宮城野区小田原の内科・消化器内科
内科萱場クリニック
〒983-0803 宮城県仙台市宮城野区小田原1-5-32
TEL: 022-256-5101

クリニック案内

○各種健康保険取扱い
○駐車場あり(12台完備)
原則院内処方

医院名
内科萱場クリニック
院長
萱場 佳郎
住所
〒983-0803
宮城県仙台市宮城野区小田原1-5-32
診療時間
8:30~12:00、14:30~18:00
※土曜日は9:00~12:30までの診療
水曜・土曜午後、日曜、祝日休診
電話番号
022-256-5101
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日差しで


 春になって屋外でのレジャーや、スポーツ観戦などにはいい季節となりました。日差しは強まり、帰宅すると紫外線によって鼻や額が赤くなって

いることがあります。地上に来る紫外線は、波長の違いによって、A波(UVA)と、B波(UVB)に分けられます。比較的波長が長く、皮膚のたるみ

やしわといった老化現象を引き起こすUVAと、日焼けやしみ、そばかすの原因となる比較的波長の短い高エネルギーのUVBに分けられます。これら

は遺伝子DNAを傷つけて皮膚がんのリスクとなり、UVBは将来の白内障のリスクとなります。紫外線量が最も多いのは初夏から夏、時間では太陽が

頭上にある10時から14時ころ、緯度が低く、標高が高い山ほど多くなります。また照り返しが強い海やスキー場では紫外線量も多く、特に紫外線量

が増える5~6月は、冬を過ぎた皮膚はやや色白になっていることから、紫外線の影響を受けやすくなります。以前は小麦色の肌が健康的とCMにも出

ていましたが、帽子やサングラス、日焼け止めクリーム等を使って、将来の自分の目や皮膚を守りましょう。

 ただ紫外線は有害ばかりではありません。ビタミンDを生成することで、体内へのカルシウムの取り込みを促します。骨粗しょう症への予防には家

にこもるのではなく、木陰でたたずむなど多少は日光を浴びることがおすすめです。

 またわずかしか日光に当たらないのに、使っている薬によっては日焼けしやすく、また赤くなることがあります。薬剤性の日光過敏症として内服

薬や湿布薬によって反応が起こることがあり、特にある種の利尿剤や抗菌薬、湿布薬で知られています。そのうち湿布薬は、剥がしても4週間ほどは

日光との反応が起こるとされており、必ず服の下に貼り、これからの季節では日光が当たる首筋や腕には注意が必要です。ましてや家族や知り合い

に気軽に湿布薬を譲ることはやめましょう。処方された薬で心配の場合は、医師や薬剤師に相談してみましょう。


歯と口の


 6月には、「歯と口の健康週間」があります。これは歯科疾患の予防、早期発見、早期治療によって歯の寿命を延ばすことでの健康増進が目的で

す。またテレビでも、口の健康や歯周病予防の多くのCMが流れています。

 口臭予防のCMも多くみられますが、口臭は、実際には「真性口臭」、「仮性口臭」、「口臭恐怖症」に分類されています。「真性口臭」は明らか

に口臭があるタイプであり、その中には、就寝中は唾液が少なかったことで、起床時におこるような生理的口臭や、たばこやアルコール、ニンニク

などでの口臭、さらには病的な口臭があります。「仮性口臭」は、本人は気になるものの周囲では気になるほどではないタイプ、「口臭恐怖症」

は、周囲は気にしていないのに、本人だけが気にして悩んでしまうタイプです。この仮性口臭、口臭恐怖症では、実際に口臭測定器で確認すること

になりますが、この検査は大学病院の口臭専門外来等で受けることができます。

 これらの中で実際には「病的な口臭」が問題となりますが、真性口臭の原因の大部分、9割方は口内に原因があり、多くは舌苔(舌についた苔状の

もので細菌の塊)と歯周病によるものです。口以外の全身疾患の兆候としての真性口臭もありますが、10%程度とかなり限られるといわれます。原

因の大部分は口腔内のガス(揮発性の硫黄化合物)由来とされ、多くは舌苔から作られます。予防としての舌苔への対応は、せいぜい一日一回、朝

の歯磨き後にでも柔らかい歯ブラシなどで、舌の奥から手前に向かって舌苔を除去することです。ただしこすりすぎて舌を傷つけないように、やさ

しく清掃するのがコツです。また歯周病については、定期的に歯科を受診して、歯垢・歯石の除去など早めに歯周病予防をしましょう。

 口内以外の原因での口臭については、耳鼻科領域や内科領域があります。耳鼻科では副鼻腔炎(いわゆる蓄膿症)、咽頭喉頭炎があり、また内科

領域では、「口臭があると胃が悪い? 」と言われることがありますが、胃が原因でのほとんどは胃内のガスが上ってくる(げっぷ)時くらいで

す。重い糖尿病や肝臓病、胃や肺の悪性疾患でも口臭がみられることもありますが、その際には口臭以外の何らかの症状を伴うことがほとんどで

す。口臭が気になったり指摘されたら、まずは舌苔を清掃しながら歯科を受診して歯周病について相談しましょう。その上で鼻水や咳、腹部症状な

ど、他にも症状を伴う場合には耳鼻科や内科受診をお勧めします。


寒さと熱さで

 年が明けて、小寒、大寒と、いよいよ寒さも厳しくなり、春が待ち遠しくなります。寒い夜には、入浴で温まるのが楽しみですが、入浴の前後に

は血圧が大幅に変動します。一年でみても、夏には血圧は低めで、冬になると血圧は高めとなってきます。夏は汗をかくことで血管内の水分量は

減って、血管内の圧力(血圧)は下がり気味となりますが、冬は余り汗をかかない上に、寒さで体温を逃がさないように血管が収縮して血圧が上が

りやすくなります。ただ、冬でも暖房の効いた温かい部屋では、血管は開いていて血圧はあまり変化していません。ましてや飲酒をすると、顔が赤

くなるように血管が開いて血圧は逆に下がっています。その後トイレや入浴のため廊下に出ると、寒さで血管は収縮して血圧は上がることになりま

す。浴室とトイレは家の北側にあることが多くて比較的寒く、風呂場の脱衣中に血圧は急に上がります。その後お湯に入ると血管は広がって今度は

血圧は急に下がり、浴室から出ると血圧はまた上がるといった変動が何回もおこります。血圧の変動は心臓に負担をかけて(ヒートショック)、心

筋梗塞や脳梗塞、脳卒中につながりかねません。特に高血圧や心臓病等の持病のある方、高齢の方は注意です。入浴中に亡くなるのは、全国で年間

約1万4000人と推測されており、原因の多くはヒートショックである可能性があります。

 予防として、部屋の内外の温度差をなるべく小さくするために、脱衣室、トイレを暖める、浴室も暖房にするか、もしくは前もって給湯時に湯気

を使って暖めましょう。入浴はぬるめのお湯に入り、熱めの湯、長湯を避ける、高血圧や心臓病等のある方は肩まで湯に入らずに、胸付近にとどめ

る、深夜に一人で入浴することを避けて、周りの方も声を掛け合いましょう。これらに注意して入浴での事故は未然に防ぎたいものです。

サッポロ

 今年の冬も胃腸炎が流行する時期になってきました。ノロウイルスがウイルス性胃腸炎の原因としては有名であり、食中毒の件数の3割強、患者数

では5~6割を占めて最多です。またその他にもいろいろなウイルス感染の胃腸炎があり、その中には2002年に国際委員会で命名されたサポウイル

スがあります。サポは発見された札幌にちなんでおり、ノロウイルスと同じ種類(カリシウイルス属)に分類され、集団食中毒や成人からよりは、

特に小児の急性嘔吐下痢患者から見つかるとされています。感染ルートはノロウイルスと同じカキなどの二枚貝からで、潜伏期は数時間から数日

(平均1~2日)で、主な症状は、吐き気、おう吐、下痢、腹痛です。もともとノロウイルスとは同じ属であり、症状からは分類は困難です。症状は

平均1~2日ですが、長いと一週間続き、吐物や糞便を介して人から人へ感染することから、食べた覚えがなくても学校、幼稚園などそして家庭内で

流行しやすいのです。

 予防としては、ノロウイルスと同様に感染、発症しやすい小児や体力の落ちた方は、カキの生食を避けるのが無難です。加熱すればウイルスは死

滅することから、食べる際には、中心まで85度以上で、1分以上加熱して食べるようにしましょう。

 他に胃腸炎を起こすウイルスとしては、


  アストロウイルス:主に乳幼児の胃腸炎を起こすとして知られています。ノロウイルスに次いで多く、潜伏期は1~4日、水溶性下痢、嘔吐、発

   熱が4~5日あり、ノロやロタよりは軽く済みます。やはり二枚貝や糞便からの感染とされています。

  ロタウイルス:冬季幼児下痢症とも呼ばれ、発熱、腹痛、激しい下痢で好発年齢は6カ月から2歳であり、潜伏期は約2日、症状は7日ほど続きま

   すが、大人では無症状か軽症で経過します。

  アデノウィルス:ウイルスには多くの型があり、ある型はプール熱や流行性角結膜炎をおこします。またある型は嘔吐、下痢、腹痛で胃腸炎を

   おこします。乳幼児に多いとされますが、大人ではほとんどないとされています。

 
 などがあります。これらも、患者の糞便から出たウイルスが、口に入って感染するルートであり、消毒が重要です。吐物や下痢便には、ウイルス

が大量に含まれており、片付けにはマスクや手袋をしっかりと着用した上で、雑巾等で吐物・下痢便をふき取ります。ふき取った雑巾はビニール袋

に入れて密封して捨てます。その後で汚染された場所を、薄めた塩素系消毒剤(ハイター、ブリーチなどの家庭用漂白剤では500mlのペットボトル

に、キャップ2杯分を入れて、その後水で500mlに薄める)で広めに消毒します。

 通常症状は、数日で快方に向かいますが、その間は脱水に注意です。日ごろから予防し、発症してしまったら周りに拡大させないように注意して

いきましょう。

胸やけで

 年末年始が近づき、夜遅くまでの飲食が多い時期になりました。そうすると夜中や翌日には胃が重かったり、胸焼けを感じることがあります。

 胸焼けは、みぞおちや胸骨の下縁付近が焼けるようなチクチクと痛む症状で、背中までも痛むこともあります。食道は酸に弱く、胃液が逆流する

と傷害を受けやすくなります。そのため胃と食道の境には括約筋があって胃液の逆流を抑えているものの、その働きが弱ったり、胃酸分泌が増えす

ぎたところで、逆流して食道にとどまることで、逆流性食道炎がおこってきます。常時食道が酸にやられると、胃と食道の境界付近の食道粘膜は後

退して胃の粘膜に置き換わっていき(バレット粘膜)、将来の発がんリスクとされていきます。

 逆流性食道炎の発生原因としては、

  ① 肥満、ベルトで腹部を強く締めすぎる、食後にしゃがむことが多い、腰が曲がっているといった腹圧の上昇

  ② 消化に時間がかかって、胃酸分泌が増える脂肪分、タンパク質の取りすぎ、食べすぎ飲みすぎなどが、あげられます。

 予防として、腹八分目の飲食をする、食後すぐに横にならない(少なくとも2~3時間は上半身を起こしている)、グレープフルーツジュースな

ど酸味の強い飲食を控える、肉の脂身やケーキ等脂肪分の多い食事、揚げ物や海藻、きのこなど消化に時間のかかる食事の摂取は、特に就寝前は減

らしましょう。ケーキやグラタンに使われるバターは胃内の滞留時間時間が12時間以上、一般に脂質は6~7時間とされています。またコーヒーや緑

茶等に含まれるカフェインやアルコールは胃酸の分泌を増やしてしまいます。夕方おやつの時間で胸焼けが気になる時は、いわゆるコーヒーブレイ

クではなくて、酸を中和するアルカリ性食品(牛乳、ヨーグルトなど)を取りましょう。

 治療としては、胃酸の分泌を抑える薬や、胃のぜん動運動を促して内容物を早く腸に排出させる薬、消化薬を内服していきます。ただし狭心症や

食道がんなどの疾患でも、胸焼けの症状が出てくることがあります。症状が長く続く時は、ぜひ医療機関に相談しましょう。

今年のワクチン

 今年もインフルエンザのシーズンが始まります。2016年の冬から17年にかけてのシーズンでは、例年より始まりが二週間ほど遅く、年明けから感

染が拡がって、春まで続きました。17年冬からの昨シーズンは例年通りに始まり、1月末にピークを迎えました。今年の流行パターンはわかりません

が、昨シーズンのA型は前半に、2009年に流行したいわゆる新型インフルエンザ(パンデミック)の亜型が流行し、後半はA香港の亜型が流行しまし

た。一方B型では山形で分離された「山形」系と、オーストラリアで分離された「ビクトリア」系の内、山形系が多かったようです。2015年からワ

クチンには、4種類(A香港、Aパンデミック、B山形、Bビクトリア)の成分が入れられるようになり、今年も同じ4種類の株でのワクチンです。

 ワクチン製造には鶏卵を使った培養で時間がかかりますが、昨年はA香港株ワクチンの製造過程で、流行すると判断して製造を始めた株の増殖効率

が悪く、生産量不足に陥る懸念から、株の種類が途中で変更となってしまいました。そのため生産が遅れ、一時はワクチン不足も懸念され、公的助

成による高齢者のインフルエンザワクチン接種期間も、例年の年末までが一月末まで延長となりました。今年も現状では、ワクチンの流通が現在の

ところ潤沢とは言えず、先が見通せない状況となっています。

 今年は風疹や麻疹(はしか)の感染が、関東地方で特に流行し、例年数よりも既に超えたとニュースで報道されました。妊娠中の女性が風疹にか

かると、先天的に聴力や心臓に問題がある子供が生まれる率が高くなりますし、麻疹は非常に感染力が強く、脳炎や肺炎で死亡することがありま

す。現在は麻疹、風疹両方に対応したMRワクチンが接種されています。このワクチンは弱毒化した生ワクチンのため、接種後27日間は次のワクチン

ができなくなります。逆にインフルエンザワクチンは、接種後7日目からは他のワクチンの接種は可能です。複数のワクチン接種をそれぞれする場合

は接種順の計画が必要であり、心配な方は医療機関に相談してみましょう。

風疹への対応

 今年は風疹が関東地方で例年以上に流行していると、ニュースが伝えています。全国で、既に去年一年間の2倍近くになっています。交通機関の発

達で、仙台でも安心はできません。風疹はウイルスによる飛沫感染であり、潜伏期は2~3 週間、症状はリンパ節の腫れ(特に耳介後ろ、後頭

部、頚部)、紅く小さい発疹、発熱がみられます。これらの症状が全てそろわないこともありますが、一度感染すると、ほとんどは二度と感染する

ことはありません。ただ大人になってから初めて感染すると、子供より重症になることがあり、関節炎が長引いたり、まれに脳炎などをおこすこと

があります。特に女性が妊娠前半(妊娠20週頃まで)に初めて感染すると、胎児が先天性風疹症候群(先天性心疾患、白内障、難聴、網膜症など)

を高率におこすことが問題になります。 ウイルス感染ですから対策は予防接種ですが、妊娠中は接種することができず、接種後は 2カ月間避妊が必

要です。そのため女性は感染したことがなければ、妊娠前に2回風疹ワクチンを受けておくこと、配偶者など妊婦の周囲でも対策をとっておきましょ

う。

 日本では1977年8月から女子中学生に対して集団接種が始まりました。しかし当時男子中学生には集団接種はされず、また一時任意接種になった

こともあって、現在の30代後半から50代後半までの多くの人(特に男性)は予防接種を受けていないことになります。風疹に対する免疫調査でも、

その年代の免疫が低いことが明らかになっています。実際の風疹患者も、男性が女性の3倍以上であり、女性は妊娠が判明すると産科で必ず風疹の抗

体価を調べますが、配偶者や同居の家族は調べません。そのためにたまたま妊婦に免疫がなく、周囲の家族配偶者がその時期に感染した場合、妊婦

にうつしてしまうリスクが大きくなります。30~50 代の男性で風疹にかかったことがない、もしくはわからない場合、風疹ワクチンを受けていない

か、あるいは接種歴が不明の場合には、風疹の抗体を既に十分もっているかは、採血で調べることができます。そして抗体価が低い場合は、早めに

予防接種をしておきましょう。今後妊娠、出産を希望する家庭では、家族みんなで早めに対応しておくことが重要です。


CKD

 今年も仙台市では9月末まで特定健診、基礎健診(メタボ健診)が行われています。健診の項目には、例年通り血圧、脂質、HbA1c(1~2か月前

の血糖の平均)等の他に、尿潜血、尿蛋白、腎機能(クレアチニン、eGFR)が含まれています。eGFRは、クレアチニン値、性別、年齢から、標準

体型の場合に時間あたりの腎臓での血液ろ過量(腎臓の機能:ml/分/1.73m2)を計算で出しています。そのため力士のように体が非常に大きい人

や、極端にやせた人ではずれが生じますが、本人の過去、現在、将来での腎機能の比較ができます。eGFR 60以上が正常とされており、若い方は10

0程度あって、加齢とともに低下していきます。

 その中で慢性腎臓病(CKD)という考えが、2002年に国際的に決められました。慢性腎臓病での機能低下が原因で、将来透析に陥ることを早めに

予防しようというものであり、尿や腎臓の異常、特に蛋白尿が見られるか、もしくはeGFR 60以下、の「いずれか」、または「両方」が3か月以上

続く時に診断されます。慢性腎臓病は、メタボと関連が深いとされているものの、少しの蛋白尿が出ているか、eGFRが60をわずかに切ったような初

期の段階では、自覚症状はほとんどありません。そのためにいつの間にか悪化しやすいとされており、慢性腎臓病の怖さは、悪化していくと将来へ

の透析(eGFR 10台)や腎移植はもちろん、脳心臓の血管疾患(脳卒中、心筋梗塞)による死亡リスクが急激に増えていくことにあります。

 慢性腎臓病の原因としては、加齢、高血圧、喫煙、メタボ状態(脂質異常、糖尿病、高尿酸)、腎炎などがあげられます。高血圧では、心臓から

続く太い動脈に、腎臓で尿を作る細い血管、脳組織を通る細い血管が直接つながっていることから、これらの細い血管に直接高い圧力(血圧)がか

かってダメージをひき起こし、腎機能の低下や脳へのダメージ(ラクナ梗塞)を起こすと考えられています。腎機能の低下原因の中で、加齢は仕方

がないとしても、他の要因は早期に対応すれば防げるものであり、特定健診、基礎健診の項目で自分の状況を知ることができます。健診を毎年定期

的に受けるとともに、その後の経過観察についてぜひかかりつけ医で相談していきましょう。

濃縮されて

 いよいよ梅雨明けで暑い夏がやってきます。夏によく聞く熱中症で、重篤な場合には意識障害や死亡に至りますが、同じように脳卒中(脳血管障

害)の内、脳梗塞が、梅雨明けから8月、夜間から起床後2時間に多いとされています。冬は、寒さで血管が収縮することで血圧が上がって血管が破

れるために、脳出血やくも膜下出血が多くなります。一方夏では、血管が冬ほどは収縮しないことから、血圧が一気に上がることはないものの、大

量の汗をかくことで脱水になりやすく、血圧が下がり、血液が濃縮されてどろどろになって詰まりやすく(梗塞)なります。特に就寝中は水分を取

れないことから、発症しやすいとされています。

 脳の血管が詰まる場合には、

 1) ラクナ梗塞:脳の細い血管に動脈硬化がおこって詰まる。高血圧の人に多い。狭い範囲の脳が障害を受けるので、初めは症状が出にくいもの

  の、多発してくると脳が萎縮して、将来認知症のリスクが出てくる。

 2) アテローム血栓性脳梗塞:脳の太い血管の内側にコレステロールの塊が付いて、そこに血液が凝固して血管を塞いでしまう。太い血管が詰ま

  ることで広範囲の脳が障害を受け、半身不随や意識障害等の重い後遺症を残しやすい。

3) 心原性脳梗塞:心房細動等で心臓の中に凝固した血液ができて、それが流れて行って脳の血管を塞ぐ。太い血管が塞がれば、重い症状となる。

  があり、脳卒中死亡の60%以上を占めるとされ、特に夏にはラクナ梗塞とアテローム血栓性脳梗塞が起こりやすくなります。予防するには、脱

  水状態に水分を補う意味から、就寝前や起床時に水を飲むようにしましょう。

 ただ脳梗塞は夏に発症が多いといっても、それ以外の季節には特にないわけではありません。脳梗塞の発病には加齢や生活習慣が関わっていま

す。脳梗塞の危険因子として、高血圧、糖尿病、脂質異常が上げられ、予防として、動脈硬化を抑えるために、禁煙し、食べすぎ、多量の飲酒を控

え、寝不足・肥満を避けて、適度の運動を心がけるなど、生活習慣の改善が大変重要です。 

 脳梗塞では、顔がゆがむ、片方の手足が痺れる、腕が上がらない、うまく話せない、意識がおかしいといった症状が突然現れます。その時は時間

との勝負です。早くに治療ができれば、大きな後遺症を残さずに済むことがあります。救急車を呼んで急いで脳の専門医療機関を受診してくださ

い。またこれらの症状が現れても、まもなく消えてしまうことがあります。これは一過性脳虚血発作と言って、その後に重大な脳梗塞が現れる危険

性が大です。症状がなくなったからいいというのではなくて、速やかに脳の精密検査を受けましょう。


8020

 最近8020(ハチマルニイマル)運動が提唱されています。高齢(80歳)になっても、自分の歯が20本以上あれば噛む 機能が維持されて食生活

に支障がなく、健やかな生活を送れるだろうとの考えです。そのためには、歯を失わないようにすることが必要となりますが、自分の歯の喪失原因

の9割は齲歯(虫歯)と歯周病で占められています。そのリスク因子としては、口腔清掃の不良、喫煙等が挙げられており、喫煙では一酸化炭素やニ

コチンが、免疫能や傷の治りに悪影響を与え、歯周病の治療や、歯周外科手術の治療経過が不良になることが知られています。

 また歯周病(歯槽膿漏)は、歯の喪失原因だけではなく、全身疾患とも関連があります。歯と歯茎の境目には歯垢がつきやすく、歯垢はさまざま

の歯周病菌の塊です。それらの歯周病菌が産生する毒素が、歯肉に炎症を起こして、赤く腫れて歯を支える骨を溶かしてついには歯が抜けてしまい

ます。またそれらの菌や毒素は、歯肉から血管内に侵入して免疫反応を刺激し、肝臓や脂肪組織から化学物質の産生を促します。この化学物質は血

糖を下げるホルモン(インスリン)の効果を妨げることから、血糖コントロール不良になり糖尿病になりやすくなります。また糖尿病自体も、歯周

病を悪化させやすいとされています。歯周病は、細菌感染による慢性炎症であり、その始まりや進行具合には体の抵抗力が影響してきます。それに

対して、糖尿病が悪化すると免疫抵抗力が低下して、血管壁の変化、傷の治りの遅れがおこって、歯周病の悪化、歯の喪失を進めてしまいます。

 さらに動脈硬化でも、歯周病菌の関与が上げられます。歯周病菌が血中を流れることで、血管の内壁を傷つけてしまい、そこに脂肪性沈着物(プ

ラーク)が付着し、動脈硬化を進めていき、同時に喫煙が加われば、さらに進行していきます。実際に命に係わる大動脈瘤や、歩行困難に繋がる下

肢動脈の閉塞性動脈硬化症では、その血管組織から歯周病菌が高率で見つかり、原因の一つと考えられています。歯周病は、全身の病気と全く関係

ないようにみえて、実際には重大な病気を引き起こしてきます。8020を目指して、定期的に歯のチェックも心がけましょう。


きわめて強い

 今年の大型連休の前後に、沖縄や名古屋での麻疹(はしか)の発生がニュースに流れました。2015年に日本から麻疹は 排除されたと、世界保健

機構(WHO)が宣言しましたが、外国から持ち込まれて、それが拡がってしまいました。麻疹は空気、飛沫、接触で感染するとされて、きわめて

感染力の強い疾患です。

 麻疹は予防接種で抑え込める疾患です。2001年に全国的に麻疹の流行があった際、1歳児の予防接種率が上昇したことで、乳幼児の感染が大きく

減少し、麻疹の流行規模は縮小しました。そのため周囲からうつる感染機会が減り、予防接種をしていない人や、接種しても免疫が獲得できなかっ

た人で以前なら感染して発症していたはずの人が、感染しないで済んだということが起こるようになりました。感染すれば一生免疫を持ちますが、

感染しなかったために免疫を持っていなかったり、予防接種で免疫を獲得後に、さらに感染によって免疫力が高まることもなくて、加齢とともに免

疫力が低下することがあります。

 麻疹の合併症としては、肺炎、脳炎、中耳炎、心筋炎等があり、1000人中1人程度が死亡(2009年の新型インフルエンザでの日本の死亡率は10万

人で0.16人)するとされています。特に肺炎は死亡例の6割を占め、また脳炎は感染1000人中1人で合併し、15%は死亡、25%は神経に後遺症を残

すとされています。現在麻疹への特効的な治療法はなく、予防接種(2回)が最も重要です。

 特に
  ・10歳代の学生等で麻疹予防接種未接種、1回のみ接種、もしくは接種歴不明

  ・東南アジア等、麻疹発生国に旅行予定

  ・麻疹抗体価陰性もしくは低抗体価の妊婦の家族(妊婦は接種不可)

  ・保育所、学校、医療関係者 

  ・不特定多数の人と接触する職業                                                   

 などの場合は、早めの接種が望ましいとされています。もし心配な場合は、かかりつけ等の医療機関に相談してみましょう。


健と検

 新年度となり、今年も職場の健康診断や住民健診が始まります。今年は仙台市の特定健診では従来の7~10月、基礎健診の8~10月だったのがそれ

ぞれ一か月早く始まり、一か月早く9月末で終了することになりました。

 一言「けんしん」と言った場合には、「健診」と「検診」があります。「健診」は健康診断のことであり、健康であるかどうかを確かめるもので 

す。健康であるかを確認するとともに、病気になる危険因子をもっているかを探すものであり、本来がんなどの病気を見つける目的ではありませ

ん。そして病気になる危険因子が見つかったときには、生活習慣を改めて健康管理をしていくことになります。健診の中で法律で決まっているもの

には、先ほどの特定健診や、職場の定期健康診断、また学校健診が挙げられ、任意ではドック(人間ドック、脳ドックなど)がそれにあたります。

その健診の結果を踏まえて、将来の病気へのリスクを抑えていこうというものであり、例えば特定健診はいわゆるメタボ健診であって、将来の動脈

硬化を抑えて心筋梗塞、脳卒中を予防しようというものです。そのため健診の結果だけをみて、病気の危険因子に対して何ら対策をしなければ、健

診の目的からは、ずれてしまうことになります。

 一方の「検診」は、特定の病気を早期に発見し、早期に治療することを目的としています。そのため、健診とは目的が違っており、大腸がん検

診、胃がん検診、肺がん検診等のがん検診がこれにあたります。国では大腸がん検診では、40歳以上で年一回問診と便潜血検査、胃がん検診では50

歳以上(バリウムの場合は40歳以上)で、問診と胃バリウム検査もしくは内視鏡検査で二年に一回(バリウムでは当面年一回、)、肺がんは40歳以

上で、問診、胸部X線検査、喀痰細胞診検査で年一回の受診を勧めています。

 春には、新年度の特定健診、基礎健診の申し込み、病気ごとの検診の申し込みが始まります。ぜひ忘れずに申し込むようにしましょう。


すい臓の 

 今年も野球シーズンが始まりました。ただ今年は、年明け早々にプロ野球元監督がすい臓がんでなくなられた悲報が駆け巡りました。

 すい臓がんは、がんの原因臓器別で、男性では肺、胃、大腸、肝臓についで第5位、女性では大腸、肺についで第3位の死亡原因となっています。

がん全体の5年生存率(がんが見つかってから5年間生存している割合)が60数%程度であるのに対して、膵臓がんは7~8%と極端に低いのが現状

です。

 すい臓がんの自覚症状には、腹痛や背中の痛み、体重減少、黄疸、食欲低下等がありますが、早期には自覚症状はほとんど現れません。そのため

自覚症状が現れたときにはすでに進行してしまっていることが多くみられます。またタバコは肺がんの危険因子といったように、すい臓癌でも危険

因子の存在が知られています。すい臓癌では、


  ① 糖尿病:糖尿病の人はすい臓癌になるリスクが高いことが知られています。糖尿病が急速に悪化したときや、突然発症したときは特に注意が

   必要です。

  ② 慢性膵炎:男性では飲酒が、女性では原因が特定できない特発性が原因として多くを占めており、慢性膵炎では膵癌の危険性が12倍にあがる

   とされています。

  ③ 肥満:極度の肥満

  ④ 喫煙:本数が多いほど危険性が高まります

  ⑤ 連日の多量の飲酒

  ⑥ 家族にすい臓癌の人がいる方(家族性)


 が、あげられています。

 膵臓は細長い臓器で、胃や大腸の後ろ(背側)、脊椎と腹部の大血管の前(腹側)に位置しています。そのため腹部エコー(超音波)検査では胃

腸のガスに阻まれて、すべての観察がなかなか困難ですし、また胃や大腸のように内視鏡で直接観察することもできません。一方CTやMRIといった

腹部の写真ではガスの影響もなく、検査をすることができますが、費用や時間、被爆といった制限が加わり、検査としては一長一短です。

 現在自覚症状がなくても危険因子を多く持つ方は、たまには健診機関で健診を受けるか、上記のような自覚症状のある方は、かかりつけ医にぜひ

相談してみましょう。


今年のスギは 

 今年もまた鼻水、くしゃみ、目の痒みなどの不快な季節がやってきます。昨年のスギ花粉の飛散は例年の約半分だったのですが、今年仙台では3

月上旬から、例年の約2倍の飛散が予想されています。昨年は非常に症状が軽かった方も、今年は症状が重い可能性があります。

 花粉症の治療には、まず抗ヒスタミン剤の内服が使われますが、症状の出る前、2月からは内服を始めておいたほうが、症状を抑え込めるとされ

ています。内服してもさらに症状が出るときには、点鼻薬や点眼薬を加えていきます。最近の抗ヒスタミン薬は眠くなりにくい種類が出てきていま

すが、依然として車の運転は注意、もしくは危険とされ、また前立腺肥大や緑内障の方、肝臓、腎臓機能が低下している方は慎重に、との薬もあり

ます。 市販薬には、従来の眠くなる成分が入った花粉症薬もあり、注意が必要です。

 花粉症の季節には新聞やテレビで花粉飛散情報が出ていますし、国の環境省のホームページ、はなこさんにも仙台地区の花粉飛散情報がでていま

す。花粉症の予防は、花粉の飛散の多い日は外出しない、マスクや眼鏡をかける、家に花粉を入れない、はたき落としてから家に入ることが基本で

す。処方された内服薬で眠気やだるさを感じる時は、早めにかかりつけの医師や薬剤師に相談して、つらい季節を安全に乗り切りましょう。


3割強と5~6割 

 今シーズンの冬も胃腸炎が流行る時期になってきました。ウイルス性胃腸炎の原因ウイルスはいろいろありますが、ノロウイルスによる胃腸炎が

広く知られています。ノロウイルスは感染者の排便、吐物から下水に流れていきます。下水処理場で処理しきれなかったウイルスが海に流れて行っ

て、2枚貝は大量の海水を取り込んでプランクトンを摂取することから、ウイルスを含んだ海水を取り込むことで蓄積、濃縮されていきます。

 そのため、カキなどの2枚貝の生食によって感染しますが、人から人へも感染することから、食べた覚えがなくても学校、幼稚園などそして家庭内

で流行しやすい特徴があります。平成28年の食中毒の件数の3割強がノロウイルスによるもの、患者数では5~6割を占めており、共に第1位となっ

ていました。潜伏期は数時間から数日(平均1~2日)で、主な症状は、吐き気、おう吐、下痢、腹痛です。症状の期間は数時間~数日(平均1~2

日)と短期間であり、予後は普通良好ですが、乳幼児や高齢者では吐物による窒息で亡くなってしまうことがあります。

 予防としては、感染、発症しやすい小児や体力の落ちた方は、生食を避けるのが無難です。加熱すればウイルスは死滅することから、食べる際に

は、中心まで85度以上で、1分以上加熱して食べるようにしましょう。

 またノロウイルス感染症の場合、おう吐物や下痢便には、ウイルスが大量に含まれています。おう吐物や下痢便が付着した衣類やカーペットなど

は、乾燥すると空中にウイルスが飛散し感染源となってしまいます。乾く前に早めに対処しましょう。以前、ホテルの廊下で、おう吐物の処理がま

ずかったために、廊下を通った人々に一気に拡がってしまった事件がありました。片付ける人は、マスクや手袋をしっかりと着用した上で、雑巾・

タオル等で吐物・下痢便をふき取ります。ふき取った雑巾・タオルはビニール袋に入れて密封して捨てます。その後でおう吐物や下痢便の付着した

場所を、薄めた塩素系消毒剤(ハイター、ブリーチなどの家庭用漂白剤では500mlのペットボトルに、キャップ2杯分を入れて、その後水で500mlに

薄める)で広めに消毒します。ただし間違って飲んでしまう危険がありますから、この消毒剤の作り置きは控えましょう。汚れた衣類もすぐに洗濯

機に入れずに、まず手洗いして汚れを落とした上で、先程作った薄めの塩素系消毒剤で消毒します。洗濯機に入れるのはその後です。

 普通症状は、数日で快方に向かいますが、その間は結構大変です。日ごろから予防し、発症してしまったら周りに拡大させないように注意してい

きましょう。


 逆流して

 年末年始となって、会合が多い時期になりました。遅い時間まで飲食してすぐに寝てしまうと、夜中や翌日には胃が重かったり、胸焼けを感じる

ことがあります。

 胸焼けは、みぞおちの上部や胸骨の下縁付近に違和感やチクチク痛む症状で、背中まで痛むこともあります。胃液は、強い酸性の胃酸や消化酵素

を含んでおり、胃は粘膜で保護されているものの、食道は酸に弱く、胃液が逆流すると傷害を受けやすくなります。そのため食道下縁に括約筋が

あって胃液の逆流を抑えているものの、その働きが弱ったり、胃酸が増えすぎたところに、逆流して食道にしばらくとどまることで、逆流性食道炎

がおこってきます。

 原因として、脂肪分、タンパク質の取りすぎ、食べすぎ飲みすぎ―消化に時間がかかり、胃酸が増えることで、食道に逆流しやすくなる加齢―年

齢とともに、下部食道括約の動きが悪くなり、唾液の分泌も減りことから、逆流してきた胃の内容物を胃に押し流しにくくなる腹圧の上昇―しゃが

むことが多い、きついジーパン等で腹部を強く締めすぎている、高齢で腰が曲がっているが、あげられます。

 予防として、食べすぎ、飲みすぎを控える、食後すぐに横にならない(少なくとも2~3時間は上半身を起こした体位でいる)、ケーキ等の甘い

もの、酸味の強い果物や、揚げ物や海藻、きのこなど消化に時間のかかる食事の摂取量を減らしましょう。またコーヒーや緑茶等に含まれるカフェ

インは胃酸の分泌を増やします。アルコールは胃酸の分泌を増やすとともに、下部食道括約筋を緩めてしまい、そのため胃酸は食道に逆流しやすく

なって、傷害しやすくなります。空腹時等で胸焼けが気になるときは、酸を中和するアルカリ性食品(乳製品など)を取りましょう。

 ただし胸焼けの症状には、狭心症や食道がんなどの重篤な疾患が隠れていることがあります。症状が長く続く時は、ただ逆流性食道炎と思って放

置せずに、一度はぜひ医療機関に相談しましょう。


食後に 

 年末が近づき、外食の機会も多い時期になりました。

 ただ、食事が終わってしばらくしたら、または就寝中に唇が腫れあがった、赤く発疹が出てきて痒くて仕方がなくなってしまうことがあります。

 原因としては、不詳なものもありますが、多いのは小麦、果物、エビ、カニの甲殻類、魚類などがあげられます。果物では、ある植物の花粉によ

る花粉症で、その反応抗原と近い構造をもつ果物や野菜でもアレルギー反応を起こしてしまうというものです。例えばカバノキ科(シラカンバ<白

樺>、ハンノキ等)の花粉症では、バラ科(リンゴ、西洋ナシ、モモ、アーモンド等)、マタタビ科(キウイフルーツ)、ウルシ科(マンゴー)等

でもアレルギー反応が起こりうることが知られています。

 また食事アレルギーの症状は、皮膚、粘膜、呼吸、消化器、循環器、神経に分けられます。


  皮膚:赤くなって、蕁麻疹、かゆみ、熱感など

  粘膜:結膜充血、かゆみ、涙が流れる、眼瞼が腫れる、口腔、口唇の違和感・腫れ、鼻水、鼻づまり、くしゃみ

  呼吸:のどの違和感・かゆみ、声かれ、嚥下困難、喘鳴、呼吸困難

  消化器:悪心、吐き気、腹痛、下痢など

  循環器:血圧低下、頻脈、徐脈、不整脈など

  神経:頭痛、不穏、意識障害など


 軽い段階での、限局的な蕁麻疹やのどの違和感、口腔口唇の違和感、腫れから、重篤になっていくと、全身状態に拡がっていきます。ごく軽度の

場合は自然に治まっていくことが多々ありますが、急速に重篤になり命に関わることもあります。楽観的に様子をみて時期を失することなく、早め

に医療機関を受診しましょう。


 今シーズンは

 今年もインフルエンザのシーズンが始まります。去年から今年の冬にかけての昨シーズンでは、例年通り12月からじわりと感染が拡がって、1月下

旬から2月上旬がピークで春まで続きました。A型では、いわゆる2009年の新型インフルエンザ(パンデミック)型ではなく、2年ぶりにA香港型が

流行したとされています。B型では山形で分離された「山形」系と、オーストラリアで分離された「ビクトリア」系の内、最近は山形系が多かったも

のの、昨シーズンはビクトリア系が多かったようです。そのため最近のワクチンには、4種類(A香港、Aパンデミック、B山形、Bビクトリア)の

成分が入れられるようになり、今年も同じ4種類の株でのワクチンです。

 昨年は熊本地震のために、一社でワクチン生産ができなくなってしまいました。そのため残りのメーカーでワクチンをフル増産して、ワクチン不

足欠品は結局回避できたものの、例年より生産量は少なく、品薄感が出ました。  

 今シーズンは、A型香港株で、ワクチンとして生産効率の高い、有効性の高い株で作ろうとしたものの作成途中で変化してしまってうまくいかず、

作り直しとなっています。ワクチンは国の検定を受けて効果に合格したものが流通するので、接種ワクチンそのものに問題はないものの、昨年より

もワクチン生産量、流通量はさらに減るものと予想されています。ワクチンは、接種から2週間ほどで効果がでて、2~3か月後にピークが現れ、効果

は5か月ほど続くとされています。年明けの1~2月に受験などの大事なイベントがある方は、遡って適切な時期に接種をしましょう。ワクチン不足か

ら接種のできない事態にはならないでしょうが、現時点で年末ぎりぎりにも確保できるかは不明のため、手洗い、マスク、うがいなどの予防をした

上で、早めの予防接種をお勧めします。

 また高齢者の肺炎球菌ワクチンでは、65歳から5歳ごとへの定期接種は来年度までの期間限定で行われています。インフルエンザ感染後に起こりえ

る重篤な肺炎に対するワクチンであり、定期接種以外の任意での70歳以上の接種に対する仙台市の助成は、今年度で終了となっています。これまで

肺炎球菌ワクチン接種をしていない方は、対象年齢かを確認の上、早めに対応しましょう。


 秋の夜長

 日暮れが早くなって、いよいよ秋らしくなってきました。今年の夏はあまり熱帯夜がありませんでしたが、秋には夜長を楽しみたいものです。虫

の音を聴いて、眠りにつきますが、高齢の方の睡眠には「眠りが浅い」、「眠りが短い」という特徴があります。会社や仕事からリタイアし、体力

を使うことが減るために、日中のエネルギー消費が減って、必要とする睡眠量も少なくなります。暇だからと、早い時間から寝床にいる一方で、実

際の睡眠時間は減ってきます。また眠りも若い頃より浅くなる傾向があります。

 高齢の方の不眠対策のコツとしては、「眠くなるまで床に入らない」、「睡眠にメリハリをつける」、「朝日を避ける」ことがあります。やるこ

とがないからと9時頃から床に就いても、うとうとするだけで質のいい睡眠は望めません。もちろん床に就く前にコーヒーなどカフェインの入った飲

み物、パソコンやテレビに見入るのは避けましょう。眠くなるタイミングが9時頃としても、できるだけ遅い時間まで起きていて、本当に眠くなって

から床に就くようにします。

 また就寝にメリハリを付けることが重要です。昼寝はできれば避けましょう。どうしても眠い時には昼寝をしても構いませんが、夜の睡眠に影響

が出ますので、せいぜい20分程度に抑えるようにします。

 人間には体内時計があります。もともと体は、朝日を浴びることで覚醒します。朝型の生活をするのであれば朝の外出がいいのですが、早朝に覚

醒してしまうのであれば、朝日を浴びることは避けて、午後、夕方に外出して体内時計を夜型にしていきます。

 これらの対策をとっても眠れない時は、一時的でも睡眠導入剤を利用します。ただ薬の中には、ふらつきや依存性を起こすものがあります。就寝

中のトイレでの転倒、怪我が心配となります。副作用についてかかりつけ医に十分に相談の上で、睡眠導入剤を利用するようにしましょう。


 多くても

 最近、健康食品ではポリフェノールを多く含むという広告がみられます。フェノール成分を多く(ポリ)含むという意味で、ポリフェノールと言

われます。

 また医療では、ポリファーマシーという言葉が最近いわれています。ファーマシー(薬)が多い(ポリ)という意味で、「多剤併用」と訳されま

す。複数の病気があればそれぞれの薬が必要となりますが、単に多くの薬を内服しているという意味だけではなく、ポリファーマシーは、「多剤併

用によって薬の有害な状況が起きている状態」という意味で使われています。薬には、それぞれ期待する効果の他に、多かれ少なかれ副作用をもっ

ています。症状を治すためにある医療機関で薬(A)を出され、その薬の副作用に対して別の医療機関でそれを治す薬(B)をさらに出される「処方

のカスケード(連鎖)」が実際に起きてきているとされています。それぞれの医療機関では、その症状を治すために薬を出しているのですが、前述

のA薬を、その副作用のないC薬に替えることができれば、B薬はいらなくなります。院外薬局の薬剤師や、処方した医師は薬の副作用、相互作用に

極力注意しますが、そのためにも自分の内服している薬の内容や薬手帳はぜひ持参するようにしましょう。

 また「1日3回飲む薬でも昼の分が忘れやすい」、「夜は会合が多くて夕食後に飲む分を忘れてしまって余ってきた」などがあれば、ぜひ処方し

ている医師に相談しましょう。飲み忘れしにくい飲み方に変更していくか、残薬も調整可能となります。事情を説明しないために、いつもの量を毎

回処方されて、実は薬が大量に余っていたという事態は、期待している薬効や薬代の面からも避けたいものです。

 薬が手元に残っているという点では、自分の薬が合うからと他人に譲るのは、厳に慎んでください。その方の体質、体調、たまたま今内服してい

る薬との相性はだれも知りません。何か起こった時には、譲渡した方の責任となります。体調の悪い方が身近にいたら、自分の薬を譲るのではな

く、早めの医療機関の受診を勧めましょう。


 熱くしても

 いよいよ暑くなり、食中毒に注意といわれる季節になりました。冬ではウイルス感染症でノロウイルスでの胃腸炎が多数みられるのに対して、感

染性大腸菌など細菌による胃腸炎はあまり季節を問わないものの、やはり食べ物がいたみやすい夏に多くみられています。食中毒の予防には「菌を

つけない、ふやさない、殺す」のが原則であり、加熱した調理後は、冷蔵庫や冷凍庫に入れて保存します。食材をよく洗って(菌をつけない)、加

熱して(殺す)、増やさない(低温保存)ことになります。大腸菌などではこの方法で問題ありませんが、生存に適さない環境(高温、乾燥など)

になると菌体内に芽胞という硬い殻構造物を作って休眠してしまう菌があります。そのため加熱しても完全に死滅させることが困難であり、そして

生存に適した環境になると菌が発芽し増殖を再び始めます。その際にエンテロトキシン(毒素)を出し、下痢や腹痛をひきおこしてきます。その代

表格がウエルシュ菌です。

 ウエルシュ菌は、酸素を嫌う(嫌気性)菌で、動物の大腸の常在菌であり、河川や海、土壌に広く分布しています。食肉や魚貝類など、芽胞とし

て多量に付着した食材を口にし、腸内で菌が発芽する際のエンテロトキシンで食中毒症状をおこしてきます。またカレーやスープ、肉の入った煮汁

等を多量につくり、作り置きでそのまま放置すると、ウエルシュ菌の増殖の最適温度が43~47度と他の菌よりも高く、また増殖スピードも速いため

に、その温度帯で急激に増えてきます。煮沸しているために酸素が少なく(嫌気性)で、ほかの菌は死滅しているので、ウエルシュ菌としてはかっ

こうの増殖環境となっています。カレーや煮物は作った日より翌日の方が美味しいという話もあります。しかし作り置きする時は大きな鍋でゆっく

り冷やす(菌の増殖の最適温度時間が長くなる)よりは、小さな容器に小分けにして、一気に冷やしましょう。

 ウエルシュ菌食中毒の潜伏時間は6~18時間(だいたい半日)、主要症状は腹痛と下痢で、嘔吐、発熱は少なく、1~2日で治まってきます。「加

熱して殺菌したはずだから大丈夫」、「食べる前に加熱すれば安全」、を過信せずに作り置きする際には注意しましょう。


 石があったら

 新年度となって、ドックや検診がまた始まりますが、腹部エコーで胆石(胆のう結石)を指摘されることがあります。

 胆石ができる危険因子として、年齢(50~60歳代に多い)、肥満、家族歴が挙げられてきました。食習慣としては、一日の食事カロリー摂取の過

剰、糖質や炭水化物(ご飯やパンなど)、動物性脂肪のとり過ぎ、運動量の少ない生活、過剰なダイエットでの急な体重減少などがリスクとして報

告されています。胆石は明らかに白人(欧米人で胆石保有率が20%程度)が、アジア人種(日本人で5%程度)よりも多く、脂質異常(特に中性脂肪

が高い)や非アルコール性(飲酒によらない)脂肪肝の方に多いとされています。

 一方、リスクを下げる因子としては適度な運動、野菜、食物繊維、果物、豆類などの植物性蛋白、適量の飲酒などが挙げられています。

なお胆石が見つかっても、すぐに手術する必要はありません。胆石の方が、胆のうがんになりやすいというデータはまだありません。ただ胆のうが

んから見れば、胆石を持っていた方が多いというのは事実であり、胆石は危険因子です。もしこれまで胆石での腹痛などの症状がなければ、まずは

年1~2回の超音波検査での経過観察をお勧めします。ただ今後腹痛を起こす危険性が高い人としては、小さな石がたくさんある人、胆のう管(胆

のうと胆管をつなぐ管)に石が詰まっている人、若い人、胆のうの働きがなくなっている人があげられます。

 そのために、今後痛みをおこすリスクが高い人や、胆のうの壁が厚くなってしまい、がんとの区別が難しい人、多くの石で胆のうの壁が観察しにく

い人は注意が必要です。手術も含めて今後の方針、治療については、専門医との相談をお勧めします。


腰がー


 春になって、公園の散歩や野山のハイキングにはいい季節となりました。しかしその時に腰が痛くて歩けないとなっては、非常に残念です。

 単に「腰が痛い」でも、いろいろな病気が隠されていることがあります。まず、安静にしている時には痛くないのに、体を動かしたときだけその

場所の腰が痛い時には、背骨の関節や周囲の筋肉が原因と考えられます。いわゆる「ぎっくり腰」などがそれに含まれ、従って何日間はつらいです

が、しばらくすると治ってきます。一方腰だけではなく、お尻や太ももの背中側までに痛みやしびれが拡がるとなると違ってきます。腰の部分の背

骨(腰椎)の神経が原因であり、そのためにその神経が走行しているお尻や太ももにも痛みが拡がることになります。腰椎を通る神経への周囲から

の圧迫(脊柱管狭窄や椎間板ヘルニアなど)が原因と考えられます。したがって腰椎が原因であって、しびれや痛みを感じる太ももやお尻に湿布を

貼ったり、マッサージをしても治療にはなりません。

 また、中高年になってから腰が曲がってきて痛む時は、椎骨がつぶれた圧迫骨折が原因になっている可能性があります。特に閉経後の女性の方に

は起こりやすいので注意が必要です。さらにこれらに対して、安静時でも腰が痛むとなると、それは油断ができない腰痛となります。

頻度は少ないですが悪性腫瘍の骨転移や脊椎炎などが入ってきます。悪性腫瘍の原発部位に気づく前に、骨転移した腰痛で悪性腫瘍の存在に気づく

ことがあります。放置することなく早めに整形外科を受診しましょう。

 また内臓疾患から腰痛が起こることがあります。突然の腰痛では尿路結石や腎盂腎炎が挙げられます。また子宮内膜症や大きな子宮筋腫、腰から

やや胸に近い場所では慢性膵炎、十二指腸潰瘍でもおこります。腰痛でもいろいろな原因があります。気になるときは早めにかかりつけ医や整形外

科に相談してみましょう。