経節の細胞に残っていて、加齢で免疫能が落ちてきた50歳台以上でウイルスが再活性化すると発症が見られます。統計では、80歳までに3人に1人は経験するというデータもあります。

治療としては早期(発疹、水泡が出たらすみやかに)に、抗ウイルス薬を一週間内服します。それによって症状は改善していきますが、治療が遅れて重症化した場合や免疫機能の低下している時などは、痛みが残ってしまうことがあります(帯状疱疹後神経痛)。そのために寝返りや深呼吸もつらかったり、また発症した神経によっては、めまいや視力障害が出るなど生活の質を大きく損なってしまうことがあります。

予防としては、ストレスや過労で免疫力が低下したときに起きるのであり、長期間にわたり不規則な生活を続けることや、過度の疲労は避けることがまず重要です。また年齢とともに免疫力が落ちることが要因であり、水痘・帯状疱疹ウイルスに対する免疫力を高めることが必要と考えられています。先進国では、帯状発疹の発症を半減させ、後遺症での痛みを1/3程度に減らすとして、既に50歳以上に対して帯状疱疹予防ワクチン(水痘ワクチン)の接種が推奨されています。我が国でも今年3月から水痘ワクチンに、「50歳以上の者に対する帯状疱疹の予防」という適応が付きました。ただ高齢者の肺炎球菌ワクチンやインフルエンザワクチンとは異なり、「50歳以上の者に対する帯状疱疹の予防」のためのワクチン接種に、現在公的助成はありません。任意での、完全に自費での予防接種になります。また水痘ワクチンは毒性を抑えた生ワクチンですので、接種には注意が必要です。関心のある方は、かかりつけの医療機関にご相談ください。


副作用

今年も例年通り7月から特定健診、8月からは基礎健診が始まります。これらの健診はメタボリックシンドロームの予防、早期発見が目的であり、まずは運動や食事習慣の改善、減量から始めていって、その結果次第では薬の内服も検討することになります。

以前、市販の感冒薬を飲んだら便秘になって困ったとの話がありました。多くの会社からいろいろな感冒薬が売られていますが、基本的に咳止め、鼻水止め、痛み止め、解熱剤が入っています。そのうち咳止め用に含まれている成分(コデイン)の副作用で便秘が起こります。また鼻水に対する抗ヒスタミン剤のために眠くなり得ることから、それを抑えるためにエフェドリン、カフェインといった興奮作用の成分(アスリートではドーピングの成分)も入っています。そのため、無性に眠くなったり、逆に眠れなくなることがあります。また痛み止め、解熱剤の成分で発疹などの副作用が出ることもあります。薬の購入の際は、ぜひ店で相談の上で購入しましょう。

また薬を飲んでいる方から、副作用の可能性についての相談もありました。最近週刊誌で「薬の副作用について」の記事があったとのことです。薬は人体への望ましい効果を利用しているものの、副作用の可能性が全くない薬はまずありません。ただその副作用の発生では、おこることが多々あるもので軽いものか(たとえば内服で眠くなる、だるく感じるなど)、逆に非常に稀でも命にかかわる重篤なものか(皮膚や粘膜がただれた、など)、副作用の頻度が高くて、なお重篤になりやすい薬は、もちろん国が許可しませんが、その方の腎臓や肝臓などの状態にもよるなど、さまざまな要因があります。

体に不要な薬はもちろん飲む必要はありませんが、内服していて気になることがあったら、処方している医療機関にぜひ相談しましょう。


4ない

梅雨に入ると、まもなくむしむしした暑い夏がやってきます。最近は年中胃腸炎や食中毒がみられており、冬にはノロウイルスによる胃腸炎が有名ですが、暑い夏は、特に細菌による食中毒が多くみられます。予防は、菌をつけない(清潔)、増やさない(低温保存、素早く)、生かさない(殺す→加熱する)、そして怪しい食品は口に入れない、の「4ない」が基本です。細菌も活発に増殖するには、栄養と水分、最適の温度が必要であり、そのどれかを抑え込んで、最後は少しでも怪しいと思ったら口に入れないということになります。「菌をつけない」:料理は良く洗った清潔な手で作り、傷のある手ではやらない。手を拭くタオルも料理専用のものにします。食材は流水でよく洗う。まな板の面は、肉・魚用と他の食材用とに区別する。肉・魚などを扱った手、器具は速やかに良く洗い、そのままサラダ用の野菜を切ったりしないようにしましょう。「増やさない」:出来上がった料理、生の食材は室温に長時間放置しない。冷凍食品の解凍は、時間のかかる自然解凍は避けましょう。冷凍解凍を何回も繰り返さない。残った料理は速やかに清潔な容器に移して冷蔵、冷凍庫に入れるようにしましょう。「生かさない」:加熱して調理する食品は十分に加熱しましょう。目安は食材の中心部の温度が75度で1分以上加熱します。また、ふきんは漂白剤に一晩漬け込む、包丁、まな板、食器などは洗った後に熱湯をかけたりすると消毒に有効です。「口に入れない」:以前真空パックのからし蓮根でボツリヌス菌食中毒がありました。発生は少ないのですが、真空パック、レトルト食品などが変に膨れている時は食べないのが無難です。また味やにおいで食材が傷んでいるかの判断は当てになりません。味やにおいがよほどおかしければ菌は多量に増殖していて明らかでしょうが、その前段階でも食中毒を起こす危険は十分にあります。常温で長時間放置していたり、時間が経ちすぎていたら思い切って捨てましょう。冷蔵庫内の低温でも増殖する菌がいます。冷蔵庫に入れておいた料理も食べる時は十分に再加熱するか、冷蔵保存だから安心と余り信じないようにしましょう。これらの事に気をつけて、夏を元気に過ごしたいものです。


凝る

趣味に凝る、××に凝るは楽しいものですが、「肩が凝る」は重苦しい、痛い、張り感といった症状で苦しいものです。肩こりは、運動不足、長時間のパソコン作業といった姿勢の悪さ、ストレス等が続くと起こりやすくなります。肩を構成する、骨(特に首の骨、頸椎)、筋肉、血管、神経のいずれかに支障が出ると、肩こりが起こってきます。

骨では7つある頸椎の内、支障が起こった頸椎の場所によって、肩こりの他に、後頭部や肩、肩に近い上腕に痛みが起こることがあります。後頭部がぴりぴり痛い、重苦しいといった症状があった場合、実は肩こりが原因といったことが結構見られます。

また肩の関節は、肩甲骨と上腕骨で構成され、肩甲骨は肋骨から、上腕骨は肩甲骨からぶら下がるように筋肉で引っ張りあげられています。重さ3~4kgある腕を常に筋肉が支えていて負担がかかっていることから、疲労が蓄積していって肩が凝りやすくなります。荷物の上げ下げや、お孫さんの抱っこが続いたりするとみられてきます。

さらに神経、血管は、筋肉の間を通っていることから、筋肉によって圧迫されたり、引っ張られたりすることから、それによって痛みが起こるとされています。

予防としては、日ごろから首に負担をかけないようにすることが重要であり、首を前傾にするのを長時間続けないようにしましょう。特にパソコンで仕事をすると、頭を前傾姿勢で続けることになるため、1時間に10分程度は首を後ろに倒したり、回す運動をしましょう。また肩をこまめに動かす、すぼめる、上下に動かす運動、温熱療法としてぬるめで入浴をゆったり行うのも効果的です。

それでも症状が続くときは、薬による治療となります。内科や整形外科での相談をお勧めします。


おいしいのですが

春になり、山や海のレジャーにもいい季節になりました。山菜や釣りたての魚をいただくのも格別です。

ただ魚介類の新鮮な刺身(生食)を食べて数時間して、急に激しい上腹部痛、吐き気、嘔吐をすることがあります。夕食時に食べて、日付も変わって未明から朝方に脂汗が出るほどの激しい痛み等で起きるといった具合です。その際には、寄生虫の一種、アニサキス感染が疑われます。アニサキスは、サバ(しめ鯖も含む)やアジ、イワシやイカ、サンマなどが重要な感染源とされています。これらはアニサキスの幼虫(長さ2~3cmの白くて細い糸状)が寄生する宿主であり、最終的にはクジラなどの大型海洋ほ乳類の消化管に、成虫として寄生しているのが見られます。アニサキスにとって、本来人間の消化管は寄生する宿主ではないため、胃壁や腸管に潜り込もうとして激しい症状を引き起こしてきます。場所によっては腸管の穿孔や腸閉塞をおこしたり、異物反応としてアレルギーやアナフィラキシーショックをおこしうるとも言われています。治療はアニサキスを取り除くことであり、内視鏡処置や、緊急手術が必要となってしまいます。

予防はアニサキスに感染した魚を食べないことであり、基本的には前記の魚介類の生食を避けること、もしくは加熱(60度1分以上)してから食べることです。また冷凍(-20度24時間以上)すれば、感染しなくなるので、冷凍してから解凍後に生食するのが、いいかもしれません。なお、わさび醤油や食酢,飲酒程度のアルコールではアニサキスは死にません。

海の幸、おいしいのですが、釣ったばかりで新鮮と言っても、刺身やしめ鯖を作って食べる際にはちょっと気を付けましょう。


春には

今年も暖かい春が待ち遠しい時期になり、新年度になれば会社では、定期健診が始まります。冬の寒さでは運動不足になりやすかったですが、季節がよくなります、ぜひ有酸素運動を増やしていきましょう。運動には、肥満を防ぐ、HDL(善玉)コレステロールを増やす、血圧や血糖値を下げる効果があります。ジョギングや水泳、早歩きなどをややきついと感じる程度で一日30分をめどに行います。

 食事では、食物繊維は意識してとりましょう。きのこや山菜、野菜、海藻などの食物繊維は、食べたという満腹感が得られるとともに、腸管からのコレステロールの吸収を抑えてくれます。一方脂質は1gで9キロカロリーと高カロリー(炭水化物、蛋白質は4キロカロリー)です。そして脂肪酸は、飽和脂肪酸と不飽和脂肪酸に分けられます。飽和脂肪酸は、動物性脂肪に多く含まれ、通常常温で固まっています。バラ肉やカルビの脂身、鳥皮、バター、チーズなどに多く含まれ、LDL(悪玉)コレステロールを増やしてしまいます。反対に不飽和脂肪酸では、常温で固まらない油が多く、リノレン酸は、えごまや魚に多く含まれます。青魚のサンマやいわし、さばに多く、悪玉コレステロールをあまり増やさない、血をさらさらにする効果が知られています。糖質(炭水化物)やアルコールは、中性脂肪を増やします。中性脂肪が増えると、悪玉コレステロールがさらに動脈硬化を進めやすくなります。甘い菓子パン、ジュース、砂糖の取りすぎに注意しましょう。砂糖を減らすために、適度の人工甘味料の利用も手かもしれません。

 高脂血(コレステロール、中性脂肪)症の薬を飲み始めても、一生飲まなければならない訳ではありません。体調改善、肥満からの減量成功や、食事など生活習慣の改善で脂質異常がなくなれば、飲む必要もなくなります。ぜひかかりつけ医に相談してみましょう。


冬の食中毒

暑い夏には食べ物がいたみやすいですが、冬でも食中毒があります。冬は細菌によるものよりも、ウイルスによる食中毒が主になり、特に多いのがノロウイルスによる感染性腸炎です。これは、食べ物だけではなくウイルスが付着した手で食べたり、空中に飛散したウイルスを吸い込んでも発症しやすいため厄介です。

ノロウイルスはカキなどの2枚貝の生食によって感染しますが、人から人へも感染することから、それを食べた覚えがなくても学校、幼稚園などそして家庭内で流行しやすいのです。潜伏期は数時間から数日(平均1~2日)で主な症状は、吐き気、おう吐、下痢、腹痛です。特に小児ではおう吐が多く、おう吐・下痢が頻回に続く時もあります。症状の期間は数時間~数日(平均1~2日)と短期間です。

治療として特効薬はありません。ウイルスですから抗生物質も効きません。脱水にだけならないように、ぬるめのスポーツドリンクなどで水分の補給をしたり、病院での点滴が大切です。その他は吐き気止めや整腸剤などでの対症療法が一般的です。最初から下痢止め薬は、お勧めできません。

予防としては石けん、流水での手洗いですが、他には調理に注意です。貝類の内臓を含んだ生食は、時にノロウイルス感染の原因となるがあります。そのために感染、発症しやすい小児や体力の落ちた方は、生食を避けるのが無難です。貝類をその内臓を含んだままで加熱調理する際には十分に加熱して調理しましょう。

またノロウイルス感染症の場合、そのおう吐物や下痢便には、ウイルスが大量に含まれています。そしてわずかな量のウイルスが体内に入っただけで、容易に感染してしまいます。おう吐物や下痢便が付着した衣類は乾く前に対処しましょう。乾燥すると、空中に飛散し感染源となってしまうのです。片付ける人は、マスクや手袋(できればメガネ、ゴーグルも)をしっかりと着用した上で、雑巾・タオル等で吐物・下痢便をふき取ります。ふき取った雑巾・タオルはビニール袋に入れて密封して捨てます。その後でおう吐物や下痢便の付着した場所を、薄めた塩素系消毒剤(ハイター、ブリーチなどの家庭用漂白剤ではそれを200倍程度に薄めて使います)で広めに消毒します。汚れた衣類もすぐに洗濯機に入れずに(洗濯機が汚染され他の人の衣類に拡がってしまいます)、まずたらいやバケツで手洗いして汚れを落とした上で、その次に先程作った薄めの塩素系消毒剤で消毒します。水洗いに使ったバケツなども忘れずに消毒します。洗濯機に入れるのはその後です。

以上、これらのことに注意して、冬の味覚を楽しみたいものです。


肺炎対策―ワクチンあれこれ

間もなく冬のインフルエンザの季節になります。今年は新型インフルエンザが既に猛威をふるっており、最近は新聞でほとんど毎日ワクチンという活字を目にします。新型のワクチンと共に、毎年する季節性インフルエンザワク間もなく冬のインフルエンザの季節になります。今年は新型インフルエンザが既に猛威をふるっており、最近は新聞でほとんど毎日ワクチンという活字を目にします。新型のワクチンと共に、毎年する季節性インフルエンザワクチンも一斉に始まっていますが、国内で生産できる量の一部を新型用に振り分けたため、季節性インフルエンザワクチンの流通、入荷本数が例年より2~3割減ってしまいました。そのため今年の接種は、ほとんどの所で予約制や申し込み順で、品切れ終了になっています。ワクチン接種によってインフルエンザにかからなくなるわけではありませんが、免疫の活性化によって軽くすむため、はやってくる3~4週間前には前もってやっておきたいところです。 

また今年は、肺炎球菌のワクチンも知られるようになりました。今年から急にできたワクチンではなくて以前からあったのですが、これは肺炎を引き起こす細菌に対するワクチンです。特に高齢の方は肺炎で亡くなる方が多く、抗生物質が効きにくい細菌による重症肺炎も見られることから、このワクチンが注目されるようになりました。インフルエンザで肺炎を起こした上に、さらに肺炎を起こす細菌まで感染したのでは重症になりかねないため、特に高齢者の方に接種が勧められています。これら3種類とも不活化ワクチンといわれるもので、同日接種も可と言われ始めましたが、通常6日以上あけて接種すればいいと言われています。

ぜひ早めの対策をお勧めします。


秋でもインフルエンザに注意を

春から新型インフルエンザが騒がれ始めて半年、学校では学級閉鎖があり、宮城野区でもはやっています。新聞やニュースにも連日出るようになりました。症状は冬のインフルエンザとほぼ同じようです。38度を超す発熱、のどの痛み、咳、だるさ、鼻水、痰、関節痛などです。すべての症状が揃うわけでもありませんが、季節のいいこの時期に発熱、のどの痛みが出たら注意です。早めに病院を受診しましょう。今は簡易インフルエンザキットがありますが、大事な点はたとえキットが陰性でも、絶対インフルエンザにかかっていないとは言えないのです。採取した鼻水などに、まだウイルスが少なければ陰性になってしまいます。持病のある方はそれでも早めに抗ウイルス薬を使った方がいいでしょうし、他の方では半日から1日後にチェックした方が出るかもしれません。もちろん家族の方がかかったから、その方もかかるとは限りませんし、逆にかかっていないという証明も困難です。潜伏期は4~7日と長いので、忘れたころに発症してしまうかもしれません。ワクチンについては、ニュースにも出ていますが、時期など具体的にはまだはっきりしていません。

予防は冬のインフルエンザと同じ、手洗い、うがい、マスクです。閉鎖空間、人ごみを避ける、換気をこまめにすることが大事です。またくしゃみや咳は、手やマスクで口をおおってするといったエチケットが大事ですね。


元気に、秋を迎えましょう

梅雨も明けないのに、8月、立秋になってしまいました。昨年のような夏らしい夏ではありませんが、じとじとと蒸し暑く体調を崩しやすい時期です。じっとりと汗をかいた後に、冷えたクーラーの下にすぐ行くと体温を管理する自律神経が狂ってしまいます。冷えすぎたり頭が痛くなったりします。また汗には塩分が含まれており、適当に補給しないと、塩分バランスが崩れ、体調を崩してしまいます。さらにのどが渇いたからと、冷水だけ飲んでいると胃腸が疲れて下痢をしたり、食欲不振となります。先ほどの自律神経が不調だとなおさらです。

ではどうすれば、ということになりますが、まずはしっかり寝て疲れをとることです。クーラーや扇風機をつけるにしても、体に直接風を当てないようにします。風を当てながら休むと、体温が奪われてますます自律神経が不調になり、体調を崩す原因になります。寝る前に部屋を冷やしておくか、タイマーでオフ機能を使いましょう。

次にしっかりと食べることです。体調維持のために特にビタミン(特にB,C)、塩分補給が大事ですが、ビタミンB,Cは、水溶性のため体内に貯めることができません。食欲がないからと口にしないでいると、体内でなくなってしまいます。夏の食べ物の代表、枝豆や冷奴などの豆類、トマト、豚肉料理、レモンなどの柑橘類が補給に最適です。

また水分もとります。ただしジュース、ビールのガブ飲みはお勧めできません。それだけでも食欲は落ちてしまいますし、ジュースには多量の糖分が入っており、またのどが渇いてしまいます。繰り返すうちにいつの間にか「太った」は避けたいものです。ビールも利尿作用があり、せっかく飲んだ水分以上を尿として出してしまいます。そこでのどが渇いたら、スポーツドリンクや麦茶などを少しずつ飲むのがお勧めです。ただ下痢気味など胃腸が疲れている時は、冷えていないぬるめの飲み物にしましょう。  

さらに冷房の効きすぎも注意です。体温調節機能が異常にならないように、外では薄着でも冷房の効いた室内では一枚着るか、高めの設定温度にします。そして直接風には当たらないように気をつけます。冷房ではなくドライ機能も有用ですね。

以上のことに注意して、元気に今年の秋を迎えたいものです。


梅雨、そして暑くなると皆元気!

梅雨が終わると、まもなく暑い夏がやってきます。海山の旅行にはいい季節となる一方、おなかをこわす食中毒の時期でもあります。冬にはノロウイルスが有名ですが、夏の食中毒の多くは、細菌によるものです。細菌も活発に増殖するには、栄養と水分、最適の温度が必要であり、予防ではそのどれかを抑えて、口に入れないことです。原因となる細菌のタイプとしては、毒素を産生して症状を出す菌と、菌が殖えて症状を出す菌に分かれます。毒素型菌は食後に症状が出るまでが早く、厄介なのは100度、30分加熱しても毒素は無毒化されないことです。加熱したから大丈夫、ではないのです。たとえば毒素型の黄色ブドウ球菌では、食後数時間で、嘔吐、腹痛、下痢などの症状が出てきます。乳製品や卵加工品、肉製品、弁当、おにぎりや、生菓子、魚肉ねり製品などいろいろなものが原因となります。不潔で特に傷(傷口に好んで菌が付くため)のある手での料理や、調理器具(まな板など)が原因とされます。同様に毒素型のセレウス菌は、作り置きしたご飯類、麺類が主な原因となります。食中毒菌の特徴として、土壌、河川、家畜、野生動物など自然界に広く生息している菌が、人間の体内に入ってしまい、菌によって半日から数日後に症状を起こしてきます。海(塩水)に生きる腸炎ビブリオは、刺身などの魚介類、加工品(塩辛、漬物)で発症します。熱や真水に弱く、加熱したりよく洗うことが大事です。河川、湖水、動物の腸管にいるサルモネラ属菌、加熱不十分の肉(特に鶏肉)と卵、その加工品で起こり、十分加熱することが重要で、卵の生食では新鮮な卵を食べましょう。家畜(特に鶏肉)の腸管にいるカンピロバクター菌、加熱不十分の肉、家畜の汚水が混じった生水、菌が付着した器具での調理が原因となり、加熱、熱湯消毒が重要です。同様に家畜(特に豚)やネズミにいるエルシニア菌、加熱が大事ですが冷蔵庫の低温でも増殖できる点に注意が必要です。

最初に、菌も増殖のために栄養と水分、適当な温度が必要とお話しました。生き物として、では空気は?ということになりますが、酸素のない所で増殖できる菌もいます。自然界に広く生息するボツリヌス菌、熱にきわめて強い芽胞という形となって生きていきます。神経に作用する毒素を産生し、視力障害、呼吸困難などを引き起こして死亡することもあります。以前真空パックのからし蓮根で騒ぎになりました。発生は少ないのですが、真空パック、レトルト食品などが変に膨れているときは食べないのが無難です。同様にウエルシュ菌、酸素のないところで増殖し、芽胞をつくって100度、数時間の加熱に耐え、毒素を産生します。カレーやシチューなど煮込み料理が原因になることが多く、料理ができたらすぐ食べるか、速やかに冷却保存します。加熱しても死滅しないことがある点に注意が必要です。腸管出血性大腸菌も、動物の腸管内に生息し糞尿を介して食物を汚染することから、よく洗って加熱することが大事です。  

結局、菌をつけない(清潔)、増やさない(低温保存、素早く)、殺す(加熱)ことが大事です。料理は良く洗った清潔な手で作り、傷のある手ではやらない。親指の付け根、指の間、指先、爪の周囲、手の甲、手首は洗い残ししやすいので注意です。手を拭くタオルも専用のものにしましょう。湿ったタオルは雑菌が繁殖しやすくなります。食材は流水でよく洗う。まな板の面は、肉・魚用と他の食材用とに区別する。肉・魚などを扱った手、器具は速やかに良く洗い、そのままサラダ用の野菜を切ったりしない。加熱は食品の中心まで十分に行い、出来上がったら速やかに食べる。出来上がった料理、生の食材は室温に長時間放置しない。冷凍食品の解凍は、時間のかかる自然解凍は避ける。冷凍解凍を何回も繰り返さない。残った料理は速やかに清潔な容器に移し、冷蔵、冷凍庫に入れる。冷蔵庫に入れておいた料理も食べる時は十分に再加熱するが、冷蔵保存だから安心と余り信じない。

こういった事に気をつけて、夏を元気に過ごしたいものです


たかがバリウム、されどやっぱりバリウム?

皆さん、胃の調子はいかがですか?最近胃の検査は、というと内視鏡が多いですね。しかし、地域や会社の検診ではバリウムを飲んでやっています。どちらがいいのでしょう?

胃は胃袋と言いますが、実際袋状になっていて食べたものをひと時ためて消化します。手足がけがをして治ると傷跡(引きつれ)が残るように、胃も深い潰瘍をおこして治ると、袋がひっぱられたようにひきつれが残ります。胃がんの中には、粘膜表面の変化は乏しいのに壁に沿って浸潤し、胃の膨らみが悪くなるがんがあります。

バリウムを飲むと、食道、胃、十二指腸への流れやその膨らみ、全体の形、引きつれの有無を見ることができます。検査に伴う苦痛が少なく、検査後すぐに飲食ができる利点もあります。ただ、バリウムを飲んだ後の便秘がひどかったという声もあり、どうしてもX線の被曝があります。そして撮った写真は通常複数の医師で見て、気になる所があれば精密検査(内視鏡)となってしまいます。

内視鏡検査では、気になる所の粘膜を詳細に観察し、組織を採って調べていきます。今騒がれているヘリコバクターピロリ菌のチェックができます。粘膜が少し赤いだけの早期のがんが見つかることもあります。後で便秘もないし、良いことづくめ?それなら初めから内視鏡検査の方がいいのでは、という考えも出てきます。しかし、のどの麻酔のためしばらく食事ができない、のどの圧迫感、持病や内服薬によっては検査の仕方が制限される、血圧の変動など、負担はどうしても伴います。内視鏡検査で局所は良く見えますが、全体の胃の形や膨らみ、動きは把握しにくい面もあるのです。

結局、二つの検査にはそれぞれ長所、短所を補う面があります。ご自分が健康と思われる方はまずバリウムで検査(検診)し、以前バリウムで異常を指摘されたり、潰瘍、ポリープの既往がある方、便秘がひどくてという方は、初めから内視鏡検査をお勧めします。

迷われる方は、どうぞ当院にご相談ください。


立派な大便していますか?

皆さんは、日ごろ自分の大便を観察していますか?固い便、柔らかい便、太い、細い、コロコロ、黄褐色、茶色、その日によっても変わります。おなかの中をぐるっと一周してきたのですから正直です。快食快便と言いますが、食事がおいしく摂れて、立派な大便、快便が毎日あると、体調も良好です。

そこで「快便のためには」と考えると、大便は大腸で水分が吸収されて次第に固くなり、歯磨き粉チューブを絞るような、ゆったりとしたぜん動運動で肛門の近くまで運ばれます。その動き、通過速度が何かの原因で普段より速すぎたり、ゆったりしたり、止まったりすると快便とはなりません。原因としては、大腸の動きも神経で制御されていますから、まずはさまざまな精神的、肉体的なストレス(悩み、過労、寝不足、暑さ寒さ、不規則な食事時間、深酒、運動不足など)の影響があげられます。

次に大腸にはたくさんの細菌が住んでいます。善玉菌もいれば不快な症状を起こす悪玉菌もいます。善玉菌はビタミンを作り、腸内で酸を産生することで悪玉菌の活動を抑え、腸の免疫を高めてくれます。一方悪玉菌はアンモニアなどの有毒ガスを発生させ、おなかが張る、痛い、おならや便が臭い、肌荒れなどをおこしてきます。普通はそのバランスが保たれていますが、体調を崩して薬を飲んだり、暴飲暴食、不摂生などをすると崩れてしまい、下痢や便秘になっていきます。よくおなかにヨーグルトなど乳酸菌、ビフィズス菌がいいと言いますが、それは善玉菌を援軍として直接腸に送りこもうというものです。

しかし根本は、大便になる素がなければ、快便とはなりません。やはり食事が大事であり、ご飯やパン、肉、ジュース、コーヒー、菓子などの食事だけではなかなかうまくできません。細い粘土のようなボリュームのない便にしかならず、肉類の多い食事は悪玉菌を活発にしてしまいます。一方野菜や果物、ひじき、わかめなどの海藻、きのこ、こんにゃくといった繊維質を多く含む食品は、便のボリュームを作って腸の動きを整えてくれます。やはりいろいろな食物での、バランスのいい食事が大切です。食べた気がしなくて、特に若い人は余り食べたくないかもしれませんが、ぜひ摂りたい食物群です。

快食快便は健康の印です。そのような生活をしたいものです。しかしそれでもなかなか快便が得られない時は、一度大腸の検査をお勧めします。どうぞ当院にご相談ください。


大腸がん検診、もし陽性だったら?

まもなく地域や勤め先で大腸がん検診が始まります。大便にスティック(棒)を刺して、それに付着した便を調べるという簡便な方法です。大腸がんは増えており、この検診はがんの早期発見に有効であると認められています。但し最近おなかや便に何らかの症状が続いている方や、毎年便潜血検査陰性でも時々おなかの不調が気になる方には、検診ではなく最初から精密検査をお勧めします。

検診は、通常2日連続で便を採りますが、1日分でも陽性(血が混じっている)とわかれば、ぜひ精密検査をお勧めします。以前こういう考えの方がいました。「2日のうち1日分だけ陽性だったから、もう一度同じ検査で陰性と出れば大丈夫」、「きっと痔から出たのだから、問題なし」という方です。しかしそういう考え方はやめましょう。1日分以上陽性だった方のうち、調べると半分から2/3の方にはポリープなど(その一部にがんも含まれます)が見つかります。そして残りの方には、何もなしです。ですから、陽性の方全員にがんがあるわけでは全くないのですが、「半分以上の方にポリープなど」ということは確率2人に1人以上なのですから、ぜひ検査をお勧めします。

精密検査には、①肛門から大腸の奥まですべて内視鏡で観察する方法と、②肛門付近の腸は内視鏡でみた上で、それより奥の腸にはバリウム液を入れてX線写真を撮っていく方法、の2つがあります。ただ②の場合、もしX線写真でポリープなどの影があったら、また別の日にそこまで内視鏡を入れていくことになります。さらに、②よりも①の方が、わずかですが診断の精度が高いことがわかっています。

そこで当院では、手術の癒着による痛みなどで困難でない限り、初めから内視鏡で奥まで見てしまいます。検査そのものは20分程ですが、まずは2~3時間かけて大便を除かなければなりません。そのため全てが終わるには半日ぐらいかかります。結果はその場でわかりますから、何もなければ大いに安心してお帰りください。もしポリープなどがあったら、詳しく観察したり、その組織の一部を採ったりして終了します。そしてその結果を踏まえて、今後の治療や経過方針を検討していくことになります。


便秘について

皆さん、排便の調子はいかがですか。排便の回数には個人差があり、毎日の人もいれば何日に一度の人もいます。

便秘とは、大便が腸内に長期間とどまり、排便が困難になる状態を指しますが、便秘には種類があり、大きく器質性便秘と機能性便秘の二つに分けられます。

器質性便秘とは、大便が通過しにくくなるような病気が大腸におきて、そのために起こる便秘です。ですから、便秘薬だけではなかなか便通は改善しません。

一方大半を占めるのが機能性便秘です。大腸の動き、機能が乱れることで起こる便秘であり、さらに直腸性便秘、弛緩性便秘、痙攣性便秘に分かれます。 

1)直腸性便秘通常肛門付近の直腸に、便が来るとその刺激で便意が起きるのですが、それを我慢していると、だんだん腸が刺激に慣れてしまい便意が薄れてきて、便をため込んでしまいます。太くて固い便になりやすくなります。

2)弛緩性便秘大腸が中の便を肛門の方へ送ろうとする、「ぜん動運動機能」が低下することが原因で、便意を感じなくなります。病気などで体力が衰えた時、糖尿病の方、高齢者の方もなりやすいです。

3)痙攣性便秘大腸の動き、機能が乱れて一部に痙攣が起こって狭まり、そこを便が通ろうとするために便秘になります。ウサギの糞のようなコロコロした便、鉛筆状の細い便、排便後の残便感、などが特徴です。ストレスが主な原因です。

これら機能性便秘の原因としては、食事量、食物繊維の少なさ、不規則な時間の食事、水分不足、排便欲求の我慢、精神的ストレスなどがあげられます。 これらを改善していくことで便秘も治まっていきますが、最近は便秘の性質に合わせたいろいろな薬が出てきています。また機能性便秘と思っていたら、実は器質性便秘だったということもないわけではありません。

特に中高年の方など、便秘に悩まされている方は、市販の便秘薬に頼るだけではなくて、一度専門医にご相談ください。


胃に住む悪玉菌

最近ヘリコバクター・ピロリ菌(以下ピロリ菌)を新聞や雑誌で見る機会が増えてきました。胃に住み着いて、胃潰瘍や十二指腸潰瘍、さらには胃がんなどを引き起こす悪玉菌として知られています。日本では特に中年以降の7,8割の方はもっており、それは戦後の衛生環境の悪さが原因で、口から入ったものと言われています。しかしたとえ胃にいても、特に症状のない方もいれば、胃潰瘍などを繰り返す方もいます。もし胃潰瘍、十二指腸潰瘍で何回も薬の世話になっている方は、一度主治医の先生にご相談になったらいかがでしょう。

ピロリ菌がいるかどうか、いろいろな方法で検査ができます。特に内視鏡の時に一部胃の組織を採ったり、検査薬を飲んだ前後の息を調べたりすれば、簡単にそのピロリ菌の有無がわかります。そしてもし住み着いているとわかれば、除菌(殺してしまう)するという方法があります。現在潰瘍のある方、もしくはあった方は健康保険でできますが、決められた潰瘍薬と2種類の抗生物質を7日間飲み続けます。そしてそれによって多くの方は除菌され、潰瘍の再発や上腹部の不快な症状からはかなり解放されます。ただ、必ずしも全員の方で除菌が成功するわけではなく、また3種類の薬を飲むことによる副作用や、除菌成功でも後で胸やけなど不快な症状がでてくることがあります。

そのためにまずは主治医と相談のうえ、納得してから除菌を行うか決めることが重要です。


似ている果物でも

内服している薬と、食べ物との相互作用が問題になることがあります。

代表的なのでは、ワーファリンと納豆の関係がよく知られています。 

また血圧の薬(降圧剤)とグレープフルーツとの関係、相性の悪さも良く言われます。ただそれはすべての降圧剤ではなく、血管を拡張させて血圧を下げるCa(カルシウム)拮抗剤と言われる種類の薬だけです。グレープフルーツに含まれるフラノクマリン類がCa拮抗剤の代謝(分解)を阻害してしまい、いつまでも薬効成分が体内に残ることで薬が効き過ぎて、血圧が下がり過ぎてしまうのです。冬にこたつで柑橘系の果物はおいしいのですが、Ca拮抗剤を内服している方は、グレープフルーツを避けてください。

また他の柑橘類は?となると、残念ながらグレープフルーツだけではありません。スウィーティや八朔、甘夏ミカン、ブンタンなどにもフラノクマリン類が含まれており、どの程度影響があるかは不明ですが、Ca拮抗剤を内服している方は注意が必要です。しかし同じ柑橘類でも温州ミカン、ネーブルオレンジ、伊予かん、デコポンなどには、フラノクマリン類がごく微量か、もしくは含まれていません。体調を崩しやすい冬には、これらの果物からたっぷりとビタミンCをとりましょう。

もし現在内服している血圧の薬が心配であれば、ぜひかかりつけの医師や薬剤師にご相談ください。


流れが逆らうと

会合で飲食をする機会が増える時期になりました。これまでも、食べ過ぎや飲み過ぎた翌日に胃がむかむかした経験があるかもしれません。また、胸やけ(みぞおちの上がひりひり焼けるような感じ)やげっぷ、酸っぱい水が口まで上がってきた経験はどうでしょう。胃の内容物が食道に逆流する病気の総称は、頭文字をとって現在GERD(ガード)と呼ばれています。内視鏡検査の後に指摘されたりする逆流性食道炎は、その一つです。 

胃と食道のつなぎ目がゆるかったり(食道裂孔ヘルニア)、胃に内容物がいつまでも残っていたり、胃の内圧が高まると逆流しやすくなります。胃酸が上ってくることで、酸に弱い食道で炎症(食道炎)や不快な症状をおこしたり、いがらっぽいなどののどの違和感、空咳がずっと続くことがあります。

早食いや食べ過ぎ、消化に時間のかかる高脂肪食、飲酒、喫煙は、げっぷや逆流を起こしやすくします。会合で酔って帰宅した後など、食後すぐ横になってしまうと逆流は当然しやすくなります。さらに、ベルトをきつく締めるなどの腹を圧迫する服装、肥満、前かがみや腹圧をかける仕事でも、胃の内圧を高めてしまいます。

食事や生活習慣に注意して、この時期を快適に過ごしましょう。また症状が出ても市販薬で治まることはありますが、稀に重大な病気が隠れていることがあります。もし症状が続く時は、ぜひ病院を受診しましょう。


そろそろまたやってくる

今年は9月になっても、暑さが続きましたが、やっとおさまったと思ったら今度は急に寒くなってきました。それと共に、またインフルエンザの季節がやってきます。去年は既に夏から猛威をふるっていたのに比べれば、今年はまだぽつぽつですが、もう始まっています。インフルエンザ治療の薬は、昨年から今年にかけて新薬が出てきました。しかしまず手洗い、うがい、マスクと共に予防接種が最大の防御です。昨年は3種類の株(Aソ連、A香港、B)で作った季節性ワクチンと新型インフルエンザワクチンの2種類があり、予防には両方の接種が必要でした。今年は、3種類の株(A新型、A香港、B)を使った1種類のワクチンで済みます。ワクチン接種によって、インフルエンザにかからなくなるわけではありませんが、健康な方の発病割合が70~90%減少すると報告されています。なお予防接種をしてから、インフルエンザに対する免疫が上がってくるのに約2週間かかります。今日接種したから今日から効くわけではありません。また効果は5カ月間ほど続くと考えられています。高齢の方、基礎疾患のある方、来春受験の方は特に早めの対応をしましょう。なおインフルエンザワクチンでは、接種によって注射部位が腫れる、かゆくなるなどの軽い副反応から、ごく稀ですが入院が必要な重篤な副反応も起こり得ることが知られています。接種前に良く説明を聞いて、これらを了解の上でされることをお勧めします。


若さを保つために

お肌の張りを保つために○○○を、との広告がよく見られます。皮膚の衰え、しわは年齢とともに仕方のないものですが、同年齢より明らかにしわが目立つとしたらどうでしょう。日光の紫外線によって、夏に若い人の小麦色の肌は、健康的でいいかもしれませんが、年齢がいくと皮膚を痛めて、色素沈着、しみの原因となります。また身近では、スモーカーズフェイスと題された写真があります。双子で、片方がヘビースモーカー、もう一方が非喫煙者の場合です。双子ですから、親からの遺伝は同じはずなのに、非喫煙者の方は年齢相応であるのに対して、喫煙者では歯の黄ばみ、目じりのしわ、口元など、明らかに張りがなくなって年取ってみえます。「同じ双子なのに」です。それは、皮膚組織への血管が喫煙によって収縮してしまい、また吸い込んだ化学物質によって皮下の結合組織が障害を受けるためと考えられます。 

10月からは一箱300円のたばこが400数十円になります。毎日一箱で12週間では35000円 ほどです。一方禁煙を保険診療で行った場合、3割負担ではその約半分の金額負担でできることになります。

若さを保つために、まずは身近にできること、禁煙から始めてみませんか。


有害な排気ガス

冬になると一酸化炭素中毒死の事故が、時々ニュースで報じられます。しかしそのガスをいつも吐き出しているとしたらどうでしょう。自動車などはもちろんですが、ヒトの吐く息にも、わずかですが0~2ppm程度の一酸化炭素が含まれています。しかし喫煙している方の多くは、その10倍以上で、20~30ppmも出している方もいます。火が燃える時にどうしても発生するガスですので、吸いこんで、また吐きだしているのです。一酸化炭素を吸うことですぐに命に危険が生じないのは、濃度が薄いからだけです。実際は体に酸素が行き渡りにくくなり、血管の壁も障害して動脈硬化を進行させます。非常に酸素が必要な脳や心臓組織では、動脈硬化の上にさらにニコチンが血管を収縮させますから、将来へのダメージは大きくなります。今現在のちょっと1本よりも、将来の自分の体を考えましょう。 

禁煙を始めると、吐く息の一酸化炭素濃度はみるみる下がっていきます。また咳や痰が減って、まず禁煙を実感できます。最近禁煙の成功率が高い内服薬がでています。この秋には、禁煙をぜひ始めましょう。


水分の出過ぎを防ぐには

体への水分摂取は通常、口から入りますが、出ていくのには吐く息、汗、尿、大便と多くのルートがあります。そのバランスを内臓や皮膚がとっていますが、それらの内どれかが極端に多くなってしまうと、体調をくずしてしまいます。特に汗と大便は何らかの条件では大きく変動します。炎天下で、水分を取らないで多量の汗をかいていると、最後は体温の調節ができなくなり、死亡してしまいます。また嘔吐や下痢が続くと、大量の水分、塩分が出ていって脱水になってしまいます。脱水を防ぐためには、水分や、水分を多く含んだ食事を下痢の最中でも摂ることが大切です。水分を摂らないようにすれば、だんだんと下から出る(下痢便)量も減っていって下痢が治るという考えは危険です。その前に体の水分がなくなってしまいます。胃腸に負担をかけないよう(胃腸が刺激されて極端に動かないよう)に水分を摂りましょう。非常に熱い、冷たい、辛い食事、消化しにくい繊維質のもの、アルコール、炭酸飲料、脂肪分の多い食事を避けましょう。まずはぬるいスポーツドリンクを少しずつ飲みます。ぬるま湯でも構いませんが、塩分も脱水では失われていることから、真水だけでの大量摂取は避けましょう。それらを飲んでも胃腸が大丈夫なようなら、おかゆやみそ汁で塩分、水分を摂っていきます。逆に少し飲んだだけでもすぐ大量に嘔吐や下痢をしてしまって体が受け付けない時は、点滴で水分を補うことが大切です。ぜひ病院を受診してください。


同じ「イネ」科でも

やっとスギ花粉が終わった頃に、眼のかゆみや鼻水、くしゃみといった全く同じ症状が現れることがあります。水田のイネは、すくすく育ってきていますが、同じイネ科に属するカモガヤを代表とする雑草は、空き地や道路脇などに生息し、5~7月に花粉症を引き起こしてきます。カモガヤ以外でも、同じイネ科の雑草の花粉では共通した抗原性が強いことから、まとめて「イネ科花粉症」と呼ばれています。もともと牧草用として輸入されたカモガヤは、スギの花粉と違って数キロ程度しか花粉は飛ばないとのことですが、通勤通学路や家の近くで繁茂していれば、同じことです。梅雨で長雨になれば、花粉は飛びにくくなりますが、乾燥してくると飛散してしまいます。対策としては空き地などで雑草が茂っている所の風下は、できるだけ避けて通る、庭などで見つけたら花が咲く前に刈り取ってしまうことです。またスギ花粉症のような症状がでたら、内服や点眼薬など同じ対応が必要です。


貧血いろいろ

健康診断などで採血すると、貧血を指摘されることがあります。特に健診では、限られた検査項目ですから、血色素量、赤血球数で見ます。これらが少ないと貧血と指摘されますが、一言貧血と言っても原因は様々です。血液そのものの病気でも起こりえますが、最も多いのは、血色素の材料となる鉄分不足による貧血です。鉄分が口から体内に入る量と、失われる量のバランスが崩れれば貧血になってしまいます。まず口から取ることを考えると、鉄分の体内への吸収に障害があったり、日ごろから偏食して栄養が偏ってしまうと起こります(ごはん、ラーメンなどの炭水化物、脂肪の多いおかず、ジュース、スナック菓子などにはほとんど鉄分はありません)。鉄分の多いバランスのとれたおかず(レバー、緑黄色野菜、貝など)を多く摂りましょう。またきちんと食べていても、出てしまう量が多ければバランスが崩れます。女性では生理によるものが第一ですが、問題は消化管から出血していても起こるということです。腫瘍や炎症がおこって、常に血がにじんだ状態で消化管に出血していると、特に気がつかなくてもいつのまにか貧血が進んでしまいます。

貧血を指摘されたら、詳しい採血項目で検査をした上で、原因を検討することが必要です。特にこれまで貧血と言われたことのない方が急に貧血を指摘されたら、ぜひ詳しい検査をおすすめします。


肝臓もメタボ?

新年度になり、まもなく地域や勤め先で健康診断が始まります。身長、体重、採血などが行われ、腹囲は何センチ、メタボとチェックされますが、内臓にもメタボ状態があるのをご存じですか?お酒が大好きな方はもちろんですが、お酒は飲まない甘党の方でも、運動不足になると腹周りと共に、肝臓に脂肪がたまってきます。肝臓のメタボ状態です。以前はお酒の飲まない方で、脂肪肝と言われると、食事に注意して運動しましょう、将来特に悪さはないですよ、との考えでした。しかし最近はその状態(非アルコール性脂肪性肝疾患)から、さらにその1~2割の方で肝炎(非アルコール性脂肪肝炎)に進むことがあり、進行すると肝硬変、肝がんに進むこともあることがわかってきています。生活習慣病では、肥満、糖尿病、脂質異常症などの合併が多いほど、上記の肝炎への危険性が高くなると言われています。これまではB型肝炎、C型肝炎とウイルスでの肝がんが注目されてきましたが、メタボから肝がんになるルートも知られてきています。

健康診断でメタボや肝機能異常が指摘されたら、放置せずに一度肝臓を調べましょう。同時に運動や食事からメタボ解消も必要ですね。


花粉症に慣れる?

まもなくスギ花粉症の季節がやってきます。対策とすれば、マスク、メガネをかける、早めに薬を飲む、点鼻、点眼薬をつける、花粉を家に入れない、などですが、現在スギ花粉に慣れよう、そして症状を抑え込もうという研究がされています。スギ花粉(抗原)の非常に薄い濃度から、濃い濃度のごく少量の液を徐々に1日1日、1か月ほどかけて舌下につけていくことで、体の免疫システムに慣れさせようというものです。アレルギー治療では、少量の抗原を体に入れて慣れさせるという方法(減感作療法)に、注射していくという方法がありますが、ある濃度になると突然アレルギー反応が強くでてショックを起こすようなこともありました。しかし舌の下に抗原エキスを触れさせる方法では、そのようなひどいアレルギー反応がおこることはありません。特に激しい副作用はないようです。そしてスギ花粉(抗原)に体の免疫系を慣れさせることで、花粉に対する反応を弱めてしまう、症状を軽くすることができるというものです。まだまだ大学、学会の研究段階ですが、数年後には認められることになるかもしれません。待ち遠しいですね。

もう少し辛抱して、現在は早めに薬を飲むなどの対策が大事です。


いつのまに

大腸内視鏡検査で、いわゆる「痔」が見つかることがあります。いつのまにと言われる方が多いですが、一言で痔といっても、肛門の病気には裂肛(切れ痔)、痔核、肛門周囲膿瘍などさまざまあります。よく見られるのが、硬い便をすることで急性や慢性的に肛門の粘膜が裂けて、前後にいぼやポリープができてくる裂肛です。さらに、血管やその周囲の組織(クッション)が、それを支える組織が弱まることで脱出するようになり、うっ血や肥大、出血するようになった痔核があります。これらの予防としては、硬い便をしないように便秘を避ける、肛門付近の血液循環を妨げないようにするために冷やさない、肛門が低い体勢(しゃがむ)で長時間いない、トイレで長時間いきまない(せいぜい5分程度で済ませる)、排便後に洗浄器を使う、入浴して清潔に保つ、が挙げられます。また肛門に負担がかかることから、生活習慣として下痢をしないように注意する、過度の飲酒をしない、強い香辛料を口にしないことが大事です。これからの時期、深酒の上、寒いところに長時間いるのは「痔」にとっても注意です。症状としては肛門の重苦しさ、排便時の出血、痛み、残便感がみられます。しかし排便時の出血やその他の症状から痔と思って放置していたら、実は肛門付近の腫瘍や腸炎だったという事もあります。 

症状が続く時は痔と思い込んで放置せずに、少なくとも一度は医師に相談して肛門付近の検査を受けましょう。


今年もそろそろ

最近急に朝がすずしくなって、のどの調子が悪くて風邪気味という方が増えてきました。またまもなくインフルエンザの季節になってきます。まだ少ないですが、もうインフルエンザの発症も見られています。予防はうがい、手洗い、マスク、人混みに近づかないことですが、さらに予防接種が重要です。今年の予防接種はもう10月から始まっています。昨年同様A型、新型、B型の3価ワクチンですので1回で済みます。ただ今年から3歳以上13歳未満の小児ワクチン接種量が0.3mlから0.5mlの2回に増え、さらにインフルエンザワクチンの国内製造会社4社の内、大手1社のワクチン236万本が出荷できなくなってしまったことから、10月当初からの予防接種でワクチンのやや品薄感が出ています。 

さらにインフルエンザワクチンの他に、高齢な方の肺炎に対する肺炎球菌ワクチン、中1高3生の麻しん風しんワクチン、中学高1生女子の子宮頚がんワクチンが時期的には重なってきます。これらのワクチンで麻しん風しんワクチンだけが、ウイルスが生きている生ワクチン、インフルエンザ、肺炎球菌、子宮頚がんワクチンは不活化ワクチンと、種類が異なります。生ワクチンである麻しん風しんの予防接種をすると、その後に他のワクチンは27日以上空けることが必要です。不活化ワクチンの場合はその後に6日以上空ければ他のワクチン接種は構いません。時期が重なる時は日程を考えることが必要ですし、不安な時はぜひかかりつけ医に相談ください。


芋煮会のシーズン

秋で芋煮会のシーズンになってきました。芋煮には、芋、肉、ネギやにんじんなどの野菜、きのこ、こんにゃくなどが入ると思います。食品の栄養素でみると、炭水化物、タンパク質、脂質、野菜、その他となります。その中で野菜やきのこ、こんにゃくはほとんど栄養がないことになりますが、食物繊維が豊富に含まれています。 

 食物繊維には、(1)水に溶けにくい不溶性食物繊維と、(2)水に溶ける水溶性食物繊維に分けられます。不溶性食物繊維(野菜などに含まれる糸状の長いすじ)を多く含む食品には、野菜、豆類(大豆など)、穀類などがあり、胃や腸で水分を吸収して膨らみ、便のボリュームを作って腸を刺激して便通を良くします。またよく噛んで食べることになるので、食べ過ぎを防いでくれます。便秘の方は、日頃から多く摂るように心がけましょう。

一方水溶性食物繊維を多く含む食品には、里芋、こんにゃく、果物(秋では柿やりんごなど)、海藻などがあります。水溶性食物繊維は腹持ちが良く、糖質の吸収を緩やかにすることから、食後血糖の急激な上昇を抑えます。またコレステロールを吸着して体外に排泄することで、血中コレステロールを下げます。さらに大腸では食物繊維が分解、発酵することでいわゆる善玉菌が増えて、腸の調子が良くなります。

食物繊維は日頃から20~25g程度摂りましょうと言われていますが、実際にはなかなか難しいのが現状です。たとえば白米茶碗1杯や6枚切り食パン1枚で食物繊維は0.5~1.5g程度、大根、里芋、にんじんを100g食べて1~2.5gです。また100gのきのこやこんにゃくで2~3gほどですから、外食が多かったり、意識してこれらの食品をいろいろ摂らないと達成はなかなか困難です。その点で芋煮や鍋料理は、野菜など食物繊維が多く入った料理ですので、望ましいかもしれません。

日頃からバランスのいい食生活で、これらの食物繊維を摂ることを心がけましょう。


食欲の秋までには

今年も8月から特定健診が始まりました。メタボリックシンドロームの早期発見をすることで、将来の脳?心臓の血管病の予防を目的としています。そしてそれには肥満が大きく関わっています。特に内臓に脂肪がたまることで脂肪細胞から生理物質が分泌されて、高血圧、コレステロール?中性脂肪異常、糖尿病を引き起こして動脈硬化につながっていきます。予防には当然日頃からの運動や食事に注意となります。 

食生活と肥満の関係では、食事内容ではまず高グライセミック?インデックス(glycemic index : GI)食、単純糖質の多い食事かどうか、が挙げられます。GIとは、食後2時間内でどれだけ血糖が上がっているか、逆になかなか下がらないかを食事内容で比べるものです。当然調理方法で異なってきますが、ブドウ糖の食事をGIで最高とした時、割合高いGI食(血糖が上がってなかなか下がらない)にはコーンフレーク、はちみつ、フランスパン、精白パン、白米、クッキーなどがあります。一方低GI食(血糖があまり上がらない)には、豆類、野菜、食物繊維を含む食品があります。そして高GI食が多いほど、体重増加、糖尿病、心血管病などのリスクが増えることが報告されており、日頃からご飯物だけではなく、バランスのいい食事が大事ということになります。

また果糖(果物やジュースの糖分)は口当たりが良くて、さらに満腹と感じにくいために摂り過ぎてしまい、体脂肪の増加を引き起こしてきます。果物やジュースの摂りすぎに注意しましょう。また、ご飯などの炭水化物、タンパク質は1gを摂ると約4kcalなのに対して、脂質は同じ1gで9kcalと倍以上です。そのためスナック菓子、カップ麺などで脂質分を多く摂りすぎると、当然カロリーは過剰になってしまいます。

そして1日の食事カロリーが同じだとしたら、それを3回、4回と少しずつ分けて摂るよりも、2回や1.5回と少ない回数で摂る方が明らかに太ります。回数が少ないと、体は食物エネルギーに飢えるようになって、食べた時に栄養を脂肪にして貯め込もうとするのです。そのため相撲力士は、朝げいこをして体がエネルギーに飢えた状態にした後で、わざと1日2回の食事をして太ろうとするくらいです。また夕食が遅い時間ほど脂肪を多く摂る傾向にあり、食後早めに寝てしまうことになるために、エネルギーが消費されずに糖尿病やコレステロール異常になりやすくなります。

1日3回の、時間や内容バランスのいい食事を心がけましょう。


今年は節電で

今年は節電で、扇風機が全国で品薄状態です。毎年熱中症による事故が報道されますが、今年は特に注意です。熱中症は自分(筋肉)が出す熱、それを下げようとする水分塩分(汗)、そして体温のバランスが破綻した時に起こります。 

熱中症の最大の危険因子は、熱が逃げない、大量の流れる汗が乾かないような高温多湿の環境です。そのため職場ではWBGT(湿球黒球温度)という、気温と湿度、風速、輻射(放射)熱を考慮した、熱ストレスの評価を行う指標があるくらいです。

次にその方の体調(寝不足、下痢での脱水、風邪での発熱中)や要因(年齢:幼児や高齢者は体温調整が苦手、持病の有無:糖尿病、心臓病、精神疾患、高血圧、腎臓病で内服中など水分調整自律神経バランス不調の状態、肥満:皮下脂肪の程度)が関係してきます。

またその時、体にかかっている負荷(安静状態なのか、デスクワークなどの軽作業なのか、クーラーのないトラクター運転や草とりなどの中程度作業なのか、息が切れる全身を使った激しいスポーツや労働なのか)で、体の筋肉から発生する熱量が大きく変わり、熱中症への引き金になります。

そして症状は、様々です。まずは大量の汗、筋肉がつった、めまい、欠神(ごく短時間意識がボーとしてまた戻る)などの第一段階、頭痛、嘔吐、だるい、なんとなくボーとするなどの第二段階、意識障害、内臓機能異常の第三段階があります。第二、第三段階では入院が必要となってきますし、命に関わります。

予防としては、これらの危険因子を減らすことにありますが、まずは汗で失われる水分塩分の補給、具体的には市販のスポーツドリンクや経口補水液、味噌汁などを飲み(真水の水分だけや、塩だけの補給は危険です)、すずしい場所で頻回の休憩をして、冷剤などで体温を下げましょう。一方高温多湿の場所であればあるほど、激しい動作で汗をかけばかくほど短時間でおきやすくなるので注意しましょう。そして第二、第三段階に入ってしまったら、入院も考慮して早急に病院受診が必要です。


バランスも大事

今年は震災の影響で、毎年それぞれ行われている検診の時期が遅れ気味になっています。胃の検診で見つかる胃潰瘍では、最近上腹部(みぞおち)のあたりの調子が悪い、食後しばらくすると痛くなる、むかつきがある、食欲がないなど、いろいろな症状がみられます。以前胃潰瘍は、胃が分泌する胃酸の量、酸の強さと、胃酸から胃自身を守る胃粘膜の防御機構のバランスが崩れた時にできやすい、と言われていました。胃粘膜の血流が低下すると防御機構は弱まってしまい、その時に潰瘍はできやすくなります。原因として、まず喫煙があげられます。喫煙によって血管が収縮して、血流が低下してしまいます。またストレスによっても起こります。ストレスが加わると、自律神経を介して胃粘膜の血流の低下や、逆に胃酸の分泌が亢進することが知られています。悩みや不眠、多忙によって精神的に休めない時、また肉体的には重いやけどをおったりすると、胃潰瘍ができることがあります。また大量の刺激物も原因と言われていました。コーヒーや香辛料を大量に口にすると胃酸の分泌を促してしまいます。また多量の飲酒も胃腸の負担になることから避けましょう。


美味しいのですが

料理はよく関東風、関西風と言われ、秋の芋汁にも味噌の仙台風、醤油の山形風があります。これらを初め、料理に塩味は欠かせませんが、多くとりすぎると体調を崩す原因になります。塩味の成分、塩化ナトリウムで、ナトリウムが血中にあまりに多く入ってくると、体の組織から水分を血管に引きこみ、それを薄めようとします。塩辛い、味の濃いものを食べると口が乾く、水が欲しくなるのはそのためです。そして血管内の水分が増えて水圧(血圧)が上がってしまいます。いつも上の(収縮期)血圧が150(mmHg)を超している方は、脳卒中の危険性や動脈硬化の進行、将来心臓や腎臓が疲れてしまう危険性が明らかに高くなります。その方の他の病気にもよりますが、収縮期血圧は120~130台に抑えたいところです。日本人は食塩を一日平均11~12gとっているとされていて、それを高血圧の方は一日6gに抑えましょう、どうしても無理なら10g以下に抑えましょうと言われています。ではこれを守るためには、ご自分の食事にぜひ注意が必要です。たとえばカップ麺、スープも美味しいのですが、脇に書いてある成分表をのぞいて見てください。ナトリウム:麺 ○g、スープ ○g、併せて○gと書かれています。その約2.6倍すると塩化ナトリウムの量になりますが、軽く6~7g行ってしまいます。スープを全部飲んでしまうと、一日の塩分の目標以上です。その他にも当然食事をするわけですから、簡単に超えてしまいます。麺類のスープには、一般に塩分が多く含まれています。全部飲み干すのはやめましょう。醤油やソースもおかずの上からかけるのではなく、小皿にとってつけるようにします。漬け物やかまぼこなどの練り製品にも、思った以上に塩分が多いことがあります。薄味に慣れるようにして、料理には酸味や辛み、香りを利用して塩味を減らして行きましょう。高血圧の方は、食事についてもぜひかかりつけ医にご相談ください。


眠れていますか

先日の大震災以来余震が続き、また環境が変わってゆっくりと夜に眠れないことがあります。寝不足では血圧が上がり、糖尿病の方は血糖が上がり、頭痛、めまいなどに悩まされることが多くなります。これまではゆっくりと眠れたのに、地震のストレスで眠れないのは、これは体の自然の反応です。 

その時は一時的にでも睡眠薬の助けを借りましょう。以前睡眠薬は、体に悪い、一度始めたらやめられないなどのイメージがありましたが、今の薬は安全性が高く、そうではありません。一方で、睡眠薬の代わりに寝酒と称してお酒に頼るのはやめましょう。初めは寝付きが良くなるかもしれませんが、お酒は深い睡眠(熟睡)を減らしてしまい、朝方の目覚めが多くなって、疲れがなかなかとれません。夕食後にカフェインの入ったコーヒーやお茶、栄養ドリンクを飲むのもやめましょう。カフェインの興奮作用で眠れなくなります。喫煙も避けましょう。さらに就寝前にパソコンに向かって、一心不乱に思案しながらデータを打ち込んだり、テレビで激しいテンポの番組や、明るく刺激的な映像などを見るのも注意です。眼から入ってくる情報が脳を刺激してしまい、かえって眠れなくなります。

そこで一時的に薬の助けを借りるとしても、「不眠」にはタイプがあります。「不眠」が床に入ってもなかなか寝付けないタイプなのか、夜中に時々眼を覚ますタイプなのか、で薬の選択が変わってきます。自分の「不眠」にあった薬が必要です。

震災後に不眠で悩まれている方は、どうぞかかりつけ医にご相談ください。


また飛んでくる

今年もまた花粉症の季節がやってきます。新聞などで騒がれているように、昨年の猛暑の影響で、今年は大量飛散が予想されています。 

その方によって、眼が痒くなる、鼻汁が滝のように流れる、鼻づまりがひどくて鼻で呼吸ができないなど、いろいろな症状が出てきます。まずは花粉の飛散の多い日は外出しない、マスクや眼鏡をかける、家に花粉を入れないことが基本です。さらに早めに抗ヒスタミン剤を飲み始めることです。できれば飛散の2週間くらい前から飲み始めます。その上で鼻汁の症状がひどかったら、ステロイド噴霧の点鼻薬、鼻づまりがひどければさらに内服薬(抗ロイコトリエン薬等)、眼には抗アレルギーの点眼薬を加えていきます。最近の抗ヒスタミン剤は、副作用として眠気が少ないといわれていますが、それでも薬によっては眠気やだるさがでることがあります。薬によるインペアードパフォーマンス(気づきにくい能力ダウン)に注意が必要です。またステロイド点鼻薬も症状が治まるまで数日かかるとされ、鼻づまりの内服薬では、症状改善まで4週間の内服継続が必要といわれています。これらの薬でも症状が改善しないときは、肥厚した鼻粘膜のレーザー焼却を耳鼻科的におこなうこともありますが、永久治癒的な治療法ではありません。

かかりつけの医師や薬剤師に相談の上で、早く治療を開始してつらい季節を乗り切りましょう。


今のうちに

最近20、30代の女性の子宮頚がんが増えています。女性特有のがんでの発症率は、乳がんに次いで第二位であり、20、30代では第一位です。その原因のほぼ100%がヒトパピローマウイルスの感染によるものと知られています。性交によってうつるとされますが、通常ほとんどは自然に排除されていきます。ただヒトパピローマウイルスには非常に多くの型があり、その中で16型と18型と言われるウイルスに感染して排除されない場合、これらが発がんに大きく関与するといわれています。他の型での発がんもあり得ますが、多くが16,18型による発がんのため、今回これらの型のウイルスに対するワクチンをすることになりました。ただ既に感染している場合は、そのウイルスを攻撃排除する効果はありません。また3回の接種(0,1,6ヶ月後)が必要なことから、若いうちに予防接種をすることとなり、平成23年2月から中学1年から高校1年の女子に対して、任意ですが公的支援(無料)で行えることになりました。ただ23年2月の時点での高校1年生は、3月までに接種を開始することが、公的支援を受けられる条件です。また注射によって、筋肉痛や注射部位が腫れるなどの副反応もあり得ます。 

かかりつけ医に相談の上、説明を聞いた上でぜひこの機会に接種しましょう。


コマを回す

秋の健康対策として運動はもちろんですが、食事は対策の両輪となります。食事の栄養素としては、炭水化物、蛋白質、脂質の三大栄養素と、ビタミン、ミネラル、食物繊維が挙げられます。最近食後の血糖を上げないようにと、炭水化物を極端に制限するダイエットがありますが、それは勧められません。脳の栄養源は唯一糖分です。脳は、糖質が足りないと(低血糖)ふらふらしたり、意識がもうろうとなってしまいます。そのため極端に糖質をとらない場合、体は、脂質を分解して糖を作ろうとしますが、それは肝臓に大きな負担を与えて肝機能異常の原因になりかねず、また血糖のコントロール能力も悪化させるといわれています。さらに炭水化物を含む食品である穀類、豆類などの食品は、糖質だけではなく食物繊維やビタミン、ミネラルも供給しています。偏らないバランスの良い食事をとりましょう。 

そういった食事バランスの目安として、国は「食事バランスガイド」を発表しています。回して遊ぶコマの絵で、上から5つに分けて、多く食べて良いもの(主食:ごはん、パン、麺類など)はコマの一番上の太い部分、食べ過ぎないようにするもの(果物)は、コマの最も下の細い部分になります。その間に上から副菜(野菜、きのこ、芋、海藻料理)と主菜(肉、魚、卵、豆類料理)、牛乳・乳製品が並んでいます。これらをバランスよく食べなかったり、運動しないとコマは回らない(倒れてしまう)ということで描かれています。

食事のバランスについては、日頃から注意が大切です。一日の食事量、内容に疑問があれば、ぜひかかりつけ医に相談してみましょう


ラジオ体操

真夏日が続いた今年の夏も、運動しやすい秋の季節にやっと移ってきました。メタボリックシンドロームは、内臓脂肪型肥満(腹囲が男性 85cm以上、女性90cm以上)に加え、高血糖、血中脂質異常、高血圧の3つの内2つ以上を合併した状態です。腹囲の1cm減少は、体重約1kgの減少に相当します。そして体重を1kg減らすには、運動によるエネルギー消費と食事改善によるエネルギー摂取量の減少を、合わせて約7000kcalすることが必要となります。例えば1ヶ月かけて1cm腹囲を減少させるためには、一日当たり約230kcal(=7000÷30日)の抑制が必要です。 

一般に、運動だけで体重を減らすのに比べて、食事改善と合わせて行った方が減量しやすく、内臓脂肪の減少量も大きくなります。 体を動かす強さを表す単位にMETs(メッツ)があります。例えば座って安静にいる状態を基準の1METsとして、普通に歩くと3倍の3METs、ラジオ体操や早歩きで4METs、軽いジョギングは6METsとなります。そしてそれに、活動した時間をかけるとEx(エクササイズ)となります(1/3時間を普通に歩いて1Ex)。さらに運動によるエネルギー消費量(kcal)は、1.05×Ex×体重(kg)で表されます。体重60kgの人が1/3時間歩いたら、1.05×3(メッツ)×1/3(時間)×60(kg)=63(kcal)となります。20分歩いて63kcal消費にしかならないのですから、確かに食事改善と合わせて行った方が減量はしやすいのです。 

運動で、内臓脂肪を少なくとも確実に減少させるためには、週に10Ex程度かそれ以上の運動量が必要と考えられています。1/2時間の早歩き(4METs)を週5回行うと10Exの運動量になります(体重60kgで、週630kcal)。 こうすると、食事摂取量を変えないまま、週10Ex程度の運動を増やすことによって、1ヶ月で1~2%の内臓脂肪の減少は期待されます。

 スポーツの秋ですが、脚力、持久力など体力には個人差があります。無理はせずに、運動は「楽」から、「ややきつい」と感じる程度が適当です。また持病がある方は、ぜひかかりつけ医に相談の上で運動するようにしましょう。


気化熱で冷やす

梅雨が明けて、今年も暑い夏がやってきました。体温は、通常脳(視床下部)がコントロールして一定体温(平熱)に設定していますが、感染がおこるとその設定を解除して体温を上昇させて病原体が殖えるのを抑えたり、抵抗力を活性化しようとします。しかし脳は平熱に設定しているのに体温が上昇して、冷却がうまくいかない異常状態に陥ったのが熱中症です。 

体内で生まれた熱は、血液に熱を移して、皮膚の直下の毛細血管を流れることで体表に熱を放熱したり、汗が蒸発することで(気化熱)冷やしたり、体温より冷たいものに触れて熱を移したり、冷たい水を飲んで、それを体温まで温めて、尿や汗として熱を捨てることで体温の上昇を防いでいます。

しかしその時に、高い気温、高い湿度、強い日ざし、高温での料理など強い発熱体のそばに長時間いたり、風がなかったり、厚着で体から効率よく熱を捨てられないと、熱中症のリスクとなります。さらにそのような環境を不快と感知しにくい(高齢な方など)場合、その環境から逃れられない(寝たきりの状態、スポーツや仕事としてやっている時など)場合はさらにリスクが高まります。また皮下の毛細血管で熱を放出するために、熱のこもった血液と皮下で温度の下がった血液を絶えず循環させなければなりません。そのためには心臓の機能が重要であり、心疾患のある方、高血圧のために心機能を抑える薬を内服している方、自律神経に影響を与える薬を内服している方も注意が必要です。さらに熱を運ぶ血液そのものが少ない状態、すなわちのどが渇いた脱水状態や利尿剤を内服している場合も放熱に支障が出ることがあります

そしてもし体調不良で熱中症を疑ったら、涼しい所で早く体を休めて、スポーツドリンクなどで水分と塩分の補給をしましょう。顔や手足、腋の下を保冷材などでスポットに冷やすのもいいのですが、衣服を脱いで体を濡らして扇風機をかけ、涼しい風をあてて気化熱で冷やすのが、より簡単で、効果的です。

最初は体調がまずまずでも、その後急に症状が悪化することがあります。早めに対応して、入院も考慮して医療機関を受診しましょう。


外国映画のシーン

今年も7月から特定健診が始まりました。

検診の目的は、糖尿病や動脈硬化等を引き起こしてくるメタボリックシンドロームの早期発見、発症予防をすることです。BMI(=体重kg÷身長cm÷100÷身長cm÷100)では、25以上が肥満とされます。肥満が強度であればあるほど、糖尿病にかかりやすいとされています。ただ欧米人は、BMI30(例えば身長180cmなら体重97.2kg)以上の強度の肥満で糖尿病発症が増加するのに対して、日本人(アジア人)はBMI 25(例えば身長170cmで体重72kg)程度でも糖尿病になりやすいとされています。それは血糖を下げるホルモン(インスリン)の分泌能が、日本人は欧米人に比べて約半分と、少ない体質のためです。大柄の男性が巨大ハンバーガーや大瓶のドリンクを口にする外国映画のシーンは、日本人なら現実には避けたいところです。 

肥満は脂肪組織が肥大した状態であり、食べ過ぎ、運動不足、高脂肪食、飲酒などで余ったエネルギーが、皮下脂肪、内臓脂肪の順に貯め込まれます。肥大化した内臓脂肪組織からは、インスリンの効果を助ける物質や動脈硬化を抑える物質の分泌が低下し、逆にインスリンの効果に反する化学物質が分泌されるようになります。その結果、インスリンが効きにくく(抵抗性)なって、血糖が上がりやすくなります。

一方、BMI22を目指して食事や運動に頑張ると、糖尿病の発症は大きく押さえこめたとのデータもあります。体のために、検診の結果を有効に利用しましょう。


たかがーされど

今年4月から、検査値「HbA1c ヘモグロビンエーワンシー」の表示法が変わりました。HbA1cは、1~2か月前の血糖値の平均が、正常か、異常かをみています[血糖の平均値 =(HbA1c値-1.7)×30]。これまでは、JDS、日本国内でのみ通用する表示法でした。4月からはNGSP、世界標準化での表示となり、当面は両方併記となります。なおNGSP値は、これまでのJDS値に0.4を加えた値です。従って採血で糖尿病疑いは、JDSで6.1%以上だったのが、NGSPでは6.5%以上となります。たかが0.4ですが、されど意味が変わってきます。HbA1c 6.3%という単なる記載だけでは、これまでのJDSでは「糖尿病の強い疑い」の範囲に入ってしまうのに対して、NGSPではそれには入りません。 

7月から始まる今年の特定検診、基礎検診では併記となりますが、定期的にHbA1cを測定している方は注意が必要です。今年度になってHbA1c値が急に悪化した、改善したと思う時は表記法を確認しましょう。紛らわしい時はぜひ医師に相談してください。


ビールに限らず

尿酸値が高いと、検診で指摘されることがあります。尿酸値は、よくプリン体の制限と結びつけて言われますが、それだけではありません。まずは尿酸値を上げやすい生活習慣の改善が重要です。高尿酸血症は、メタボリックシンドロームと密接に関係があります。第一に食事量を抑えて、体重を減らしましょう。プリン体の多い食事(レバー、あん肝、魚干物等)をまず減らした上で、尿酸による尿路結石を予防するために、アルカリ性食品(野菜、海藻、牛乳等)を意識して取りましょう(尿が酸性になっていると、排泄された尿酸が尿に溶けにくくなって結石を作りやすくなります)。ビールにプリン体が多いとよく言われますが、ビールに限らず他の酒でも、アルコールそのものが尿酸値を高めてしまいます。なるべく控えることが必要です。そして腎臓からの尿酸排泄を促すために、水分を多く取るようにします。さらに適度の有酸素運動(ジョギング、水泳、早歩きなど)、軽い運動を続けていくようにしましょう。 

高尿酸血症によって、将来の動脈硬化や腎機能低下、さらに痛風発作(関節痛)や尿路結石などで特に痛い思いをする前に、早めに対策をとりましょう。

具体的な対策、治療には、ぜひかかりつけ医に相談してください。


石といっても

ドックや検診の超音波検査で、胆石(胆のう結石)を指摘されることがあります。胆石は、コレステロールからできるコレステロール胆石と、細菌が原因でできるビリルビンカルシウム石や原因がまだはっきりしていない黒色石からなる色素石の2種類に分けられます。胆石と胆のうがんとの関係は、関わりが深い(がんになりやすい)という研究と、それほど関わりは深くないという研究結果の両方が出ています。そのために胆石が見つかっても、すぐに手術する必要はありません。もし腹痛などの症状がなければ、まずは年1~2回の超音波検査での経過観察をお勧めします。ただ今後腹痛を起こす危険性が高い人としては、小さな石がたくさんある人、胆のう管(胆のうと胆管をつなぐ管)に石が詰まっている人、若い人、胆のうの働きがなくなっている人があげられます。 

そのために、今後こういった痛みをおこす危険性が高いと考えられる人や、胆のうの慢性的な炎症で胆のうの壁が厚くなってしまい、がんとの区別が難しい人、たくさんの石のために胆のうの壁が観察しにくい人は注意が必要です。手術も含めて今後の方針、治療については、専門医との相談をお勧めします。


車から降りて

運転していた車から降りてすぐに血圧を測ると、いつもより血圧が高いことに気づくことがあります。運転中など心理的な緊張(ストレス)状態では、脳から副腎(腎臓の脇にあります)を刺激するホルモンが分泌されて、その副腎から血圧、血糖、心臓の収縮力を上昇させるホルモンが出されます。また同時に交感神経を介してアドレナリンホルモン分泌が起こることで、自律神経系が変化して、同様に脈拍、血圧、血糖の上昇などが起こってきます。これらは、寒さや痛み、緊張などのストレスで体調が崩れそうになるのを、自ら持ちこたえようとする生体反応なのですが、これらが続くと生活習慣病(高血圧、糖尿病、コレステロール、中性脂肪異常)の悪化、ひいては動脈硬化を促す結果になります。またストレスに対抗しようと、食べ過ぎ、飲みすぎ、喫煙、運動不足が加わってしまうと、ますます生活習慣病が悪化していきます。短時間の自動車運転はまだしも、不安、不眠、過労や抑うつ、自ら嫌だと感じる思いが長く続くストレス状態では、これらの原因から体調を崩しやすくなります。日ごろ元気だったのに、急に心臓や脳血管の病気にかかってしまうこともあり、会社では多忙となる年度末などの決算期や、人事異動の時期が要注意です。 

これらの対応としてはまず原因ストレスを減らすことですが、現実になかなか難しい場合は食生活、運動、睡眠などの生活パターンに注意する、日ごろ生活習慣病を指摘されている方は、なお一層自分の体調に注意して自宅で血圧を測るなどをしましょう。もし体調不良、メンタル面での不調に気づいたら、早めに医師に相談することが必要です。


昨年ほどでは

今年の冬は寒いですが、既に立春も過ぎてまたそろそろ花粉症の季節がやって来ます。今年は昨年ほどではないものの、平年並みか、やや少ない飛散と予想されています。仙台は2月下旬からと考えられていますが、毎年重症化する方は、すでに1月から少しずつ症状がでています。 

治療は、症状が出る前から薬を始める初期段階、症状が出てきたらそれに合わせて薬を加減していく段階、良くなった症状を維持するために加減した薬を花粉飛散終了まで続ける段階に分かれます。重症化しやすい方は、軽い方に比べて症状が強いばかりでなく、症状の発現時期も早いのです。そういう方は、初期段階として飛散の2週間前からの治療開始が望ましいとされています。早めに抗ヒスタミン剤を飲み始めましょう。最近の抗ヒスタミン剤は、副作用として眠気が少ないといわれていますが、それでも薬によっては眠気やだるさがでることがあります。毎年飲んで知っている薬であれば安心ですが、初めて飲む薬は注意が必要です。

また対策は、花粉情報に注意して花粉飛散の多い日は外出を避ける、マスクや眼鏡をかける、花粉が付着しやすい表面が毛羽だったコートの着用を避ける、帰宅時は花粉を払い落とす、飛散が多い日は洗濯物を外に干さない、窓を開けないなどして家に花粉を入れないようにします。

さらにそろそろスギ花粉の時期が終わったはずなのに、まだ症状が続いていると思っていたら、他の原因もあったという事もあります。そのような時は、思い当たる原因を採血などで調べることができます。 

かかりつけの医師に相談の上で早く治療を開始して、つらい季節を乗り切りましょう。


急におなかが

寒くなってきたら、夜中などに突然吐き気、下痢、腹痛で眼を覚ますような胃腸炎が流行ってきました。症状が出てから考えると傷んでいたような物を食べた記憶があることもありますが、多くの場合そのような原因を思いつくことは余りありません。その中で冬の胃腸炎の原因として、ノロウイルス性胃腸炎がよく知られています。カキなどの二枚貝を生食で食べることで感染しますが、空中に浮遊したウイルスを吸い込んだり、食物に付着したウイルスを口から入れても発症してしまいます。

予防としては、発症しやすい小児や体力の落ちた方は、まず二枚貝の生食を避けることが無難です。十分に加熱することが重要で、中心部が85度以上で1分以上十分に加熱しましょう。また発症した方の吐物や便には、大量のウイルスが含まれています。乾いて空中に浮遊する前に、塩素系消毒剤(200倍に薄めたハイター、ブリーチなどの家庭用漂白剤)で拭き取り、密封した袋に入れて廃棄します。その場合、浮遊したウイルスを吸い込まないようにすることも重要です。夜中就寝中に吐いてしまったところ、眠いので簡単に始末して朝になってからゆっくり処理しようとすると、その間に乾いて飛散したウイルスを同室の方が吸い込んでしまい、同じように発症してしまう事になります。吐物などの処理は手袋やマスクをして行いますが、塩素系消毒剤の代わりに消毒用アルコールが効くというデータはありません。始末が終わったら、手は石けん、流水で良く洗いましょう。潜伏期は数時間から数日(平均1~2日)です。症状の期間も数時間~数日(平均1~2日)と短期間です。

治療として特効薬はありません。腸の動きを止めようとする市販の下痢止め薬は、お勧めできません。ウイルスを排出しようとする嘔吐や下痢の反応を止めてしまい、症状が長引く可能性があります。脱水にだけならないように、ぬるめのスポーツドリンクなどで水分の補給をしましょう。吐き気や下痢が強くて口渇が強いときは、早めに病院を受診して点滴、薬処方を受けましょう。


小さじ1/3杯で

梅雨が明けて、今年もいよいよ蒸し暑い夏がやってきました。関東以西では早々と梅雨が明けて、ニュースでは熱中症が連日報道されていました。体温をコントロールしている脳は平熱に設定しているのに、体温が上昇して冷却がうまくいかない異常状態に陥ったのが熱中症です。 

 高い気温、むしむしする高い湿度、強い日ざし、高温での料理など強い発熱体のそばに長時間いたり、風がなかったり、厚着していて体から効率よく熱を捨てられないなど、これらが重なってくると熱中症のリスクとなります。またそのような環境から逃れられない場合(高温多湿の閉め切った部屋や、仕事やスポーツをやっている時など)、またそのような環境を不快と感知しにくい高齢者の方はさらにリスクが高まります。

 熱中症では、立ちくらみ、足がつる(こむら返り)、大量の発汗から始まり、頭痛、ぐったりする、吐き気、嘔吐といった症状へ、また重症に移行すると意識障害、手足のまひ、高体温となり命にかかわります。

もし体調不良で熱中症を疑ったら、木陰や冷房の効いた部屋で早く体を休めて、冷えたスポーツドリンクや、0.1~0.2%程度の食塩水(水1リットルに食塩1~2g-小さじ1/3杯程度)で水分補給をしましょう。保冷材などで身体をスポットに冷やしたり、衣服を脱いで体を濡らして扇風機をかけ、涼しい風をあてて気化熱で冷やします。


下痢で、やめる

いよいよ蒸し暑い夏と共に、おなかの調子を崩しやすい、下痢が増える時期となります。下痢の主な原因としては、細菌やウイルスによる食中毒や、体調不良、飲みすぎ、食べ過ぎなどがありますが、薬剤による下痢も知られています。 

多くの種類の薬剤の副作用に下痢がある中で、起こしやすい薬は抗生物質と鎮痛剤です。感染症や抜歯のために5日間ほど抗生物質を内服した後で、ひどい下痢や腹痛、発熱がみられることがあります。抗生物質を飲むことで、大腸の細菌(善玉菌や悪玉菌)のバランスが崩れて発症します。また突然の下痢と共に血便があることもあり、このような場合は、まずただちに内服をやめることが重要です。

鎮痛剤にも多くの種類があり、心疾患治療としての低用量のアスピリン薬も含まれます。薬としては、内服薬が最も多いですが、座薬や湿布などでも起こることがあります。症状としては腹痛、下痢、下血が多く、使用中の方でこれらの症状がおこった時は、薬をやめた上で、内視鏡検査が必要です。ただ心疾患のために内服していることもあり、そのような方はまずかかりつけ医を受診しましょう。

これらの薬剤の他にも、胃潰瘍、逆流性食道炎の薬、高コレステロールの薬の中でも、腹痛は軽いものの、慢性の水溶性下痢を起こすことがあります。

内服薬の内容、種類が変わった後で、もし下痢や体調が変わった時は、ぜひ早めにかかりつけ医に相談しましょう。


アルファベット3文字

最近芸能界では、アルファベット3文字のグループ(○K○)が大人気です。一方病気の中でも、アルファベット3文字「CKD」(慢性腎臓病)が非常に注目されています。 

 日本人成人人口の約13%がCKDにかかっているとされ、CKDでは今後、末期の腎不全(透析、腎移植)や、心筋梗塞や脳卒中などの心血管疾患になるリスクが高くなります。CKDは、尿にどれだけの蛋白質やアルブミンが漏れているか、一分間にどれだけ尿を作れるか(もしくは、これしか作れないか)によってステージ1から5までの段階に分けられます。尿に多量の蛋白質やアルブミンが漏れ出て、時間当たり尿があまり作れないという最も厳しい段階では、心血管疾患(心筋梗塞や脳卒中など)で死亡する危険は、健康な人の8.1倍になると言われています。それぞれの段階で、将来起こりうる状態や命取りになりうる病気の確率がわかってきたために、非常にCKDは注目されるようになりました。そのために今年から住民健診でも、これまではなかった腎機能の項目が入るようになっています。

CKD発症への危険因子としては、以前蛋白尿の指摘あり、糖尿病、高血圧、コレステロール値が異常、中性脂肪が高い、尿酸値が高い、肥満、高齢、喫煙などが上げられます。CKDは体の動脈硬化の状態を反映しており、動脈硬化を進めるような病気、体調、習慣はCKD発症、悪化の危険要因となってしまいます。

これらの病気、状況を以前指摘された方、現在治療中の方は注意が必要です。心配な時はぜひかかりつけ医に相談しましょう。


退治には

胃潰瘍や十二指腸潰瘍、さらには胃がんを引き起こす悪玉として、ヘリコバクター・ピロリ菌(ピロリ菌)が知られています。また潰瘍で悩まされなくても、胃がもたれる、重い、食欲が出ないといった症状が出ることもあります。最近減ってきたとはいえ、日本人中年以降の7割ほどの方の胃には、ピロリ菌がいると言われています。

胃潰瘍や十二指腸潰瘍がある方、もしくは以前あった方、ある血液疾患の方や胃がんの治療を内視鏡で行った方は、これまで保険診療でピロリ菌を退治(除菌)することができました。さらに今年2月21日からは、ピロリ菌感染による慢性胃炎(委縮性胃炎)の状態でも、ピロリ菌の検査、除菌ができるようになりました。ただそれができるのは、前もって内視鏡検査を行ってピロリ菌感染が疑われた方であり、また胃がんになっていないことを確認できた方、というのが条件です。

除菌には、決められた潰瘍薬と2種類の抗生物質を7日間飲み続けます。全員が、一回で除菌に成功するわけではなく、また3種類の薬を飲むことによる副作用や、除菌後に胸やけなど不快な症状がでてくることもあります。さらに、除菌に成功すれば胃がんの危険性は確かに減りますが、全くなくなるわけではありません。

上腹部の症状に悩まされている時、また症状がない時でも定期的に胃の検査をうけましょう。感染が疑われたら、医師と相談のうえ、納得してから検査や除菌を行っていくことが重要です。


(至急)周囲も大事

風疹は例年、春から初夏にかけてもっとも多く発生しますが、今年はすでに増加し、初夏並みの流行となっています。風疹はウイルスによる飛沫感染症であり、潜伏期は2~3週間もあり、症状は紅く小さい発疹、発疹の前にリンパ節の腫れ(特に耳介後ろ、後頭部、頚部)、発熱がみられます。これらの症状が全てそろわないこともあり、一度感染すると、ほとんどの人は生涯感染することはありません。子供の症状は一般に軽いのですが、大人では関節炎が長引くことがあり、まれに合併症として脳炎などをおこすことがあります。特に女性が妊娠前半に初めて感染すると、胎児が先天性風疹症候群(先天性心疾患、白内障、難聴、網膜症など)を高率におこすとされています。 

そのため、日本では1977年から女子中学生に対して集団接種が始まりました。しかし当初男子中学生には集団接種はされず、また一時個別(任意)接種になったこともあってあまり浸透せず、現在の20代後半から40代後半までの多くの人(特に男性)は予防接種を受けていないことになります。現在の風疹感染者は男性が女性の3倍以上であり、男性の年齢中央値は33歳です。女性は妊娠が判明すると、必ず風疹の免疫抗体価を調べますが、周囲の家族は調べません。妊婦に免疫がなく、周囲の家族配偶者がその時期に感染した場合、妊婦にうつしてしまう危険が大きくなってしまいます。

風疹の免疫抗体をもっているかは、前もって採血で調べることができます。将来妊娠、出産を希望する家庭では、家族みんなで前もって調べたり、予防接種をしておくことをぜひお勧めします。不安のときはかかりつけ医に相談しましょう。


PM2.5

3月になって、また花粉症の季節がやって来ます。今シーズンは平年以上の飛散と予想されています。仙台は3月上旬から飛散が始まると予想されており、日によって既に症状が出ている方もいます。飛散の2週間前からの治療開始が望ましいとされ、例年症状の出る方は、早速抗ヒスタミン剤の内服を開始しましょう。   

対策は、まず花粉情報に注意して飛散の多い日は外出を避ける、花粉が付着しやすい表面が毛羽だったコートの着用を避ける、帰宅時は花粉を払い落とす、マスクや眼鏡をかける、飛散が多い日は洗濯物を外に干さない、窓を開けないなど家に花粉を入れないようにします。

 今年になって、ディーゼルエンジンの排気ガスなどから発生した大気汚染の原因、粒子状物質PM2.5(大きさ2.5μm―1000分の2.5mm―の超微粒子)が注目されています。スギ花粉の大きさは直径30~40μm、毛髪の直径は50~150μmであり、PM2.5がいかに小さいかということになります。PM2.5が海を渡って東北まで影響があるかは不明ですが、花粉とこれらの微粒子は互いに結合しやすく、結合したり、花粉が水分を吸着することで、花粉は花粉内にある抗原性をもった微粒子をさらに放出してしまい、アレルギー反応として重くなりやすいと言われています。ここまでの超微粒子を避けるのは実際にはなかなか困難ですが、情報に注意して少なくとも飛散の多い日は外出を避ける、マスクをするなどの対策をとりましょう。

また毎年の症状がスギ花粉のアレルギーと思っていたら、実は違う原因だったとのこともあります。症状と花粉の時期が合わない時は、他の原因を推測して調べることもできます。 かかりつけの医師に相談して、早く対策をとりましょう。


健康食品

「健康食品」という言葉には、健康によい成分を多量に含む食品、病気や体調不良を治してくれる食品、などの良いイメージがあります。ただ実際には特に規制がないため、「健康食品」という名前の使用は、どのような食品にも使用できます。そこで国は、いわゆる健康食品の中でも、安全性や有効性等が、国が決めた一定の基準を満たした食品を、「保健機能食品」とし、それをさらに「特定保健用食品(トクホ)」と「栄養機能食品」に分けています。

「○にヒトの身体」のシンボルマークのついたトクホは、それぞれの製品ごとに国の許可を得て、保健の効果を表示することができる食品です。たとえば、血圧、血中のコレステロールなどを正常に保つことを助けたり、お腹の調子を整えるのに役立つ、身体に脂肪がつきにくいなど、体の機能などに影響を与える成分を含んでいて、特定の効果が証明されている食品です。トクホの食品を選ぶ時には、自分にはどのような効果が必要なのか、自分の食生活等をよく考えてから選ぶようにしましょう。また、使用する際には1日の目安量や摂取の方法などを必ず守ることが必要です。

一方、栄養機能食品は、栄養成分の補給を主な目的として、その栄養成分(ミネラルの鉄、カルシウム、亜鉛や、いろいろなビタミン類等)の機能を表示(たとえば、カルシウムは骨や歯の形成に必要な栄養素、という記載)している食品です。トクホのようにそれぞれの食品を国が指定しているわけではなく、国が定めた栄養成分の基準に合えば、食品製造業者が自己責任で栄養機能食品と表示し、その栄養成分の機能だけを表示することができるというものです。そのため、その食品に栄養がバランスよく含まれているとは限りません。

現在これらの食品は、簡単に購入することができます。ただこれらは食品であり、薬ではありません。過剰に摂取しても予防効果が上がったり、病気が治るわけではありません。逆に過剰摂取で害(ビタミンやミネラルの中には、過剰で尿路結石、吐き気、皮膚症状、脱毛等)が出ることもあります。

病気治療中の方で、これらの食品を使ってみようという方はまずかかりつけ医に相談しましょう。


夏場のはずの

この冬も11月頃から、ノロウイルスのよる胃腸炎が流行しています。今回は新種のノロウイルスが発見され、集団生活している施設やホテル、弁当による集団発生が全国ニュースでも報道されています。 

感染は、ウイルスに汚染された二枚貝、食品、浮遊したウイルスを吸い込むことでおこり、ノロウイルスの潜伏期は~2日で、吐き気、嘔吐、下痢が主な症状ですが、腹痛、発熱、筋肉痛などを伴うことがあります。通常1~2日で症状も改善しますかから、脱水にならないようにスポーツドリンクなどで水分を補給しましょう。ただ、ニュースであるように、乳幼児や高齢の方、その他体力の弱っている方の嘔吐、下痢による脱水や窒息は、死亡原因となってしまうことから注意が必要です。さらに、ウイルスは症状が消失した後も3~7日間ほど大便中に排出されているため、周囲への感染予防も重要です。

冬場はウイルス性胃腸炎が多いですが、夏場に多いはずの細菌性胃腸炎もみられています。カンピロバクタ―菌は、ウシやニワトリの腸に広く常在していて、汚染されたトリ刺し、レバ刺しなどの食事で感染します。潜伏期が2~5日と長いことから気づきにくいですが、ウイルス性胃腸炎と同じような症状が1~3日続き、さらに血便がでることもあります。またO157が特に知られていますが、さまざまな種類の病原性大腸菌による腸炎もみられます。

胃腸炎で体調を崩さないためには、食材は良く洗って十分加熱して食べる、手や調理器具は良く洗う、周囲に感染を広げないように気をつけることが重要です。インフルエンザも流行り始めたこの冬を、おなかから体調を崩さないように乗り切りましょう。


紅茶、チョコレートに

尿路結石のために、突然背中やおなかに痛みがおこり、血尿で驚かされることがあります。結石の予防には、2リットル以上を目安に水分を多く取って、尿量を増やすようにします。ただし水分摂取は重要ですが、アルコール、清涼飲料水、紅茶、コーヒーでの水分摂取は避けましょう。 

結石の種類で8割と一番多いのは、シュウ酸とのカルシウム結石であり、次に尿酸との結石、リン酸結石等となります。シュウ酸は、ホウレンソウやタケノコなど灰汁の多い食物、チョコレート、紅茶、コーヒーに多く含まれています。また尿酸は、ビールなどのアルコール類、プリン体の多い食品(レバー、あん肝酒蒸し、魚干物等)に多く含まれています。さらに砂糖分、塩分の過剰摂取は尿へのカルシウム排出を促し、動物性蛋白質は、シュウ酸、尿酸、カルシウムの尿への排出を進めて、結石形成を促してしまいます。

シュウ酸の過剰摂取を抑えるためには、シュウ酸は水に溶けやすいことを利用して、ホウレンソウは茹でておひたしにする、シュウ酸の多い食品(紅茶、チョコレート等)は、カルシウム(乳製品等)と一緒にとる(シュウ酸の吸収を妨げるため)ようにします。

また尿酸結石の予防では、尿が酸性、アルカリ性か(pH)も重要です。尿が酸性(pH5)では、尿1リットルに尿酸は80mgしか溶けないのに、中性に近いpH6.5では850mgと10倍以上溶けます。そして溶けない分は沈澱して結石になりやすくなります。尿酸結石の予防のためには、アルカリ性食品(野菜、海藻、牛乳等)を意識して取りましょう。

シュウ酸でも尿酸結石予防でも、日頃からバランスの良い食事が重要です。具体的な対策、治療には、ぜひかかりつけ医に相談してください。


変異型出現

最近、のどがいがらっぽくて風邪気味という方が増えてきました。まもなくインフルエンザが流行する季節になってきます。昨年夏に、米国で従来のインフルエンザA型の変異型が出現しました。09年のいわゆる新型インフルエンザの遺伝子の一部が組み込まれているとのことで、ブタからヒトへの感染が見られ、残念ながら亡くなった方もいます。ただ現在のところヒトからヒトへの持続的感染はなく、世界的流行はしないで済みそうです。 

インフルエンザ予防はうがい、手洗い、マスク、人混みに近づかないことですが、さらに予防接種が重要です。今年の予防接種はもう10月から始まっています。昨年同様A型、新型、B型の3価ワクチンですので1回で済みます。 予防接種をしたから感染しないわけではありません。軽く済むだけですから、日ごろから規則正しい生活で抵抗力をつけていることが重要です。

また感染症への抵抗力の弱い高齢者、小児、糖尿病、腎臓、心臓病、免疫力を抑えるような治療中の方は、特に注意しましょう。またまもなく出産を控えた方や乳幼児のいる家庭では、家族皆さんで対応していきましょう。

さらにインフルエンザワクチンの他に、高齢者の方には肺炎球菌ワクチンが勧められています。インフルエンザ感染で肺が障害されたところにさらに肺炎をおこす肺炎球菌が感染すると、重篤な肺炎がおきてしまいます。細菌感染では抗生物質での治療となりますが、それが効かない耐性菌が増えています。最後は体力との勝負であり高齢者の死亡原因の上位に肺炎があるのはそのためです。今の内に予防接種をしておきましょう。5年に一回接種すればよく、不安な時はぜひかかりつけ医にご相談ください。


高い方が

梅雨に入り、蒸し暑い季節が始まりますが、寒い時とは違って汗をかくために体の水分は減り、血管は緩んで血圧は下がる傾向にあります。血圧を測ると一回目と二回目では、二回目の方が低くでる傾向にあります。以前血圧ノートには、一回目の測定を書いていましたが、今年からは原則として二回測定して平均をとって判断するように変わりました(一回測定の時はそれを使います)。また診察室での血圧と、家庭での血圧に違いがある時は(病院では血圧が高く出たり、低く出たりすることがあるため)、家庭血圧での判断を優先することになりました。 

そして上の血圧(収縮期血圧)140mmHg以上かつ、または下の血圧(拡張期血圧)90mmHg以上の場合に高血圧となります。さらに高血圧は

Ⅰ度高血圧 収縮期血圧 140~159  かつ、または拡張期血圧90~99

Ⅱ度高血圧       160~179  かつ、または100~109

Ⅲ度高血圧       180以上   かつ、または110以上

に分けられます。ある町の住民で実際に行われた研究では、血圧が上120未満、下80未満の方(至適血圧)が、将来の心血管病での死亡率が最も少なく、高血圧では脳卒中、心血管病のリスクが明らかに高くなることが判明しています。また別の研究では特に中壮年者(40~64歳)で、至適血圧のグループに比べてⅠ度、Ⅱ度、Ⅲ度の高血圧になっていくほど将来心血管病のリスクは、約3倍、約5-6倍、約9倍と急に上がっていきます。さらに中年期の高血圧は、将来の慢性腎臓病や認知症の危険因子でもあるとの結果がでています。

高血圧を放置することなく、塩分の摂りすぎや肥満を予防しながらぜひ治療していきましょう。


基準値がふたつ?

新年度となり、職場などではそろそろ健診、ドックの時期となりました。

今年4月に日本ドック学会が健診の新たな診断基準案を発表し、これが従来の基準よりゆるい基準のために、新聞、テレビで話題になりました。これまではそれぞれの専門学会が、血圧は収縮期(上)140以上、拡張期(下)90以上で高血圧と決めたのが、今回の基準案では上は147、下は94までは問題なし、中性脂肪はこれまで150以上、LDLコレステロール(悪玉)は140以上で脂質異常だったのが、基準案では中性脂肪は男性198、女性134、悪玉コレステロールは男性178まで問題なしと発表しました。 

そうなると結果数値が、従来の基準値と、今回発表の基準値案の間の時にはどう考えるのかということになります。ただこれらの二つの基準値は、何をもって正常(問題なし)とするかが違います。従来の専門学会での基準値は、それぞれのデータの人々を長期間みていって、この程度のデータの方は将来心臓血管病や心筋梗塞等のリスクが何倍になるか、そのためそれを避けるために現在はこれだけの数値に抑えこめればいい、ということから決められました。

一方今回発表されたドック学会の基準値案は、現在行われた各種健診項目で異常のみられない、内服もしていないいわゆる全く健康な人の数値を基にして、基準値としています。心臓血管病や心筋梗塞等は、高血圧、糖尿病、脂質異常、高尿酸血症、喫煙、肥満、年齢など種々の要因がからみあってリスクが高まっていきます。そのため脂質異常のコントロール目標はそれらの要因を考慮して行われますが、今回の基準案では喫煙歴、肥満のない、「これらの病気薬を飲んでいない」という人々のデータで作られました。そうなると、もうすでに動脈硬化があるが指摘されていないだけ、時々異常値になるだけなので内服していない(放置している)といった方のデータも入ってきます。そのためそれらの方が、将来、心臓血管病のリスクがどのように高まるかは、想定していません。

現在の健康状態を知るために、健診やドックはぜひ受けましょう。そして健診結果について疑問や不安があれば、ぜひかかりつけ医に相談しましょう。


△%未満

新年度となって、職場や地域での健診が始まる時期となりました。糖尿病についての検査項目ではHbA1c(ヘモグロビンエーワンシ―)が、昨年度まではJDSとNGSP(国際標準化)の併記でしたが、今年4月からはNGSPのみの表記となりました。NGSPは従来のJDSから0.4%多いだけですが、NGSPで6.5%以上が糖尿病型とされます。このHbA1cは、1~2カ月前の血糖値の平均をみています。以前は病状や年齢に関係なく同じ目標値で下げましょうとのことでしたが、昨年からは病状に合わせて、目標値が3つに分けられました。 

HbA1c 6.0%未満:健康な方と同じで血糖の正常化を目指す値

HbA1c 7.0%未満:糖尿病の主な合併症(神経、網膜、腎)を防ぐ目的  

HbA1c 8.0%未満:糖尿病のコントロールが悪く、慢性の合併症が進んだ状態で治療の急な強化が難しい場合

HbA1c 6.0%未満の目標は、糖尿病の初期で血糖があまり高くない若い方であれば、薬を使わずに食事と運動だけで目標達成は十分可能です。適正な一日の摂取エネルギー量(体格や活動量で変わりますが通常、男性で1400~1800kcal、女性で1200~1600kcal)に注意し、食事のバランス(脂質の摂りすぎに注意)、食物繊維(野菜、山菜、海藻など)をとる、飲酒、お菓子を減らしましょう。また有酸素運動を心がけて、ややきつい程度の早歩き、エレベーターなどよりもできるだけ階段を使う、近くなら車を利用しないで歩くのを心がけましょう。

HbA1c 7.0%未満の目標の場合は、食事と運動の他に、薬による治療が入ってきます。またHbA1c 8.0%を超すような血糖値の高い状態が長く続くと、神経障害、網膜症、腎症といった合併症の他にも、動脈硬化が進み、脳梗塞や心筋梗塞をおこしやすくなります。

健診でHbA1cの異常が指摘されたら、ぜひかかりつけ医に相談しましょう。


腰がー

今年は2月に記録的大雪のために雪かきが大変で、次の日には腕や脚、腰の痛みがけっこうありました。一言でいう「腰の痛み」の中には、雪かき後の疲れや、いわゆるぎっくり腰のような急性の腰痛症の他にも、さまざまな腰痛があります。また腰痛のおこり方だけでも、突然起こる激しい痛みやじわっと続く重苦しい痛み、さらには足までひびく痛みもあります。 

腰痛の大半、8割以上は、雪かき後やぎっくり腰の痛みのような、骨や血液検査で変化がみられない、もしくは原因不明でも自然に治る心配のないものですが、残りの腰痛には注意が必要です。でん部(お尻)や足までひびく痛みやしびれの場合は、脊椎に問題があってそれが神経に波及しておこるものであり、整形外科医療機関での精密検査をお勧めします。

また、危険な腰痛として脊椎の感染症、腫瘍、骨折によるものがあり、さらには腹部の血管病変、内臓疾患も入ってきます。血管病変の中でも腹部大動脈瘤では突然の激しい痛みがみられ、最悪で急死もありえます。消化器系では膵炎や膵がん、胃潰瘍や十二指腸潰瘍、腸の炎症や腫瘍が含まれ、さらには尿路系の結石、子宮内膜症や子宮後屈などの婦人科疾患、妊娠でも腰痛がみられます。        

このように腰痛がおきる原因は多岐にわたるために、それぞれの専門分野医療機関で診察、検査となることがあります。ただ、突然の激しい痛みはもちろんですが、慢性的な痛みで状況を見ているときには、まずかかりつけ医に相談してみましょう。


鼻炎に効く

今年もまもなくアレルギー性鼻炎、くしゃみ、鼻水、鼻づまりの季節が始まります。アレルギー性鼻炎は、一年間ずっと続く通年性と、季節性に分けられます。通年性は、気管支喘息やアトピー性皮膚炎などを伴うことがあり、ダニやカビ、ハウスダスト、ペットのふけなどが原因となります。季節性はその花粉が飛散する時期だけであり、春のスギ、ヒノキ、夏のカモガヤ、秋のブタクサなどがあげられます。 

これからの時期、スギ花粉では、前日や当日の未明まで雨で、その後急に天気が回復して晴れとなり、強い南風がふいて気温が高くなる日が、花粉が飛ぶ要注意日となります。ぜひ気象情報に注意しましょう。

最近、花粉症の症状を軽くしてくれるというお茶や飴、ヨーグルト等の食品が出回っています。しかしアレルギーに対する効果は、薬ほど大きくはありませんし、食品が「アレルギー性鼻炎に効く」とうたうことは、根拠に乏しいために、法律で禁止されています。例年花粉症が軽い方であれば、それらの食品摂取だけで抑え込めるかもしれませんが、毎年症状に悩まされる場合は薬でしっかり治療することが重要です。また薬局でも最近花粉症薬が販売されていますが、その多くが、最新薬の一世代前の薬や、最新の世代でもその初期に出た薬を組み合わせたものです。眠気が強く出たりすることがありますので、それぞれの症状に合わせた治療をするためにはぜひ医療機関に相談しましょう。

今年の仙台は3月上旬からの飛散が予想されており、飛散量は例年の約半分で、去年からみると大幅に少ないとの予想です。今年は軽くすむかもしれませんが、飛散2週間ほど前からの対策が重要です。抗アレルギー薬を内服するなど早めの対策をしておきましょう。


せきがー

いよいよ寒い季節となり、のどを痛めたり鼻水やせき、発熱で悩ませることが多くなりました。そして風邪症状が良くなってきたのに、せきだけが長期間(数週間も)残ってしまうことがあります。 

元々せきが主な症状となるマイコプラズマや百日咳などといった感染症を除いても、長期間せきが続くという原因は、いろいろあります。①鼻やのどの炎症後にただせきだけ残ってしまった場合(徐々に良くなっていく傾向があります)や、②感冒後の他にも、花粉飛散時期といった季節によっても症状に変動があり、特に就寝時から早朝に悪化しやすい場合(せき喘息)や、③もともとアトピー体質があって、のどのいがいが感やかゆみがあって、季節によっても症状が変化し、特に花粉症などのアレルギー疾患を伴った場合などがあります。また④慢性副鼻腔炎(いわゆる蓄膿症)や、鼻水がのどを流れることでもせきがみられ、さらに感冒後でない場合でも、⑤胃液が食道を逆流しておこる胃食道逆流症(GERD)や⑥ある種の降圧剤内服や、⑦気管や肺の病気、のどにできたポリープなどでもせき症状が続くことがあります。

このように、ひとこと「せき」といってもいろいろな原因がありえることから、もし症状が長引く場合は、ぜひ医療機関を受診しましょう。


ABC・・・

いよいよ寒くなって、急性胃腸炎や感冒が流行ってきました。しかも体調不良で食べられないと、ますますだるくなってしまいます。栄養素には炭水化物、脂質、蛋白質、ビタミン、ミネラル等がありますが、ビタミン(A、B、C、D、E等)の中でも、A、D、Eは脂溶性で体にストックできるのに対して、BとCは水溶性で、多く摂っても尿に排泄されて体内にストックもできません。しかも体内で合成もできないため、摂らないでいると簡単に欠乏してしまいます。 

特にB群は、脳や神経、皮膚を健康に保つビタミンであり、栄養からエネルギーを取り出すときの酵素を助ける「補酵素」の働きをします。このB群がなければ、エネルギーは産生できなくなります。欠乏してくると、「疲れやすい、だるい、肩がこる、口内炎、精神集中できない」といった症状がみられます。ビタミンBだけでも、B1、B2、B6、B12等多くに分けられ、特にB1が最も欠乏しやすく、欠乏するとむくみや手足のしびれ、神経異常等がみられます。昔、白米だけを食べていた貴族や武士は、B1不足で脚気(神経障害や心不全で死亡に至る)になりました。現代でも、偏食と多量の飲酒で起こりえます。B2不足では、皮膚炎、口角炎や口内炎がおこります。B1の多い食品には、穀類の胚芽、豚肉、レバー、豆類等があり、B2には緑黄色野菜、卵、乳製品、大豆、レバー等がありますが、アルコールが一緒に入ると、ビタミンBは大量に消費されてしまいます。

これからの時期、食事が炭水化物や保存食、飲酒などに傾きがちで、食事のバランスが崩れやすい時期となります。薬局でも、総合ビタミン剤やサプリメントを販売しています。また栄養ドリンクでも、手軽にビタミンBやCをとることができますが、水溶性のために蓄えられません。しかも栄養ドリンクでは、味を整えるために結構な量の糖分(砂糖)が入っており、頻回のドリンク摂取は、カロリー過剰にも注意です。

まずは基本である食事のバランスに気をつけて、ビタミンを含む食物をこまめにとって毎日を健康に過ごしましょう。


60%

寒暖の差が大きくなったためか、10月からのどを痛める方が増えてきました。今年もインフルエンザの季節がやってきます。またインフルエンザワクチン予防接種も始まっています。予防接種は法律で、A類(病気の発生、まん延予防のために接種―風しんや日本脳炎など)と、B類(個人の発病、重症化予防を目的とした接種)に分かれており、インフルエンザはB類に入っています。 

そのためインフルエンザワクチンは、B類として、重症化しやすい65歳以上の方、60歳から65歳までの心臓、腎臓、呼吸器機能に重い障害のある方、免疫機能に重い障害のある方を対象にしており、本人の意思と責任で接種希望の時のみ行う、となっています。またそのほかの方は任意であり、接種に同意する署名などが前もってあるのは、そのためです。

ワクチンは、前シーズン終了のころに世界保健機関(WHO)の情報から、次に流行するウイルス株を予想して作られます。今年も季節性A、パンデミックA(09年に「新型」が流行したときの株)、B型の3種株で作られていて、一回で済みます。ワクチンの有効率は60%とされています。日ごろ健康で、ワクチン接種しない人々が100人インフルエンザにかかり、接種した人は40人だけだったとすれば、60%減りました(有効)と考えます。また高齢の方に接種すると、接種しなかった時に比べて、死亡の危険を1/5に、入院の危険を1/3から1/2に減らせると期待されています。

ワクチンの効果は、接種してから2週間ほどからで5ヶ月ほど続くとされています。逆に接種2週間までは効果がないとういうことであり、注意が必要です。また接種したら、もうかからないという訳ではもちろんありません。

基本的な予防は、流行期に人込みを避けること、マスクを着用して、外出後のうがいや手洗いを励行することなどがあげられます。日ごろから予防を行っていきましょう。


秋の夜長

寝苦しい季節が終わり、ゆっくり休める秋の夜長となりました。ただ、同室の方や自分自身がいびきで悩まされるようだと、寝た気がしなくなってしまいます。いびきは、鼻づまりがひどくて口呼吸をしたり、呼吸の空気の通り道であるのど(咽頭)が狭くなったり、またのどを構成する筋肉群がゆるんでしまうとおこってきます。 

のどの空間は、小さめのあご、肥満のための咽頭壁等への脂肪沈着、口がい扁桃(のどの正面にみえる、両脇から出ている扁桃)の肥大によって狭くなってしまいます。また筋肉群は、飲酒、睡眠薬、加齢によって働きが低下します。飲酒した夜に、いびきがひどくなるのはそのためです。

いびきがおこると、脳波上では脳は一時的に眠りから覚めてしまい、寝不足となっていきます。さらには睡眠中に呼吸が一時止まってしまう、呼吸が弱くなってしまう(睡眠時無呼吸症候群)と、脳は酸素不足でしょっちゅう眠りから覚めてしまって寝不足となり、さらには動脈硬化や心血管障害、高血圧の要因となっていきます。

症状では、睡眠時間は十分とっているのに、日中だるい、眠い、集中力の低下、頭がぼーとしている、目覚めたときにのどがからからに乾いている、といった状況がよくみられます。日中すぐに眠れる、どこでも眠れる―眠ってしまう―ということがあったら要注意です。もし運転中におこったら大変です。

まずは横をむいて寝る習慣(仰向けに寝ると舌の付け根がのどに落ち込みいびきが出やすくなります)をつけることですが、寝てしまえば、寝がえりもあり、どう寝ているかわかりません。日中の症状がひどくなったり、周りから就寝中に呼吸が頻回に止まるといった指摘があったら、ぜひいちど医療機関に相談しましょう。


同じ卵でも

食欲の秋となり、食事の進む季節となりました。つい食べ過ぎ、飲みすぎてしまい、寝る時間になっても胃に重く入っていると、次の日が思いやられます。食欲がない、酸っぱい水がのどまであがってくる、胃が重い、などです。 

ただ食事の内容によっては同程度の量でも、食後早い時間ですっきりすることもあれば、いつまでたっても重いままという日もあります。どれだけ胃の中に食べ物が留まっているか(胃内滞留時間)という考え方があり、同じ食材でも料理で異なってきます。たとえば鶏卵では、半熟卵であれば2時間以内、卵焼き、生卵では3時間、ゆで卵では4時間以内となります。おかゆでは2時間以内、ごはん、もち、うどん、食パンは3時間以内、刺身、煮魚は2~3時間以内、たけのこ、かまぼこ、貝類は4時間、うなぎ、天ぷら、ベーコンは5時間、バターは12時間以内となります。これらは、それぞれ単独で、決められた量を食べた時の時間であり、実際にはいろいろな食事がされています。一般には炭水化物で2~3時間、蛋白質で3~4時間、脂質で~7時間です。

胃内滞留時間が長いほど、すなわち脂質が多い食事ほど腹もちがいいということになります。しかし、遅い時間の夕食で就寝までの時間が短いと、胃内の消化が終わる前に横になることになり、胃内容物が食道に逆流しやすくなって胸やけや次の日に胃が重い、ということになります。また脂質が多ければ、代謝消費されずにそのまま蓄積されやすくなり、肥満の原因となっていきます。夕食から就寝までが短い時は、良く噛んで炭水化物を中心に、胃に負担をかけないように軽めの食事をとりましょう。またその際アルコールや水分を過剰にとると、滞留時間は延びてしまいます。適量で済ませるようにしましょう。


春には運動

春になり、冬にはなかなかできなかった運動にも良い季節となりました。食べ過ぎ、運動不足で太ってしまった体を運動で引き締めていきましょう。「肥満」には、脂肪量を良く反映するbody mass index(BMI)=体重(kg)÷身長(m)÷身長(m)が使われます。BMIが25kg/㎡以上が肥満とされ、たとえば身長165cmでは体重68kg、175cmでは76.5kg以上で肥満となります。肥満は生活習慣病(高血圧、糖尿病、脂肪肝、動脈硬化、睡眠時無呼吸症候群など)に密接に関係してきます。 

体を動かす強さを表す単位に、METs(メッツ)があります。例えば座って安静にいる状態を1METsとして、普通に歩くと3倍の3METs、ラジオ体操や早歩きで4METsとなります。そしてそれに、活動した時間をかけるとEx(エクササイズ)となります。生活習慣病予防のためには、週23Exの活発な身体活動(安静状態より多くのエネルギーを消費する全ての動き)を行い、その内4Exは運動として行います。また内臓脂肪を確実に減らすためには、10Ex以上の運動を行いましょう。運動以外の身体活動(生活活動)としては歩行、掃除、介護、掃除等さまざまあります。週23Exの生活活動にはたとえば1日8000から10000歩の普通歩行を週7日、4Exの運動としては60分の早歩き、ゴルフ、ラジオ体操、40分の軽いジョギング、ゆっくりした水泳などがあげられます。10Exの運動例となると、30分の早歩きを週5日間おこないます。バスや地下鉄を一駅早く降りて、その間を少しきついかなとの程度で早歩きするのもいいかもしれません。週10Ex程度の運動を増やすことによって、1ヶ月で1~2%の内臓脂肪の減少が期待されます。

ただし心臓や膝、腰に持病がある方が急に運動すると、トラブルがおこりかねません。心配の方はかかりつけ医に相談の上、まずは軽めから徐々に気長におこなっていきましょう。


はなことそらまめ

今年もいよいよスギ花粉症の季節となりますが、昨年は平年より飛散が少なかったものの、今シーズンは平年以上と予想され、昨年よりは大幅に増えるとされています。 

昨年は、大気汚染の原因PM2.5(大きさ2.5μm―1000分の2.5mm―の超微粒子)が注目されました。スギ花粉の大きさは直径30~40μm、毛髪の直径は50~150μmであり、PM2.5がいかに小さいかということになります。また春には黄砂が偏西風にのって飛んできます。黄砂も、大きさ約4μmと非常に小さく、PM2.5と共に肺や気管支に入り、喘息や気管支炎の悪化因子となっています。これら微細な物質によって、気道や鼻、目の粘膜が傷つけられ、免疫機能が刺激されていきます。そして傷ついた粘膜からは花粉等のアレルギー物質が侵入しやすくなり、花粉症状が悪化しやすくなります。花粉やPM2.5の飛散情報は、環境省ホームページではなこさん(花粉情報システム)、そらまめ君(空をマメに監視する、大気汚染物質広域監視システム)や、新聞、テレビでも知ることができます。超微粒子を避けるのは実際にはなかなか困難ですが、情報に注意して少なくとも飛散の多い日は外出を避ける、マスクやメガネをするなどの対策をとりましょう。

スギ花粉症では、飛散の2週間前からの治療開始が望ましいとされます。例年症状の出る方は、早速抗ヒスタミン剤の内服を開始しましょう。


食事でも

今年も花粉症の季節が始まります。日本人のスギ花粉(アレルギー)症での有病率は20%を超えるとされていますが、一方食事によるアレルギーは、乳児の有病率は5~10%、学童期以降では1.5~3%と考えられています。 

食事アレルギーで原因物質を摂取し、ほぼ2時間以内に症状が出現する即時型食物アレルギーの原因割合としては、全年齢では鶏卵、牛乳乳製品、小麦、果物類(キウイフルーツ、バナナ、桃、リンゴ等)、ソバ、他の順になっています。一方20歳以上では、小麦、果物、魚類(サケ、サバ等)、甲殻類(エビ、カニ)、他の順に変わっています。スギ花粉や、ダニなどで気管支喘息や花粉症が起こった場合は症状が生涯続くことが多いものの、食物の場合は、吸収する腸が耐性(体が慣れる、症状を出さなくなる)を獲得するために、小児から成人になると次第に順位が変動してきます。一般に、鶏卵、牛乳、小麦、大豆は耐性を獲得しやすい(そのために成人での原因食物としては減ってくる)のに対して、ピーナッツ、ソバ、甲殻類、魚アレルギーは耐性を獲得しにくいとされています。

また医薬品でも、特に鶏卵、牛乳アレルギー等のある方は注意が必要です。鶏卵での成分(塩化リゾチーム)は、市販薬(感冒薬、鼻炎薬等)にも含まれ、牛乳での成分(タンニン酸アルブミン、乳酸菌等)は、市販の下痢止め、整腸剤に含まれています。食物アレルギーのある方はもちろんですが、市販薬購入の際は、注意書きに注意するようにしましょう。また内服後に気になる症状があった場合は、ぜひかかりつけの医療機関に相談することも大切です。


急性胃腸炎

寒い季節となり、インフルエンザが非常に増えています。また毎年、冬には、ウイルスによる急性胃腸炎も多くみられます。成人の急性(感染性)胃腸炎の6割強は、ノロウイルスによる胃腸炎であり、カキなどの二枚貝を食べた後に、起こりやすいことが知られています。 

ノロウイルスによる胃腸炎の次に多いウイルス性胃腸炎は、成人では1割弱でロタウイルスによる胃腸炎です。これも年末から春にかけて多い胃腸炎で、感染力が極めて強く、少しのウイルスでも感染が成立してしまいます。特に何を食べると起こりやすいというのではなく、汚染された水や食べ物が口に入っておこります。通常2日間の潜伏期間をおいて発症し、下痢、吐き気、嘔吐、発熱、腹痛が起こって症状が何日も続きます。しかし感染するとある程度の免疫が成立するため、感染するたびに次第に軽くなり、成人では症状が軽く、感染しても知らないうちに治ったりもします。しかし、免疫のもっていない乳幼児は、重篤になって下痢による脱水をおこしやすく、後遺症を残す脳炎をおこしたり、時には死亡することもあります。乳幼児の急性胃腸炎では2割ほどがこのウイルスによる胃腸炎であり、そのためロタウイルスに対する予防接種も始まっています。ウイルス性胃腸炎では特効治療薬はないため、成人でちょっとした体調不良(胃腸炎)も、小児には重篤になることがあります。周りに拡げないためにも、特に体調不良時の手洗いは、しっかりとやりましょう。


メタボの肝臓

年末年始となり、ごちそうやお菓子、お酒が進む季節となりました。口から入ったおいしい食物や飲み物が吸収されて、まず通るのが肝臓であり、そこで代謝されていきます。その時中性脂肪が過剰になって蓄積されてしまったのが脂肪肝です。脂肪肝は、アルコール性と非アルコール性とに分けられます。非アルコール性(非アルコール性脂肪性肝疾患NAFLD)は、男性(女性は2/3)で一日アルコール30g(ビール中瓶1本半、日本酒1合半、焼酎1合、ウイスキーダブル1.5杯相当)以下の摂取の場合とされます。NAFLDは、メタボリックシンドロームでの肝臓の状況といわれ、肥満、糖尿病、脂質異常などの生活習慣病の増加と共に増えてきました。NAFLDと食事の関係では、

1)フルクトース(果糖);非常に安価な上、強く甘さを感じる果糖は、果物、清涼飲料水、菓子に多く含まれていて、ほぼ肝臓だけで利用されるために、過剰に摂ると肥満や脂質異常をおこして、NAFLDを悪化させる。

2)コレステロール;肥満のNAFLDはコレステロール摂取とカロリー摂取が多く、肥満でないNAFLDはコレステロール摂取が多い。

3)脂肪酸;バターや乳製品、肉類など動物性脂肪に多い飽和脂肪酸は、肝臓への脂肪沈着を進める。

とされています。

アルコール性脂肪肝での治療は禁酒、NAFLDはもちろん食事と運動です。脂肪摂取を全体の20%以下に抑える、少しきついかなと感じる程度の有酸素運動(ジョギング、サイクリング、水中歩行)を日頃から行いましょう。

NAFLDから肝硬変、肝臓がんへのルートが知られています。NAFLDを放置することなく、メタボに注意してかかりつけ医に相談してみましょう。


ウイルス

今年後半は、夏には蚊を媒介とするデング熱、秋にはエボラ出血熱と外国からの輸入感染症が、注目される年でした。デング熱はさすがに秋になって新たな発生は報道されていませんが、エボラ出血熱は現在でも沈静化されていません。2~21日(普通7~10日)の潜伏期で発熱、筋肉痛、激しい頭痛、関節痛、といったインフルエンザに似た症状で始まり、その後に胸痛、腹痛、嘔吐、下痢、食欲不振、原因不明の出血といった症状が知られ、致死率が高い疾患です。そのため国も、水際で抑え込もうと対策をとっています。エボラ出血熱が発生している国から帰国した方が、一ヶ月程度の間に発熱した時は近くの医療機関を受診せずに、まずは保健所に連絡するように呼びかけています。デング熱やエボラ出血熱はウイルス感染症のため、抗菌薬(抗生物質)は効きませんし、ワクチンも開発されていません。したがって治療には対症療法しかないのが現状です。 

しかし同じウイルスでも、インフルエンザではワクチンが開発されていますから、前もって予防接種で対策をとることができます。ただタイプが毎年少しずつ変化するために、毎年予防接種をしなければなりません。今年の予防接種は、2009年の新型インフルエンザ(パンデミック)の株、季節性のA型、B型の3種で例年同様です。予防接種の効果が出るまでには2週間かかります。

そろそろ流行が始まります。ぜひ早めに対策をとりましょう。


5歳ごとに

10月になって、今年もインフルエンザ予防接種の季節が始まりました。さらに今年は、以前任意でおこなわれていた高齢者肺炎球菌予防接種が、定期接種となりました。日本人の死亡原因を5歳ずつ区切って統計をとると、65歳から70歳の区分から、1位がん、2位心臓疾患、3位脳血管疾患に次ぐ4番目に「肺炎」が、入ってきます。さらに90歳以上の男性では死亡原因の第1位、90歳以上の女性でも5歳ごとでみると2位か3位に入っています。 

肺炎球菌性肺炎は、これら成人の肺炎原因の25~40%を占め、また日本人の約3~5%の高齢の方では、既に健康時にも鼻やのどの奥に菌がいるとされています。菌は咳や痰などの飛沫感染で広がり、インフルエンザ感染の後や、他の疾患で体力が落ちた時に肺炎、気管支炎、敗血症などの重い合併症を引き起こしてきます。さらに治療に使う抗菌薬が効きにくい菌が、増えてきました。そのために前もって予防接種が勧められています。肺炎球菌には 93 種類のタイプがあり、予防接種ではそのうちの23タイプの菌に効果があります。なお、この23タイプの菌だけで、重症の肺炎球菌感染症の約7割を占めるとされています。そのため今年10月から65歳以上の方で、5歳毎に区切って(65歳、70歳、75歳・・・)定期接種をおこなうことになりました。この予防接種は一回すれば5年間はしなくてもいいという予防接種であり、ま定期接種の年齢でない方でも任意で接種は可能ですので、ぜひかかりつけ医に相談しましょう。


味覚の□□

暑かった夏も終わり、くだもの、きのこ、秋刀魚といった味覚の秋にいよいよなりました。しかしいつもの味のはずが、わからなくなったとなることがあります。それは急におこることもあるし、徐々におこって周囲から「最近料理の味付けが変わった」や、「しょうゆを多くかけるようになった」と指摘されて気づくことがあります。 

味覚は、年齢とともに低下していきます。原因として、味を感じる細胞の加齢による減少に加えて、唾液分泌の減少、義歯などによる口内の環境の変化、糖尿病や他の合併症の存在があげられます。

また、味覚異常の原因の一つとして、体内での亜鉛欠乏があります。亜鉛は、特に牡蠣や牛肉、大豆、しいたけ、のりなどの食物や、飲料水中に豊富に含まれていますが、口からの摂取が不足して体内で欠乏すると味覚異常が起こってきます。また薬を内服することで、薬が亜鉛と結合してしまい、体内で有効に活用できない形になってしまって、亜鉛欠乏状態になっていくことがあります。味覚異常は特に抗がん剤の内服でみられますが、その他にも長期間にわたって飲むことが多い、血圧の薬、コレステロール、中性脂肪の薬、痛み止め(鎮痛剤)、消化性潰瘍薬、抗生物質など多くの薬で起こりえます。ただしそれぞれの分野の治療薬の中でも、全ての薬で味覚異常がおこるわけではありません。

さらに、神経症やうつといったメンタル面の不調でも味覚異常は起こりえます。もし最近味覚がおかしいと気づいたら、ぜひかかりつけ医に相談してみましょう。


冷夏のはず?

今年の春には、エルニーニョ現象で冷夏といわれていましたが、結局例年通りの暑い夏が来ました。最近の夏は、命のかかわる熱中症の予防が声高に言われていますが、いわゆる夏バテも身近にみられています。 

夏バテの原因としては、大量の汗、塩分を失うことからの脱水症状、酷暑と効きすぎた部屋の冷房との温度差からくる体温調節不調(自律神経失調)、また多量の飲水から胃酸がうすまり、食欲不振となって、また水だけ飲むといった悪循環でおこってきます。症状としてはさまざまで、だるい、いらいら感、むくみ、吐き気、下痢、熱感等がみられます。

夏バテの予防には、食事はきっちり3回とり、多量の汗をかいたら脱水にならないように適度の水分、塩分を補給する、冷房を効きすぎないようにしながら、生活パターンを崩さずに睡眠不足に注意してしっかり休みましょう。清涼飲料水(糖質)やビールなどの水分ばかりとらないで、ミネラルと共に、糖質をエネルギーに変えるビタミンB1を多く含む良質のタンパク質(たとえば枝豆、豆腐、豚肉など)や、クエン酸を多く含むかんきつ類(レモン、グレープフルーツなど)や梅干しを摂るようにしましょう。また汗を流すにも、シャワーではなく、ぬるめのお風呂にゆっくり入り、体をリラックスしてゆっくり休むのが効果的です。

それでもだるさや胃腸症状が長く続く時は、ほかの原因が隠れていることも否定できません。ぜひかかりつけ医に相談してみましょう。


リンゴ型

今年も7月から特定検診が始まりました。特定検診は、肥満からくるメタボリックシンドロームの早期発見、早期予防が目的であり、肥満は、脂肪がたまる場所によって

1.皮下脂肪型肥満(洋ナシ型肥満) …お尻から太ももにかけて下半身に多く脂肪がつくタイプで、主に女性に多い

2. 内臓脂肪型肥満(リンゴ型肥満)…上半身に脂肪が多くつき、腹部内臓の周りに脂肪がたまるタイプで、中年以後の男性に多く、閉経後の女性にも増える

に分けられます。

健診項目の中に腹囲があり、へその高さのウエスト周囲長で男性85cm以上、女性90cm以上で内臓脂肪の蓄積が疑われます。内臓脂肪は、血管壁に作用して動脈硬化を抑えたり、糖代謝を改善するいわゆる善玉の生理活性物質(アディポネクチン)の分泌を減少させ、逆に血糖値の上昇、中性脂肪の増加、血圧の上昇といった不都合な悪玉生理活性物質の増加を引き起こします。そのために内臓脂肪の蓄積から、動脈硬化がおこり、多くの病気が引き起こされていきます。

ただ内臓脂肪は、皮下脂肪と違ってたまりやすく、減りやすいという特徴があります。まずは減らすために、第一に適度の運動(有酸素運動)、第二に食事量や食事時間に注意し、規則正しい食事を心がけましょう。食べ過ぎや食事抜きは、内臓脂肪をためやすくなります。また禁煙をしましょう。喫煙は血管を傷め、さらに動脈硬化を進めていきます。最後に薬です。高血圧や脂質異常、糖尿病になっている場合には、薬によるコントロールが必要なことがあります。

最近おなかが目立ってきたなと感じたら、思い当たることを考えてみましょう。そして対策や現在の体調については、ぜひかかりつけ医に相談してみましょう。


危険作業-不可です

今年もまたスギ花粉症の季節がやってきます。今年仙台では2月下旬から、平年よりやや多めの飛散が予想されています。 

予防は、花粉の飛散の多い日は外出しない、マスクや眼鏡をかける、家に花粉を入れないことが基本です。まだ気温は低めですから、外出で着ていたコートや帽子は花粉をはたき落としてから家に入りましょう。症状として鼻汁が滝のように流れる、鼻づまりがひどくて鼻で呼吸ができない、眼が痒くなるなどいろいろな症状が出てきますが、今年はインフルエンザの流行が5週間ほど遅れています。そのためインフルエンザによる鼻症状との区別が必要になってきます。鼻症状の他にのどが痛い、発熱、関節痛、咳があれば、まずインフルエンザなどの感染症を疑います。

毎年花粉症の症状が出る場合は、早めに抗ヒスタミン剤を飲み始めましょう。できれば飛散の2週間くらい前から飲み始めます。さらにそれでも鼻症状がひどくなったら点鼻薬、鼻づまりがひどければ内服薬、眼も痒ければ点眼薬を加えていきます。最近の抗ヒスタミン剤は、副作用として眠気が少ないといわれていますが、それでも薬によっては眠気やだるさがでることがあります。内服薬の注意事項に危険作業(自動車運転)不可の記載がある抗ヒスタミン剤もあります。睡眠薬の内服と同じことであり、インペアードパフォーマンス(気づきにくい能力ダウン)に注意が必要です。

処方された内服薬で眠気やだるさを感じる時は、早めにかかりつけの医師や薬剤師に相談して、つらい季節を安全に乗り切りましょう。


暖冬ですが

今シーズンは暖冬ですが、一年の中でも寒い冬は血圧が上がり、狭心症や心筋梗塞といった虚血性心疾患や脳卒中を起こしやすい季節です。その中で、一過性に心筋に必要な酸素供給ができなくなる疾患である狭心症は、大きく労作性と冠攣縮(れんしゅく)性に分けられます。  

労作性狭心症は、文字通り何らかの作業をしているときに起きやすい狭心症であり、例えば寒い中での雪かきや坂道を上っているときに起きやすい狭心症です。心臓血管(冠動脈)の動脈硬化が主な原因であり、動脈硬化部位より先の心筋が必要とするだけの酸素供給ができなくなった状況で起こります。年齢、高血圧、コレステロール、糖尿病、肥満が危険因子として上げられています。

一方、冠攣縮性は、動脈硬化はそれほどでなくとも、冠動脈が強く収縮することでその先に酸素が届きにくくなることで起こる狭心症です。そのために安静時でもおこり、原因として最も強く挙げられているのが喫煙です。喫煙によって全身の血管が収縮を起こし、たとえば胃でも血流が落ち、胃潰瘍の治りが悪くなることが知られています。他には常習飲酒習慣、脂質異常、ストレス、遺伝要因の関わりも原因として挙げられます。

狭心症の症状としては、前胸部の圧迫感、締め付けられる感じ、詰まるような感じで、時にはみぞおち付近の症状のこともあります。さらにはしばしば首や左肩にも響くことがあります。発生時間では労作性は激しい労作によって起こりやすいのに対して、冠攣縮性は夜間から早朝の安静時にみられます。

これらではさらに、狭心症から心筋梗塞に移行することもあります。症状がみられた際には、早めに医療機関を受診しましょう。


4から17に

今年もウイルス性胃腸炎が流行する季節になってきました。ウイルス性胃腸炎では、ノロウイルスによる胃腸炎の集団発生が、毎年多数報道されます。 

ひとこと「ノロウイルス」でも、さらに遺伝子型によってGⅠからGⅤの群に分けられます。そのうちGⅡ群はさらに21種類(GⅡ/1~GⅡ/21)に分けられ、近年そのGⅡ/4型がノロウイルス胃腸炎として流行していました。ウイルス感染では、通常感染後に免疫ができますが、胃腸炎では感染が腸粘膜での局所感染のため、免疫の持続時間が短いのが特徴です。またインフルエンザウイルスのように、流行のたびにウイルスの形態が変異していくため、免疫を作りにくいという状況があります。

そして今年は、国立感染症研究所がGⅡ/17という、GⅡ/4型とは別のタイプのノロウイルスが流行すると注意喚起しました。別のタイプでは、ほとんどの人が免疫を持っていないため、大流行する危険があります。以前のGⅡ/4型のノロウイルス胃腸炎と同様に、潜伏期は1~2日、突発的な吐き気、嘔吐、腹痛、下痢であり、症状は数日で治まるものの、糞便には1週間程度ウイルスを排出し続けます。

予防としては、ウイルスの付着した可能性のある食品(特に二枚貝等)は生で食べないで加熱(85度1分以上)する、排便後は十分に手洗いをして、嘔吐物については手袋やマスク、換気をしながら処理して、袋に密封して廃棄する、次亜塩素酸で消毒するなどが重要です。

周囲の人に拡大させないように注意し、発症してしまったら早めに医療機関を受診しましょう。


飛び出して

内臓の中で食道、胃、小腸、大腸といった管(くだ)の形をした内臓は、筋肉の層が管の構造を支えています。これらは、内容物を肛門側に送るために筋層がれん縮(収縮)と弛緩(ゆるみ)を繰り返しています。その動きが乱れたときに、痛みや違和感が起こってきます。特に大腸は、食生活が不規則になったり、日常のストレスだけでも不調をきたしやすい臓器です。便秘や、大腸のれん縮が、強く長時間にわたっておこり腸管内の圧力が上がった場合、また年齢とともの腸管壁が脆弱になってくると、筋層が表面の粘膜を支えきれなくなって、床が抜けたように粘膜層が外に飛び出してしまいます。それが大腸憩室であり、構造上弱いために腸管を血管が貫く場所にできやすく、腹部の右側(上行結腸)、左下腹部(S状結腸)の大腸に多く見られます。いったん飛び出した憩室は治ることはありませんし、加齢とともに増える傾向にあります。普通は治療の必要はありませんが、血管が貫く場所であり、血管が破たんして出血したり、炎症を起こす(憩室炎)ことがあります。腹痛や発熱、下血といった症状があった時には、直ちに医療機関を受診しましょう。憩室だけでは症状はありませんが、普段から繊維成分の多い食事で便通を整えるように心がけましょう。


3から4へ

今年もインフルエンザのシーズンが始まります。ただ今年からインフルエンザワクチンの成分が変更になります。従来は、次のシーズンの発生の予測をして、例年2月に世界保健機関(WHO)から製造のための推薦株が公表されます。ワクチンは、鶏卵によって作られ、昨シーズンはA型株2種、H1N1(2009年のいわゆる新型インフルエンザと言われた際の株)とH3N2(いわゆるA香港株)とB型株の3種で作られていました。ワクチンに入れられる蛋白量(ワクチン有効成分量)には(制度上の)上限があり、そのため入れられるワクチン量としては3種類が限界だったため、かかると重篤になりやすいA型を優先して2種、B型を1種とせざるをえなかったのです。ただ同じB型でも、山形で分離された「山形」系と、オーストラリアで分離された「ビクトリア」系の、抗原性の異なる2種類があります。それらは同じB型でも全く別系統といってよく、そのためこれまではB型でも、次シーズンワクチンを山形系にするかビクトリア系にするか、どちらが流行するか予想してどちらかだけで作られていました。そして予想があたればワクチンとしての効果が期待でき、はずれれば効果は期待薄との状態でした。しかしここ数年は山形系とビクトリア系が混ざった発生流行がみられており、予想したB型片方だけのワクチンではもともと効果が半減した状態となっていました。 

そのため、WHOから4種の入ったワクチン製造の勧告があり、今シーズンからワクチンに入れられる蛋白量の上限を、(国の制度として)増やすように変更されて、4種類入れられるようになりました。そこでB型株も山形系とビクトリア系の2種類とも入るようになり、今年から日本でおこなわれるインフルエンザ予防接種はA型2種、B型2種の4種の成分で行われます。

したがって昨シーズンまでの予防接種よりは、特にB型については広く対応できると考えられていますが、重篤になりやすいA型の成分にはもともと変更がありません。ワクチンの効果を過信することなく、今年も手洗い、マスク、うがい、人混みを避けるといった予防はぜひ行いましょう。


機能性のある食品

いよいよ食欲の秋となりました。食品の中でも、「健康食品」の言葉は聞こえがいいですが、これは企業がどのような食品にも使用できます。そこでこれまで国では、いわゆる健康食品の中でも、安全性や有効性等が、国の決めた一定の基準を満たした食品を、「保健機能食品」とし、それをさらに「特定保健用食品(トクホ)」と「栄養機能食品」に分けていました。さらに今年6月になって「機能性表示食品」が現れました。 

まずトクホは、それぞれの製品ごとに保健の効果を表示できる、国の許可を得た食品です。たとえば、血圧、血中のコレステロールなどを正常に保つことを助けたり、身体に脂肪がつきにくいなど、体の機能などに影響を与える成分を含んでいて、特定の効果が証明されています。

また、栄養機能食品は、栄養成分の補給を主な目的として、その栄養成分(鉄、カルシウム、ビタミン等)の機能を表示(たとえば、カルシウムは骨や歯の形成に必要な栄養素、という記載)している食品です。国が定めた栄養成分の基準に合えば、企業が自己責任で栄養機能食品と表示し、その栄養成分の機能だけを表示することができます。

これらに対して、機能性表示食品は、企業の責任で、科学的に有効とされたデータを基に、国に届けた後で発売した食品です。この食品は、この成分で「脂肪の吸収をおだやかにします」「おなかの調子を整えます」など、特定の保健目的が期待できる(健康の維持及び増進に役立つ)という食品の機能性を表示しています。 トクホでは国の許可が出るまで時間がかかっていたのが、有効とするデータを根拠に、届け出すれば短期間で販売できることから、地域ブランドの生鮮食品を始め、さまざまなものが出ています。食品パッケージには機能性表示食品と表示されて、一日の摂取量の目安などとともに、国の個別審査を受けていないとの記載が必ずされています。結局自らの判断で摂取してくださいということになりますから、病気の治療などを目的としたものではないことを理解の上で、適量を取りたいものです。

病気治療中の方で、これらの食品を使ってみようという方はまずかかりつけ医に相談してみましょう。


頭痛の種

起床時に頭がすっきりせず、ぼーとしていたり、痛かったりすると大変不快なものです。そのうち原因疾患がなく、頭痛が長引いている場合には慢性頭痛といわれます。慢性頭痛には、

①緊張型頭痛…頭全体がぎゅーっと締め付けられるように痛む状態がだらだら続く頭痛。長時間同じ姿勢をとることでの肩こりや張りが原因で、不安やうつが関係していることもあり、筋肉のこりをとって心身をリラックスさせることが重要です。

②片頭痛…脈拍に合うように、ズキンズキンと激しい頭痛があり吐き気を伴います。体を動かすと悪化し、視野の真ん中あたりにキラキラした光のギザギザが見えて、それがだんだん拡がっていき、やがて視野から消えていきます。片頭痛の診断になると、独特の治療薬、予防薬が使われます。

③群発頭痛…片側だけ目の奥が強く痛みます。また片側だけの目が充血したり涙が出たり、鼻水や額に汗が出たりします。 

などがあります。またこのような頭痛に対して、的確な診断治療がされずに市販の頭痛薬だけ頻回に内服していると、頭痛がさらに悪化することがあります。

一方、これまで経験したことがないような激しい頭痛が突然おこったり、発熱と共に頭痛が何日も続いた場合は、命に関わるクモ膜下出血や髄膜炎の場合もあります。

しつこい頭痛、非常に激しい頭痛では、いつまでも市販薬に頼らずに、頭内の画像検査もできるような神経系の医療機関を、まずはぜひ受診しましょう。


老廃物と燃えかす

今年も、特定検診/基礎検診が始まりました。今年から健診項目に「尿酸」が入っています。それは高尿酸血症(7.0mg/dl以上)が、生活習慣病や慢性腎臓病を合併しやすいと、わかってきたためです。生活習慣病のベースには内臓脂肪型肥満の代謝異常がありますが、高尿酸血症もその一つの現れといえます。尿酸値が高い場合、それは痛風発作をおこす危険だけではありません。悪玉(LDL)コレステロールが高い場合や糖尿病だけではなく、高尿酸血症も動脈硬化を進め、心筋梗塞や脳卒中、腎機能低下のリスクを高めていきます。 

高尿酸/痛風については、食品のプリン体による原因説(「ビールにはプリン体が多く、それを多く飲むと尿酸値が上がる」)がよく言われますが、食品による尿酸は全体の2割程度です。残りは細胞の新陳代謝で遺伝子が分解される際の老廃物や、体内で使われるエネルギー源(ATP)が、急な運動や暴飲暴食などで急に多量に使われた後の燃えかすによって尿酸が産生されていきます。そのような尿酸が体内で作られ過ぎたり、うまく体外に捨てられないときに血中濃度が上がってきます。尿酸値が高い時の生活面での改善としては、

①  食事量を減らして、体重を落とす、(ビールだけでなく)飲酒全体を減らす

②  水分を十分とる(夏場の脱水に注意)

③  適度な有酸素運動(ちょっときついと感じる程度のジョギングや水泳、早歩きなど)を習慣として行う

④(飲酒や暴飲暴食に頼ることなく)ストレスをうまく発散する

が、挙げられます。


健診結果で気になる点については、ぜひかかりつけ医に相談してみましょう。


6月4日

6月4日は、何の日でしょうか? いろいろあるようですが、その中には64(むし)にちなんで、以前は「虫歯予防デー」「歯の衛生週間」、現在では「歯と口の健康週間(6月4日から10日まで)」というのがあります。 

歯科の病気としては、「歯周病(歯槽膿漏)」と「う蝕(うしょくー虫歯)」が大きなウエートを占めます。そのなかでも歯周病は、口の中だけにとどまらず、全身疾患との関連が知られています。歯肉の境目には歯垢(デンタルプラーク)がつきやすく、歯垢は歯周病菌の塊です。その歯周病菌が産生する内毒素(リポ蛋白)が、歯肉に炎症を引き起こします。またその菌や内毒素は、腫れた歯肉から血管内に侵入し全身を回って肝臓に集積して免疫反応を刺激し、肝臓や脂肪組織から化学物質(TNF-α)の産生を促します。この化学物質は血糖値を下げるホルモン(インスリン)の働きを邪魔することから、血糖コントロール不良になりやすくなります。逆に言えば糖尿病の方が歯周病を治療したら、血糖コントロールHbA1cの改善が見られています。

また動脈硬化は、喫煙や運動不足、メタボ状態等が原因とされている他に、歯周病菌の関与が指摘されています。歯周病菌が血中を流れることで、血管の内壁を傷つけてしまい、そこに脂肪性沈着物(プラーク)が付着し、動脈硬化を進めていきます。実際に腹部大動脈瘤や、下肢動脈の病気である閉塞性動脈硬化症では、その血管組織から歯周病菌が高率で見つかり、原因の一つと考えられています。

歯周病と全身の病気は、全く関係ないようですが、実際には歯周病は重大な病気を引き起こしてきます。病気の予防や、治療のための薬の内服だけではなく、定期的に歯のチェックも心がけましょう。


回って

これまで何ともなかったものの、朝目覚めた時などに急に「めまい」を感じることがあります。ただ「めまい」と言ってもいろいろあり、原因からは中枢性(脳)と末梢性(耳など)に分けられ、また症状からは回転性(周囲や自分が回っている感じ)、浮動性(ふらふらする、揺れている感じ)、前失神性(立つ時にくらっとなる、目の前が暗くなる)のように分けられます。 

「めまい」の中でも原因として圧倒的に多いのが末梢性であり、その中でも多いのは耳が原因の良性発作性頭位めまい症(BPPV)です。頭を動かすと、数秒から数十秒間おこる回転性めまいであり、めまいを引き起こす特定の頭の位置(寝返りを打った時や前かがみになった時など)があることが知られています。予後は良好であり、薬の内服や、理学療法が有効とされます。その他の末梢性めまいには、難聴や耳鳴り、耳がつまった感じを伴うメニエール病などがあります。

 一方頻度は多くないものの、中枢性めまいは、回るという回転感はそれほど強くなくて一時的でも、平衡異常が続くとの特徴があります。そして原因としては、小脳や脳幹部の梗塞、出血、クモ膜下出血などといった命に関わる、または後遺症の残る重大な疾患が挙げられます。末梢性と違い、めまいの他に顔面のしびれ、物が二重に見える、手足の運動麻痺、飲み込めないといった、疾患の場所によってさまざまな症状が一緒に現れてきます。これらの出血や梗塞では、治療までには一刻を争います。めまいと共に、他の神経症状がある時は速やかに医療機関を受診しましょう。

また内服している薬によってもめまい、平衡障害がおこることがあります。抗不安薬、睡眠導入剤、降圧剤等の中にそれらの作用がおこるものがあり、筋肉の弛緩(緊張を和らげる)作用がある薬は、特に高齢の方では、夜間の転倒に注意が必要です。内服薬で心配のときには、ぜひかかりつけ医に相談してみましましょう。